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私の体験|そして、その森。そして、森の外。

こんにちは。

今日は、取り立てほやほやの私の体験を。

昨日の夜、何個か面白いやりとりがあり、それは、実際にクリーンランゲージの質問を使う時に役立つんじゃないかなと思いますので、シェアしますね。

それは私自身のメンタリングの中でのこと。

私がトレーニングを提供し始めた後も、私が成長していくためのメンタリングはずっと続いています。だいたいはメール。これは割としょっちゅう書いてます。(私は書くのが好きなので!そして、私の先生の一人も書き物オタクと言っていい!)
たまにオンライン。

オンラインのメンタリングは、だいたい最初は「今日は何がしたいの?」から話がはじまります。

これは、クリーンな質問ではなく、普通の質問を使ってます。
対話の始まりにクリーンな質問は、場にそぐわないので、私もいきなりクリーンランゲージの質問で対話を始めるのはお勧めしません。相手がびっくりしちゃいます。それをしていいのは、練習の時だけです。
練習以外は、その場の準備ができてから使用スタート。場所のセッティングが先です。
______________
トレーニングやワークショップでいきなりクリーンランゲージの質問から始めるのは、それが、クリーンランゲージを学ぶ場所だという共通認識が、ファシリテーターとクライアントの間で成立しているからです。
つまり、すでに場のセッティグができているから。

メンタリングの時は、半分くらいは普通にああだこうだと話をしています。

そして、その中に、メタファーが登場して、それを探求する必要がありそうなとき、彼らははじめてこう言います。

それは、私にとっては心の扉を開く魔法の質問

そして、あなたは何が起きてくれたら好いのでしょう?


それで、その日、何が探究のテーマだったかというと。
書いても私のプライバシーは守られますので書きますね。笑

メタファーのいいところのひとつは、秘密を守ること!
実際の内容は、メタファーだけを聞いた相手には全くわからない!

これ、メタファーの大きな利点の一つだと思います。

例えば、「相手に自分の状況の細かい内容は理解してもらう必要がない(知られたくない)」、「持ってるバックグラウンドが違うから、普通に話しても理解できないと明らか」、「対話をするのにある程度の共通理解は必要だ」というような時に、メタファーは互いが理解し合うのをサポートします。
秘密を守ったままで。

というわけで、私のプライバシーはバッチリ守ったままで公表します。

テーマ。

「”眠り姫”は、森の外に出る前に衣装替えをする必要がある。でも、眠り姫は何を着たらいいかがわからない。”私”は、何を着ればいいかは、森の外に出ればわかると思う。だから森の外に出るのが先だと思う。
でも、”眠り姫”は、”私”の体を動かす力を持ってる。
だから、私は眠り姫を納得させる必要がある」

ーーー学習者さん向けの解説ーーー
まずは、文章を解体してみましょう。そして、それぞれのメタファーの特徴をピックアップしましょう。

”眠り姫”(特徴)
* 森の外に出る前に衣装がえが必要(=望むアウトカム「必要」は望むアウトカム)
*「何を着たらいいかわからない」というプロブレムを抱えている。
*「私の体を動かす力」というリソースを持っている。

"私"
*文脈から読み取れる暗示的な望むアウトカム「森の外に出たい」
*はっきり表現されているアウトカム「眠り姫を納得させる必要がある」

いわば、今、この時の状態は、「体と頭が、別の意思や意見を持っている状態」です。非常によくあるシチュエーション。

このあと、”眠り姫”のご意見をお伺いする時間がはじまりました。
なぜならば、「眠り姫を納得させる必要がある」から!

細かいやり取りは省きますね。

ファシリテーターの皆様、学習中の皆さまは、自分だったらどう質問するかは、テーマのところで考えて楽しんでみてください。私自身の話は自由に遊んでもらって構いません。

「そして、眠り姫は何が起きてくれたら好いのかしら?

”眠り姫”いわく。(と言っても、「彼女はこう言ってます」と私が言っております。笑)

「今、着てるお洋服(白色のコットンのワンピース。着心地がいい)も気に入ってる。かっこいいお洋服じゃなきゃ、森の外には出たくない。それに優雅で洗練された動きもしたい。でも、何を着たらかっこいいかがわからない。」

ここで”眠り姫”の望みや言い分はわかりました。

ーーー物語を楽しみたいだけの人は、ここはスキップしてくださいーーー

学習者さん用にこの言い分をPROで分解すると下のようになります。

*眠り姫のリソース・・・「今、着てるお洋服」

*眠り姫のアウトカム(=まだないリソース)&変化(=森の外に出る)の条件・・・「かっこいいお洋服」「優雅で洗練された動き」

*眠り姫のプロブレム・・・「何を着たらかっこいいかがわからない」

クライアントはすでにサイコアクティブです。
さあ、あなたなら、どこに注目しますか?

続きましては、”私”の言い分を通した時に何が起きるかの確認です。
ファシリテーターは中立(*)です。

(*)どのメタファーのこともエコひいきしません。これ大事。

そしてあなた(*)が先に森の外にでて欲しいとき、眠り姫が先に森の外に出ると何が起きるの?」

(*)このあなたは、普通の私と”私”の両方

「眠り姫が、やだやだやだやだやだ!って叫んでます」(*)

(*)これ、未来を問いかけているのに答えが現在形なのは、質問を現在形にすることでクライアントの「今を移動させる」からです。

そして、すかさず続いた次の質問、これが面白かったんです。

「今、君、やだって5回言った?」(*)

(*)こういう風に、普通の確認の質問も使ったりします。勝手に、今、5回言ったよな?とかは決めつけないのがクリーンなやり方。

は?と思った私は数えました。
確かに5回、「やだ」と言っていました。
「うん、5回」と私が答えると、ジェームズはにやりと笑いました。

そして、5つのやだのとき、ひとつ目のやだは?」(*注)

原文:And when five No, what is the first no?

なんと、やだやだやだやだやだ!を分解しにかかりました。

ーーー物語を楽しむ人はここもスキップーーー

(*注)
1.この質問は、クリーン・インタビューの質問リストに入っている質問です。クリーンな技法シリーズは、違う技法の中の質問も「それが文脈的に合えば」一緒に使うことができます。この場合は、おそらくは手順を省いて、メタファーを出そうとしたのだと推論します。(私はできるのがわかってるから)

2.この「〜は何ですか?」は、相手があげた「物」をファシリテーターが知らない時にも流れを止めずに使える便利な質問です。

3.このように物事を分解する作業を「個別化」といいます。まとまったものを分解して、一つ一つの違いを確認します。そして、それぞれ独立した存在にします。

私は、(質問も意図も知ってるけど)・・・それにしてもなんちゅう妙なことを聞くのやと思いながら、自分の中で、「やだ」を分解する作業に入りました。無意識に、5本の指に、やだをひとつずつおきました。

普通、こういう場合は、先に、5つの「やだ」の場所を問いかけて塊をバラバラに分けます。
そして、1つ目のそのやだはどこにありますか?

はしょったんでしょう。手が動いてましたから、場所は明らかでしたから。

それで、私は、左手の人差し指をぴょこぴょこ動かし、それを眺めながら、「ひとつ目のやだは・・・」と答えました。
その後、「ああ、私は、クリーンファシリテーターだ」と笑ったあと、「2つめのやだは・・・それから、3つ目はね・・・、それで4つ目は・・・」と聞かれもせんのに、それぞれに対応する指をぴょこぴょこ動かし続けて答えました。(*)

ーーー学習者さん向け解説ーーー
(*)一般的には、問いかけないと答えが出てこないことが多いです。「そして、二つ目の・・・はどこにありますか?」とまずは配置しましょう。

そうして、4つ目までは、それぞれ、違う意味をもつ「やだ」が登場しました。

そして、5つめ。
「5つ目のやだには意味がない。ただ言っただけ」

・・・笑ってしまいました。

「このやだ、は、純粋なやだ!」

頭が考えたやり方を、体が断固拒否。笑
不調和!笑
本物のやだ!

そのあと、私は、彼らの助けを借りて、眠り姫との交渉に入りました。
全部、クリーンランゲージの質問だけを使って。

不動産屋さんでいうなら、家賃交渉?
家賃が決まらないと引越しできません。(=森の外に出られません)

20分後、たどりついたのは、あるジェスチャー。
手をひらひらさせるんです。

そして、そこまででクリーンな質問を使ったやり取りはおしまい。

そこから、また、普通の会話(この場合はコーチング)がはじまりました。

普通の会話の間と間にクリーンランゲージを使ったファシリテーションは、はさめます。内面の話の部分にだけ介入せずに、クリーンランゲージの質問を使います。
それ以外の部分については、使用用途によって介入や提案などが必要なことがあるからです。対話の最初から最後までクリーンランゲージだけでやり切るのは、現実的に不可能です。

そしてペニーがくすくす笑いながら言いました。

「どうも、眠り姫は間違えたモデルを持ってるみたいよ。
あなた、眠り姫に新しいモデルを教育しなさい。
道を歩くとき、話す時、そのジェスチャーをしながらやりなさい。
そうしたら、眠り姫が新しいモデルを覚える。
ほら、ジェスチャーしてみて」

私は、微笑みながら手をひらひらさせました。

「そうそう。手をひらひらさせた時の顔の表情、姿勢、それから、自分の話し方も観察してみて」

とまあ、その日はそこで終了!


そして、その後。
さて、ここからが、シンボリック・モデリングの醍醐味です。

話はいつも現実にある!

彼らとの会話を終えた私は、5分ほど、手をひらひらさせていました。

何でしょうかね、とても、柔らかで優しい気持ちになりました。

すると、突然、あるアイデアが浮かびました。

同時に、私は「森の外」が何を意味するかにようやく気づきました。セッション中にはそこは探究しなかったんですね。ちょっと遠い場所(*)だったから。

ーーー学習者さん向け解説ーーー

(*)遠い場所=本人の認知の中で離れた場所にある。つまり、現実から離れているところにあることが多いので、最初に探究するのはお勧めできないことが多い。
______________

これは、普段の日常会話でも同じかもしれません。
ファシリテーションは基本的には、クライアントが認識しやすい体の近くにあるところから探究スタート!します。徐々に世界を広げていく感じですね。
遠くにある場所は、未来を象徴していることも多々ありますが、無理に「頑張って」遠くにある未来を望ませようとはしない。(大体の場合、手前に何か変化が必要だからです)

これ、シンボリック・モデリングの基本スタンスです。
ファシリテーションという言葉はそもそもの意味が、「簡単に楽にできるように手助けする」という意味を持っています。

楽にそこまでいけるように、クライアントにわかりやすいところから始めます。同時に、現実から切り離されてしまわないように。

気づいた私は彼らにメールを書きました。
「あのですね、もしかしたら、思ったより早く森の外に出れるかもしれない」

そしてその日の夜中、私は寝っ転がってスマホを眺めていました。
そうしたら、チン!とお知らせ音が鳴って、私は自分が参加しているチャット・グループが「今から45分、おしゃべり」を始めることを知りました。

その集まりですね、英語です。
時間のこともあり、夜中に英語で論理的なことを考えるのは、私にとっては苦行以外の何物でもないので、いつもはその集まりはスルーします。

けれど、体が勝手に動きました。
そして、楽しく45分間過ごして、ご機嫌で眠りにつきました。

それが起きたこと。

自分が新しい発想を得たことと、いつもと違う行動をとったことだけはわかります。
発想は私、行動は眠り姫の担当分野。

つまり、2つの要素がどちらも動き始めた。

その行動が、「森の外」につながる行動であることもわかります。
体が、そのための準備を始めたこともわかります。
頭が、そのために必要なことを試してみようとし始めたのもわかります。

「さあ、そうすると、次に、何が、起きますか?」

ーーー学習者さん向けーーー

これが、変化の始まりのクライアントの状態です。
(明日、変化の講義をするんですけどね、その前に、実演してみたことに。笑)

ポイントは「し始めた」というところ。
今回、これは、セッション後に起きてますが、もしもセッションの中で、ファシリテーターが時間を動かしていないのに(促されていないのに)、クライアントが自ら「何かをし始めた」ら、それは、変化の始まりのことが多いです。

では、本日はこんなところで。


そして、私は気づきました。
一つの「森」がどこにあるかに。
怖いわ・・・気づいてなかったわ、怖いわ・・・(ほんまに今のこの瞬間まで気づいていなかった)というのが、メタファーの世界。よかったら、森をお散歩しにきてくださいね。


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