OW学入門「人数差の類別」

こんにちは。AKIHABARA ENCOUNTのclankです。

今回は集団戦の勝敗を大きく決定づける「人数差」について掘り下げていこうかと思います。
ざっくり人数差といっても、実は人数差にもいくつか種類があります。

これらを知ることで試合中の有利不利をより的確に判断できるようになるかもしれません。

それでは早速行ってみましょう



1,そもそも人数差とは

人数差とはOWにおいて集団戦の有利不利を判断する材料の一つです。

この人数差を正しく把握することで戦線の押し引きを誤らず行うことができたり、そのとき行うべきことの判断につながります。
(戦線の押し引きについては別記事で詳しく解説しています。→ow学入門「ライン管理の基本」)

古来より戦いは数で決まるといわれ、近代においてもランチェスターの法則などによって数の有利は絶対的なものとして扱われます。

もちろんOWも例外ではなく、数が多ければそれだけ有利となります

キルが発生していない状況で6v6ならば人数差は0で有利不利はなく、キルが発生して6v5とれば人数差は1となり人数の多い方が有利、少ない方が不利となります。

なぜ人数の多い方が有利になるかといえば、それは単純に人数が多ければそれだけ火力、体力、射線、スキル、戦術幅、その他諸々のリソース面において有利だからです。


そのため集団戦中の押し引きの判断にこの人数差はよく用いられます。

人数差で有利なら攻める。不利なら退く。対等なら様子見または人数差を作るために動くといった具合です


しかし、OWを長くやっている人ならばこういった経験は多いはずです。

「人数有利なのに集団戦に負けた」

これがなぜ起こるのか。

この原因を実質的人数差という要素によって紐解いていくというのがこの記事の趣旨となります。



2,絶対的人数差と実質的人数差

人数差には絶対的人数差と実質的人数差の二つが存在します。

絶対的人数差とは、お互いのチームの生存および戦闘に参加している人数の差です。

要は皆さんが今まで認識していた、前項で説明したようなキルまたはデス、リスポーンによって変動する人数差のことです。

この人数差は純粋に頭数を数えた人数差なので、覆すためにもキルをするかリスポーンを待つしかありません

つまり、絶対的人数差を動かすことは非常に難しく、絶対的人数差を利用して状況を意図的に動かすことは難しいことがわかります。


ここで登場するのが実質的人数差です

実質的人数差とはキルやリスポーンによる人数変動によらない、それ以外の要素からくる戦況の有利不利の中で、実質的に人数差としてカウントできるものを人数差として扱ってしまうというものです。

絶対的人数差とは違ってあらゆる状況で流動性があり、コントロールすることも比較的簡単です。

OWの試合ではこの実質的人数差を上手く活用することによって、有利不利をコントロールすることが重要になってきます。

実質的人数差にはその特性によって区別することができ、本論では特に重要度の高い下記の3つについて解説していきます。

・局所的人数差
・ULT人数差
・フォーカス人数差



3,局所的人数差

局所的人数差とは地形やスキルあるいはヒーローの機動力の差などによって、チームメンバーがそれぞれ違うポジションで交戦する局所戦、あるいは少人数戦と呼ばれる状況において発生する人数差です。

具体的な状況になぞらえてみていきましょう。

この状況はW盾が一番強い時期によく発生していた状況です。

この画像では、AとBという2つのポジションにそれぞれのチームが3人ずつメンバーを振り分け、エリアの奪い合いをしています。

このときそれぞれのポジションでは3v3の少人数戦が行われているということになります。

そして、AとBのポジションはマップ構造上物理的に遮断されており、お互いのメンバーが別のポジションへ直接介入するのは難しい状況ということがわかります。

このまま戦闘が続けば膠着状態、もしくはハンドスキルで上回るチームが勝つことは明白です。

しかし、実はバティストはその特性上それぞれのポジションに比較的容易にアクションを起こすことができます。

これを利用し攻撃側のバティストがBに加勢したとしましょう。Aでは2v3、Bでは4v3の状況になりそれぞれのポジションにおける人数差の均衡が崩れることになります。

攻撃側はこの状況で人数有利の取れたBをプッシュすれば防衛側は引かざるを得ません。
一方でA側はというと、防衛側の人数有利ではありますがポジションの都合上、防衛側が無理にプッシュすることは難しいといえます。

しかし、ここで人数不利になったBがポジションをキープして耐えることができれば、その間にAで攻撃側を一方的に削ることができるため、時間をかけさせるほどに防衛側の有利となっていきます。

攻撃側はこれをされないためにもできるだけ迅速にBを突破し、Aはその後に備えて無理をしないということが必要になります。

このように分断されたエリアを利用して局所的人数差を生み出すことで駆け引きを行うことができます

また、絶対的人数差で負けていたとしても敵を分断し局所的人数差で上回ることで少人数戦を制して絶対的人数差を覆すことも可能です

人数有利なのに突出した味方が狩られて逆転されるなんてことは、ランクマッチで親の顔よりも見た光景でしょう。

これは突出したことで局所的人数差で負けてしまうことが原因なわけですね。

このように、局所的人数差は良くも悪くも絶対的人数差をいとも容易く覆すことのできる諸刃の剣であるわけです

では、局所的人数差を用いた駆け引きで重要なポイントをまとめてみましょう。

局所的人数差まとめ
・局所的人数差は絶対的人数差を覆しやすい。
・マップやスキル、機動力を利用して少人数戦を引き起こす。
・均衡を崩す側は人数不利側を攻められないように工夫が必要になる。
・絶対的人数差で有利な場合、局所戦に細心の注意を払う。



4,ULT人数差

ULT人数差とはその名の通りULTを人数差に換算してしまうというものです。

具体的には効果を発揮しているULTを人数+1として数えていきます

これがなぜ成立するかというと、ULTは極端に強力なスキルなためULTに対抗するためには、エリアを明け渡したり複数のスキルを投入するなどによってリソースを大量に投入する必要があるためです。

これをせずにまともにULTを受けてしまうと、リソース切れをが起こる=キルを取られてしまいます。

そのためULT1個=1キルという意味で、ULTを使った段階で人数+1とカウントできるというわけです。

ULT人数差による駆け引きは単純で現在の人数+使用中のULT数で人数差を出すだけです。

例えば以下のような状況で考えてみましょう。

現在(2021/06/13)のOWLでよく見る構図です。

お互いのチームが6人そろって同じエリアでにらみ合っており、絶対的人数差、局所的人数差がともにないといえる状況です。

この状況で青チームがモイラULTでエンゲージしたらどうでしょう。

モイラULTが効果を発揮しているため青チーム側に人数を1人分加算するため7v6の状況になります。

これに対して赤チームは人数不利となってしまったためモイラULTで応戦すれば7v7、その上に青チームがULTを重ねれば8v7という風にどんどん人数がプラスされていき、時間がたつごとにULT効果が切れていくため、その時点で人数をマイナスしていき7v7→7v6→6v6となっていきます。

ここで注目してほしいのはあとからULTを使う側のチームがそのウェーブを勝とうとすると、相手よりも多くULTを使用しなければならないという点です。

もちろん1つのULTでキルを起こせれば絶対的人数差が発生し人数有利を取れますが、互いが一個ずつULTを使っている状態とはULT人数差で言えば7v7の状況なわけで、人数差がない状況でキルを一方的にとることは非常に困難です。

そのためULT人数差においては基本的に仕掛けた側が有利になります

しかし、ここで注意しなければいけないのが「ULTの効果時間」です

冒頭でも説明した通りULT人数差はULTが効果を発揮している間だけ人数差としてカウントします。

つまり効果時間が長くキャンセルされにくいULTほど、同タイミングでULTを発動しても有利になります

そのため基本的に仕掛けた側が有利なULT人数差も、その効果時間によっては後出し側のULTが一方的に残ってしまい、同数のULTを使ったにもかかわらず仕掛けた側が一方的に不利になることもあります。

また、ULTは性質上の有利不利が存在するため単純な1:1交換とならないこともあります

このように、ULT人数差はULT管理、人数差管理の面で直感的に理解しやすいという反面個々のULTの特性による若干の不安定さがあります。

しかし、これを大きく上回る特大のメリットが存在します

それが即効性の高さです

ULT人数差はULTを発動さえできればその時点で人数+1できるため、そのほかの人数差に比べ必要な時に即座に人数差の補充ができます。

例えば、不意のワンピックから敵にラッシュを仕掛けられてしまった状況です。

味方のリスポーンは間に合わず、さらにポジションを変える暇もないため、5v6の戦いを強いられる状況ですが、即座にULTを使うことができれば人数差を埋めて敵にULTを使うことを強要できるチャンスが生まれます。

敵がULTを渋ればイーブンな勝負の中でリスポーンを待つ時間も作れますし、ULTを使われてしまっても不利状況からULTの1:1:交換に持ち込めるため悪い状況ではありません。

このようにULT人数差を理解していれば緊急性の高い状況にも対応できるというわけです

ではULT人数差についてのまとめです。

ULT人数差まとめ
・基本的に仕掛けた側が有利
・効果時間と特性による不安定さには気を付けよう
・ULT管理と人数差管理を直感的にこなしやすい
・即効性が高い



5,フォーカス人数差

フォーカス人数差とはフォーカスによっておこる攻防に関わる人数によって起きる人数差です。

この人数差を利用した戦術はまとめて視線誘導といわれ、その特性によってベイト、カイトなどとも呼ばれます


フォーカスとはOWのチームプレイにおいて、その根幹となる基礎的な技術の一つです。

HPの回復やシールドといったものがあるOWでキルを起こすためには目標の敵一人を複数人で狙い火力を集めることが必要になります。

このフォーカスを逆手にとって実質的人数差としてカウントしてしまおうというのがこのフォーカス人数差になります。

具体的に式としてあらわすと以下のようになります。

1+(カバーしている味方人数)-(フォーカスに参加している敵人数)=フォーカス人数差


最初の1はフォーカスされている本人であるため、要はフォーカスしている敵とそれに対応する味方人数の差ってことです。

このフォーカス人数差が1以上なら人数不利、そして-1以下なら人数有利となります。


しかし、フォーカス人数差の面白いところはここからです。

基本的にフォーカス人数差においては人数不利であることのほうが価値があります。

なぜならばOWは6v6のゲームであるため人数不利が発生しているということは人数有利も同時に発生していることになります。

ということは人数不利である場合、可能な限り延命を図ればその分味方が楽をできることになります

これを利用した戦術が冒頭で触れたベイト、カイトといった視線誘導戦術です。

人数不利な状態で敵をひきつけ続けることで、味方の人数有利を作りキルを起こしてもらったり強いポジションを制圧していくというわけです。

これを行うとき重要なのが、意図的にフォーカスを集められるか、またはフォーカスされていることを自覚できるか、そしてフォーカスされていないときの行動の決定です。

自らにフォーカスが集まって(集めて)いるならばその時は簡単です。無理はせずできる限り敵の攻撃から延命しましょう。


意図的に行うのが難しいのがフォーカスされていないときの行動選択です。

このとき、フォーカスされた味方のケアに入るのか、逆にフォーカスを合わせて敵をキルするもしくは重要なポジションを奪うのか、という味方をケアする行動と、アドバンテージを取る行動の二つの選択肢があります。

この時フォーカス人数差が判断の役に立ちます。

味方を守るのが重要なのであればフォーカスしている敵人数と同数またはそれより多くなるようにカバーする人数を増やす必要があります。

一方でアドバンテージを取ることが重要な局面では、最低限の人数だけカバーに回し目的達成(キルやエリア奪取)のための人員を増やすというわけです。

これをチーム単位だけではなく個人単位でできるようになればチームメンバーの運用の効率化ができます。

自分がフォーカスされているのかされていないのか、自分の役割は何なのか、これらをきちんと判断できるかが重要だというわけですね。

最後にフォーカス人数差のまとめです。

フォーカス人数差まとめ
・フォーカス人数差を利用して視線誘導戦術を行う
・自分がフォーカスされているかいないか、その時々の役割を明確化しよう



6,まとめ

ここまで絶対的人数差と三種類の実質的人数差の合わせて四種類の人数差について語ってきました。

この記事では個別で扱ってきましたが、実際の試合ではこれらを複合的に組み合わせて有利不利ひいては、駆け引きの判断をしていきます。

例えば、サイドのエリアを取りつつメインをプッシュしたいからサイドの競り合いにはメンバー補充はせずULTで押し切る。

フォーカスされたら限界まで引き付けてULTでさらに耐えて他でキルを取る。

ワンキル取られたら敵がラッシュしてくるからULTを使って数名で耐えて、DPSに別のポジションを取ってもらう

などなど
例を挙げればきりがありませんが、これらはすべて人数差というものを細分化することで単純な足し算引き算だけで有利を推し量ることができます。

とはいえ試合中に正確に足し算引き算できるわけでもないですし(できるのが理想ではありますが)、最初のうちは反省会の中でどこで無駄があったかなどを見極めるために用いるところから慣れていくとよいかと思います。

また、人数差はあくまで状況判断の材料の一つです。
他にも体力差だったりエリア差だったりと様々な要素がOWを作り上げています。

人数差だけでは状況を説明できないときはそうした別の要素にも目を向けてみるとよいでしょう。

最後にここまで読んでいただきありがとうございました。

次回もお楽しみに、それでは。

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