甘味控えめプリン

 甘さ控えめ、を謳う食品がある。本来、甘味であることが本分であった食品は、その半分を削られながらも、尚屹立する。須く、甘くあるべきとは言わずとも、プリンは甘みを保って己を認識しているのではないだろうか。

 今日、あらゆる食品にはナノマシンが注入されている。食品は自ずと考える力、意識を持つ。そして、意識は食品の味覚的要素、栄養、安全性を保証する。

 食べ物は人間に隷属し、己を最も人間は適した形へと変容させるのだ。
 枠の中で、釣り合いを考える。旨味か栄養か、安全性か。得てして、この思考序列を私たちに読み解くことはできない。
 ある意識にとって、それがすなわち己を認識するのは何故か。私は、私という認識のもとに成り立つ葦なのだ。

 プリンにとってそれは、甘みかもしれない。あるいは、黄色と茶色のコントラスト。

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