夢の話
友人にお話しできることが、見た夢の話しかない。どんな夢を見てどんなことがあって、それでどれだけ心拍数が上がってと、まあそういう緻密な描写を交えてみて、相手もそれを喜んでくれることを期待している。
次第に苦しくなる。
僕は夢しか人様に披露できるものがないんだと絶望する。世間に生きるみんなと足並み揃えて同じ地平を行っていたつもりなのにトレンドもわからない。
大体僕の個人的な夢なんて人からすればどうでもいい。どこで何をしてどう生きているのかも知らんやつがどんな夢を見てようが知ったこっちゃない。
孤独を癒すための夢ですら、醒めてしまうと余計に孤独を縁取り、自由な所有物でいてくれるはずの夢の人々だって僕に阿ることはない。ずっと意地悪だ。小学生の頃から。