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メジャーの中のニッチを狙え!YouTubeの勝ち筋分析①:「今浪隆博のスポーツメンタルTV」

pontaと申します。YouTubeのコンサル業という怪しい仕事をしていますが、怪しいものではありません!

さて、今日はYouTubeのお手本のような戦略をとっているすてきなチャンネルを見つけたので、ひとつご紹介します。

というか僕が好きなだけですが…。

その名も「今浪隆博のスポーツメンタルTV」です。(2024年8月現在で登録者10万人)

今浪隆博さんは元プロ野球選手ですが、彼の名前を聞いたことがないとしてもそれほど不思議ではありません。

なにせ彼はプロ野球生活11年で405試合出場の、自他共に認める「一流ではない」選手だったからです。

コアな野球ファンなら知ってるかな、というレベルであり、その点が、イチロー選手や、大谷選手とは異なるところです。

そんな彼が、里崎、上原、古田といった超有名選手たちがしのぎを削る「元プロ野球選手のYouTubeチャンネル」というジャンルの一角を占めるに至った理由が興味深いので、言語化してみたいと思います!

①戦場選びの巧みさ:メジャーな市場でのニッチ戦略

今浪さんは、「プロ野球」というメジャーコンテンツの中の、「一軍半の選手」というニッチな場所を戦場にしており、それが最大の強みになっています。

なんだかんだ、野球やサッカーといった人気競技はYouTubeの視聴者人口は多いのです。

とはいえ、人気ジャンルには競合チャンネルも多く「元プロ」という肩書は決して珍しいものではありません。

今浪さんよりもネームバリューのある元選手、すなわち野球理論に説得力のある人も多いです。

差別化する手段として今浪さんは「二軍選手の球場入りの時間」や「なぜ、プロ野球選手は金のネックレス?」などの素朴な疑問を答えるスタイルを見出しました。


これが大ヒット。数百~数十だった再生数は、安定して数万再生を記録するようになりました。

「元プロ野球選手の自分にとっては当たり前のことが、一般的には新鮮だと思われる」という勝ち筋を見つけたのです。

他の元プロチャンネルが「自分が選ぶ!歴代ベストナイン」という題材をとりあげる中で「2軍の帝王ベストナイン」という題材を語れるのはこのチャンネルだけです。

ニッチ戦略の極致といえましょう。

②YouTube理解度の高さ

今浪さんはYouTubeに対する理解度が非常に高いです。

例えばですが「生活感を感じさせない部屋の綺麗さ」、「視線をカメラに向けて視聴者体験を向上すること」、「冒頭でキャッチーな結論を言うことで視聴者を離脱させない」など基本を最初から抑えています。

目線をしっかりカメラに向けている。当たり前に思えるが、実はできない人も多い。私も恥ずかしくてニガテ

これらは誰かから教わったのかもしれないし、独学かもしれない。いずれにせよ、非常に理にかなっています。後述しますが、Shortsで露出を増やして長尺動画に着地させる手法など、YouTubeを伸ばす上でのお手本にしてもいいくらいだと思います。

③Shorts動画の使い方が上手い

YouTubeはサービス開始から年数がたち、プラットフォームとしての成熟がすすんだことで、「リッチ化」し、無名の人が有名になりづらい状況が生まれました。つまり、いまからYouTubeを開始しても、先行者の実力と人気をきりくずしにくい状況になってしまったのです。

そんな中うまれた「Shorts動画」は、数十秒で手軽に楽しめる(=簡単に作れる)うえに、無名の人でもバズって露出を増やすことが比較的容易です。

今浪さんは、このShorts動画を大量に作り、自分のホームグラウンド(長尺動画)に導線を引くことでチャンネルの拡大に成功させました。

かくいう私も今浪さんのチャンネルを認知したのはShorts動画からでした。

40万、13万などの数字がならぶ。長尺動画は平均5万くらいなのでその差は歴然

④「天の声」の存在

今浪さんのチャンネルの大きな魅力になっているのが、高校時代の野球部の友人である「天の声」の存在です。

彼が「なみさん、この質問の回答いけますか」と投げかけることで動画が始まるのがチャンネルの「お約束」かつ名物になっています。

そして、彼が「素人」ならではの意見を投げかけることで、今浪さんの知識や経験とのギャップが見つかり、会話が転がっていきます。

さながら、シャーロックホームズに対するワトソンがごとし。

個性とは相対化によって見つかるものです。つまり、比べることで特徴って見つかるんです。

今浪さんの特徴(元プロ)を際立たせる存在として、一般人の「天の声」さんの普通さ、視聴者と同じ目線は不可欠といっていいでしょう。

同級生ならではの失礼さも魅力で、「WBCについて話したいんですが…今浪クラスの選手が、WBCについて何か話せることってありますか(笑)」とかいう質問は普通出来ないでしょうw

ほかのチャンネルがMCに女性アシスタントを配し、元プロ選手を持ち上げながら話す中でこの失礼さは異色です。

いずれにせよ、ほかのチャンネルのMCが野球選手との差を埋めきれないのに対し、今浪さんへの親近感を増すための装置としての「天の声」さんの重要性は非常に高いです。

天の声がなかったころの今浪さんの単独トーク。天の声の雑なあいづちがあることで格段に聞きやすくなった

⑤今浪さん自身の、人間的魅力

最後になってしまいますが、今浪さんのルックスと話し方は大きな勝因の一つでしょう。

彼は清潔感のあるイケメンで、話し方もさわやかでスマート。えらぶるところもなく、頭の回転が速い、言語化の鬼です

そしてセパの両リーグと、キャッチャーをのぞく内外野すべてのポジションを経験し、1軍と2軍を行ったり来たりで11年、4番をのぞくすべての打順に立ったキャリアの持ち主です。

この持って生まれたタレント性と、経験の幅の広さは誰にでもあるものではありません。

ただ、最初のころの一人でしゃべっていたころの今浪さんのチャンネルが伸びなかったことを考えると「商品がいいから売れる」のではなく、しっかりしたマーケティングと広報戦略の重要さ、そして人事が重要なんだなとあらためて感じました。


まとめ

いかがだったでしょうか。

戦場選びとYT理解度の高さ(マーケティング)、Shorts(広報)、天の声(人事)、人間的魅力(商品力)など、まるで企業のような戦略で今浪さんがチャンネルを伸ばしてきたのはおわかりいただけましたでしょうか。


私自身、今浪さんの現役時代は知らないながらも今さらながらファンになり、「今浪クラス」のアパレルブランドについても買わせていただきました。

今後も活躍を期待しています!

いつか一緒に仕事出来たら嬉しいです。こういう夢が大事なんですよね。

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ponta
ブログ3000万PV達成!ファミ通でライティング。クラロワや他ゲームの取材、企画、記事執筆、台本依頼はTwitterまで。 https://twitter.com/claclaponta http://geriburo.com/