【OW2】競技シーンメタレポート~OWCS Japan Open 2024/02/19~21~
こんにちは、レバンガ☆SAPPORO OW部門コーチのclank(@clank_ccc)です。
ついに始まったOW2の新競技シーンOWCS。
その世界大会へつながるJapanOpenが2/19日から開催され全70チームがしのぎを削りました。
そんな新しい競技シーンのメタをまとめながら解説&考察し、観戦初心者、競技シーン未経験者の方でも観戦をより楽しめるようになる記事となっています。
なお、今回のOWCSJapanOpenは公式配信が無いため(本戦2/26~は公式配信及び公認ミラー配信が行われます)筆者は全試合に目を通すことができておらず、本戦抜け及びそれに準ずる上位チームたちのメタに絞った内容になっています。ご了承ください。
世はまさに大ゾンビコンプ時代!!
まずは環境の全体像から。
基本的にサポート、ダメージ、タンクの三枠の中の12ヒーローを各チームがメインに据えており、マップや戦況に合わせてニッチピックの中から調整枠として局所的に選出、運用する形が見受けられました。
この環境を一言で表すのであれば、まさに大ゾンビコンプ時代!!といった様相です。
ゾンビコンプとは、機動力と自己完結力の高いヒーローで固めることで高い継戦能力と生存性能、復帰性能を武器にしたラッシュ系のコンセプトのことです。
ダイブとラッシュの中間くらいの性質を持ったコンセプトであり、本来はタンクにダイブ系タンクを据えるのですが、今回はJQもコンセプトに合致した性質を持っているためまとめてゾンビコンプとしています。(普通はJQラッシュとしてラッシュ系のコンセプトとして呼び分ける)
環境がゾンビコンプに寄った原因はS9から追加されたDPSパッシブの影響が大きいと言えるでしょう。
特に影響を受けたのはサポートで、アナブリギッテのような相互ヒール、相互護衛による耐久が成立しづらくなりました。
その結果、後衛と前衛に分かれて戦うことも難しくなり、チーム全員がほぼ一か所に集まりながら緩いシナジーと全体ヒールでチームの耐久性を確保しながら倒される前に敵を倒す方向へシフトしていったと考えられます。
サポート
そうした中で評価されたのがルシオモイラのコンビです。
どちらも範囲ヒールを得意としており、無意識的に最低限のヒールをまわしつつ、DPSパッシブに対して回避力と無敵スキルで抗うことができます。
それに加えて乱戦での攻撃参加がしやすいサポートでもあるためゾンビコンプの中核を担っています。
一方モイラと互換性のあるキリコですが、現在のグループアップして0距離で殴り合うメタでは神出鬼没での逃げ先が確保できないためにフォーカスされると逃げ切ることが難しく、特にミラーにおいては回復量でも上回りがちなモイラのほうが強力と言えるでしょう。
ダメージ
DPSパッシブはダメージの中でもフランカー系ヒーローに大きな追い風となりました。
総火力が少ない代わりに機動力と瞬間的なダメージに振ったフランカーは、一度攻撃をいなされてしまうと倒しきるのに時間がかかる傾向がありましたがDPSパッシブがその弱点を補完しました。
回復阻害が敵が攻撃をいなした後の立て直しを難しくし、弾のサイズアップと合わせてフランカーの機動力を活かした追撃の破壊力を底上げしています。
マストピックはトレーサーでその相方はマップや敵の構成、選手の好みなどで使い分けとなっていますが、基本的にはソジョーンがキャラパワーと汎用性の面で優れている印象です。
ソジョーンはインファイトも可能で弾(回復阻害)をばらまけるミドルレンジヒーローというのもメタと非常にかみ合っていると言えます。
タンク
ゾンビコンプと言えばウィンストン!というのが通例でしたが、今パッチはそうもいかなかったようです。
DPSパッシブの影響でヒールを貰いながらの継続的な戦闘が難しくなり、特にタンクは瞬発的な火力とヒット&アウェイによる攪乱、(味方含め)ヒールに頼らない防御系スキルが重要となり、ウィンストンはゾンビコンプへの適性は高くとも、環境への適応度が低いと言わざるを得ません。
そこで活躍しているのがドゥーム、ボール、JQです。
この3キャラはゾンビコンプ適性は比較的低いものの、追加体力、瞬発火力、機動力を持ち合わせておりDPSパッシブの影響を小さく抑えることが可能で、環境への適応度はかなり高いと言えます。
結局はコンセプトと環境、どちらへの相性を重く見るかといった選択肢に思えますが、この4キャラの中でキャラ相性の面ではJQが優れていると言えるでしょう。
ドゥーム、ボールの瞬発火力にはシャウトでチーム単位でのカウンターが可能。ウィンストンにはコンセプトの兼ね合いで有利な正面対決を無理やり押し付けることができます。
海外の大会ではJQやラマットラといったラッシュに寄せた構成が多いとも耳にしているので、来週の本戦ではJQが主流になっている可能性もあります。
ニッチピック
ここでは特に注目の2キャラに絞っていきます。
マウガ
ハードカウンターとなるアナゼニヤッタ、ポーク系ヒーローが出てきにくい環境なので通りがよくカウンターヒーローなしでは対策も困難。
ただし、ピック変更で簡単に対策されてしまうため相手がピック変更をできないラストウェーブでポイント耐えのために使うと非常に強力で、本戦にも出場するチームPandiaが好んでこの運用をしていました。
今後は環境の動き次第ですがコントロールの初動を取るためだけの採用などもあり得るかもしれません。
ラマットラ
同一コンセプトでの対決ならばJQに有利に立てるヒーローです。
貪欲な渦による拘束によってヒット&アウェイを成立させづらくさせることができ、盾とガードを交えることで立ち回りも柔軟に行えます。
JQに比べるとダイブ系コンセプトへの対処が難しくなるので、全体的に運用の難易度は一段上がりますが、海外ではすでにラマットラ採用は珍しくないようです。
オフメタ構成チーム「ナメクジブラザーズ」
個人視点軽く見ただけなので簡潔に。あくまで僕が外側から見た分析なので本人たちからは違うと言われるかもしれません。また、ナメクジブラザーズにとって不利益になる可能性があるのであまり深堀しません。
ナメクジブラザーズはゾンビコンプ時代にオフメタとされる4ヒーローをメインに扱って本戦出場を決めました。
ピック変更も頻繁に行っているらしく、常にこの4ヒーロー固定というわけではないようですがオフメタヒーローを使って結果を出しているのは驚きですね。
広めに散った陣形を取りつつ相手のラッシュやフォーカスをライフウィーバーのスキルや相方によく出ていたキリコの鈴、ホッグのテイクアブリーザーなどでいなして敵のリソースを枯らしながら反撃する戦術のように見えました。
中遠距離からのワンピックと近接戦闘の拒否で敵に択を突き付ける構成のようにも見えますね。
この構成で面白いのはライフウィーバーを軸にしたシナジーです。
立ち回りに難がある一方でトップクラスの火力があるヒーローをライフグリップ前提で強気に立ち回らせて火力を押し付けさせることで、ライフグリップのバリューを引き出しつつ高火力(ワンピック)の押し付けによってライフウィーバーの攻撃参加が難しい点を補完しています。
ラッシュダイブが主軸となっている今の環境も、それをいなす手段が明確なこの構成にとっては追い風なのかもしれません。
また、オフメタチームの利点として専用のオフメタ対策を強要できる点が挙げられます。僕が大会出てたら一番戦いたくない相手ですね……。
今後のメタはどうなる?
海外のメタではJQ、ラマットラが多いという言及をしましたが、日本のメタがそれに寄って行くかと言われると、怪しい部分が多いかなと思います。
今のところ日本のメタはダイブ寄りの構成が主流となっています。
そこから一週間足らずで本戦なので、チームによってはあえて予選での構成を貫くチームもいるんじゃないかなと思います。
逆に一週間で仕上げられるのであれば本戦での試合を有利に運ぶことができますので、この短い期間で対策を詰められるかが勝負のカギとなります。
それはそれとして、JQ、ラマットラが主流になった場合どうなるかと言う話です。
サポートは恐らくあまり変わらない、もしくはラマットラvsラマットラが増えるのであればモイラに代わってバティストが採用されるケースは増えるかもしれません。
またダメージもより近接戦に特化したリーパーやトールビョーン、メイなどといったヒーローにもチャンスがあるでしょう。しかし、フランカーが非常に強力な環境なので、あえてそこまで特化する必要が無い可能性もあり、トレーサーソジョーンの牙城を崩せるかは結構微妙なところですね。
いずれにせよ、まだ環境が動いてから時間がたっていないのでどのように環境が変化するか非常に楽しみです。
あとがき
以上となります。
来週2/26からは日本及び海外の試合の公式配信とそのミラー配信も開始されるので、観戦が非常に楽しみやすくなります。
試合のレベルも非常に高くなっており初戦から熱い試合が見れること間違いなしなので、この機会に競技Overwatchの面白さ、熱量を楽しんでいただけるといち競技プレイヤーとしてとても嬉しいです。
当日は僕もミラー、非ミラー問わず解説&考察多めで観戦配信もすると思いますので、良ければお越しください。
それでは。
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