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魔法のような|私の体験(2)

こんにちは。


余談ですが、「ドイツは(クリーンな質問を翻訳するまでに)10年かかったってさ!」という言葉を心の標語に今日も考え続ける女、石井ゆかりです(笑)

違う思想文化をバックグラウンドに持つものを翻訳するにはそれくらいの時間がかかるということですね。
ライバルはドイツ!(笑)
9年で、この話は片付けたいと思っています。

「完成する時に日本語の質問は完成する。禅だね!」と、ある時には、ジェームズは書いていました。

おそらく何人もの人が考え続けているのではないかと思います。
私も、もうずいぶん気長にやってきましたが、ここからも気長にいくしかないねと思っています。なんの因果か、誰かが質問の訳を完成させた後に、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングに出会わなかったこと。

How does it work?
私は、質問のその効果と作用だけをひたすら追求し続けてきました。
クライアント・アテンションをどこに向けるか、いかに注意をそらさずに、質問が耳残りせずに、クライアントが自分の世界を心ゆくまで探求できるためには、どうすればいいのか?
どのように、その質問が作用するのか?
どんな結果が生まれるのか?

そして、もう一つ。
日本語として、自然に、やりとりの中に溶け込むのはどういう訳なのか?

私は、クリーンランゲージを考える時に、”日本人”という考えは外して考えています。

私の考えでは、”日本人”には、”それはどんな日本人?”という質問が成立します。つまり、私自身の持つ日本人という概念が前提としてそこに入ると考えているからです。他の技法では、それは問題がなくても、クリーンに関しては、いかなる前提も入れないという概念から外れると考えました。

日本語ユーザーという意味での日本人については考えます。
ただし、最近は、日本語ユーザーは日本人だけでもないので。そして、クリーンランゲージは、言語、なので、日本語について考えるのがよかろうと思いました。

ジェームズには、この考えは、Human being is human being.と説明してあります。私は、言葉の作用と効果について考え続けています。


やってみなければ、試してみなければ、答えがわからないこと。
日本語で、どのように、クリーンな質問が作用し、どのような効果を生むのだろう?
デイビッド・グローヴが実験を続けたように、日本語で実験を続けてみるまで、わからないこと。

思うに、私が本当に書きたかったことは、ガラスの小瓶の中に入れる手紙だったのだろうと思います。
何度か、似たようなことには挑戦してみました。
協力してくれた人たちが少なからずいました。

けれどやがて、私は、気がつきました。
時を待つ必要があることに。
同じ状況の人、同じ体験をした人が現れるのを。
話はシンプルで、最初は自分一人しかいなかったからです。

私は、英語と日本語の両方でクリーンランゲージ&シンボリック・モデリングを習得した最初の一人です。
私以前は、英語で習得したか、日本語で習得したか、どちらか一方の言語で習得した人しかいません。私が日本語でトレーニングを受けたのは、まだ、それが日本語に翻訳されたばかりの頃です。

そして、話を書き進める前に、書いておかねばなりません。おそらくこれを読むほとんどの方は、日本語だけで習得した人々だろうと思うからです。
私は、私が習った、そしてどのようであっても現在使用されている訳が悪いとは思っていません。もしも、クリーンランゲージが、文学ならば、そして、デイビッド・グローヴの実験から始まった技法でなければ、私は質問の訳と運用を自分でも探求してみようとは思わなかったと思います。

現在存在するどの日本語訳も間違いがないと私は思います。
一つだけ、前提条件が入っているこれはクリーンとは違うという翻訳がありましたが、それ以外は。その質問訳にしても、翻訳自体は、素晴らしい翻訳だと思います。
そして、どの翻訳もきっとおそらく、それぞれの翻訳者が掴みとった「意図」、そして、それぞれの人がクリーンランゲージを日本語にしようと思った「目的」を元に訳されています。全て正解です。

加えて、最初の旅で、私は「上手ね」と英語ネイティブのトレーナーに褒められました。
私は胸を張って「だって、日本でトレーニングを受けたからね!」と言いました。

その後、習ったことと、英語でのクリーンランゲージ&シンボリック・モデリングの質問の運用に少し違いがあることに気がついて、一からやり直そうと決めて、もう一度、英語で受けた英語のレベル1のファシリテーターのトレーニングでも、トレーナーに言われました。
「理解できているように見えるし、トレーニングレベルではないセッションができるのに、(しかも英語は明らかに得意ではなさそうなのに(笑))、あなたどうして、トレーンングを受けに来たの?」

このことを、最初に書いておかないといけません。

日本語で行われているトレーニングの基本的なところに全く問題はないと、私は考えています。現在、どのようなことになっているか全く把握していませんが、これはずっとそうです。

ただ、私は味わってしまったのです。マジカルワールドを。
最初の旅で、「魔法のような」ことが目の前で起きるのを見て、そして体験してしまったのです。

自分自身がクライアントとして受けたセッションでも、そして、自分が提供したセッションでも。
私にセッションをした人はジェームズ・ローリー。シンボリック・モデリングの考案者の一人です。

かたや、ペーペーのクリーンファシリテーターが行ったセッション。
そばで見ていたジェームズが笑いながら、「さっきから、君、指と質問が指しているものが違う。質問の主語をyouからsymbolに変えて」と言った一言で、相手が何を言っているかほとんど理解していない人が発した質問で、クライアントだった人がもう何年も困っていたというあるメタファーが、突然、変容を始めたのです。

どちらも、その間、わずか10分です。

本当に魔法のようでした。

どちらも、そこまで長期間抱え続けていた問題から、キラキラ光る新しい世界が生まれました。つまり、プロブレムから始まったセッションに、たった10分で、チェンジが起きたのです。

その時、ジェームズがしてくれた自分がクライアントのセッションで、私が出した問題は、自身が帰国子女だということが関係している話でした。
幼い頃の一時期を外国で過ごした後、日本に帰ってきてから、私は自分が日本人らしくないということで、少しばかりの疎外感を常に抱きながら生きていました。
たった10分。
たった10分のセッションをきっかけに、私は、自分の心の中の国境線を無くし、自分の心の中に自分の王国を築く決意をし、そうして、そのセッションから生まれたメタファー・ランドスケープが、少しずつ形を変えながら、5年たった今日も、私を動かしています。

これは、この5年、英語でセッションをする時にも時々おきました。
残念ながら、まだ、日本語では起きていません。
早くて60分は時間がかかります。

ことは早ければいいというものではありませんが、私には、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングは、問題を解決するための技法ではないという理解があります。
私の理解では、それは、クリーンランゲージを使って、まだここにない新しい何かを生み出すための、新しい視点を得るための、新しい経験をするのための技法です。自分を探求するための技法です。創造し、発展させていくための技法です。
問題解決のためだけの技法ではないという理解が、質問訳を考える上でも大きいです。

また、オリジナルのClean Languageが生まれた時のように、傷ついた人を癒すことを主目的とした技法であれば、日本でもう一つ行われている「クリーン言語」という技法で使用されている現在の訳で問題ないのではないかと考えています。

なお、「クリーン言語」のオーガナイザーでもあり、日本語の翻訳者でもある方からご連絡をいただいて、数年前、私は一度、5時間ぶっ通しでお話しする機会をいただきました。盛り上がりすぎて、話はとんでもなく長いことになり、2人ともくたくたになりました(笑)
けれど、その会話のおかげで、頭の整理がずいぶん助けられました。
とても感謝しています。

その頃、私は、andの訳について考えていました。

「自由にやってみるしかないわね」と、その人が明るく笑っておられたのが印象に残っています。その後、質問の訳が知りたかったので、私はクリーン言語のワークショップに一度参加しました。


もちろん、バインドが絡む長く続いてきたパターンが解決するのには、時間がかかります。一度のセッションではすみません。それでも、英語の方が新しいパターンを生み出すのが早いと、私は感じています。
言語の持つ特性から生まれる思考の差は多少あるかもしれません。

しかし、もしも、言語の持つ特性から生まれる思考に差があるのなら、その特性を取り込めることは、日本語で話す人々に取っては、それこそ、新しい思考回路を使えることになり、非常に有益な気もしています。
つまり、できるだけ、英語に近い、日本語として自然な質問訳を私は探しています。(無謀かもしれません(笑))

「魔法のような。」

それは、クリーンランゲージを表現する時に、時折使用される表現です。

そして、私が最初に気がついたのも、私自身が、What would you/symbol like to have happen?をビビデバビデブーだと理解しているということでした。シンデレラの中で魔法使いが使う魔法の呪文です。

当時、その質問の日本語訳は2つ、3つ存在していました。私は、「何が起きればいいのでしょう?」と日本語で訳されていたそれを習いました。

そして、最初の旅から帰ってきた後、自分が、What would you/symbol like to have happen?を魔法の呪文だと理解したことに気がつきました。

私の長い長い試行錯誤は、「何が起きればいいのでしょう?」ではなく、What would you/symbol like to have happen?を、魔法の質問だと自分が理解したところから始まりました。
これは少なからずショックでした。
だって、私は、日本人ですから(笑)
魔法の質問が外国語だったなんて!(笑)
不便じゃないですか(笑)


そして、私は、ジェームズに、一通のメールを送りました。
私の知る魔法使いの一人に。
私はそのメールを日本語で書き、それから英語で書き直し、私の英会話の先生がそれを手直ししてくれました。
「これは日本語ですね。イギリス人にはそれでは伝わりませんよ」と、何回も先生に直してもらいました。
そうして出来上がった「英会話の先生に手伝ってもらってこのメールを書いています」から始まった私のメールに、日本語の魔法の呪文についての話に、魔法使いは興味を示しました。

「面白そうな話だね。とても興味深いから、日本に存在する”What would you/symbol like to have happen?”を英語に翻訳してまとめたものを送ってくれる?もちろん、厳密には無理だろうけど、文字通りで。」

魔法使いから来た返信を、私は、ハリー・ポッターがダンブルドア校長から、ホグワーツの招待状を受け取った時のような気持ちで読みました。辞書を使いながら。

そして、私の魔法の呪文探しの旅は始まったのです。

「ドイツは10年かかったってさ!」


クリーン実験室のホームページはこちらから


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