余談ですけど... | クリーンランゲージのファシリテーションは何のよう?
余談ですけど...
三重奏。
これは、私が、クリーンランゲージの質問を使って、シンボリック・モデリングのセッションをファシリテーションするときの、私のメタファーです。
最初は違うメタファーでしたが、10年たって、今はこれが一番近いです。
響きあう。
「共鳴する」という表現を使う方もいます。
この場合、三、がポイントです。
楽曲は、バッハがイメージが近いです。
3つの楽器がそれぞれに、それぞれに異なるメロディを奏でる。
けれど、3つそれぞれのメロディが、ひとつの主題にとりくみ、調和し、ひとつの旋律(物語)を生み出し、奏でる。
私が演奏する楽器は、他の楽器が奏でるメロディの邪魔をしない。
私は、他の楽器の演奏者が、より伸び伸びと演奏できるように気を配る。
そうして世にも美しい、豊かな情景に満ちた、その時たった一度だけ奏でられる、後から二度と同じものは再現できない時間と空間が生まれる。
鮮やかな体感を伴って。
生まれた音楽は、主旋律を演奏するメイン奏者のうち1人の人生を助ける。
そんなイメージです。
私が注意することは、メイン奏者が生み出すスピードやトーンを損なわないこと。
曲のイメージをつかみ、それに合わせた強弱やアクセントで演奏すること。
さて、三。
普通の三重奏と大きく異なるのは、この時、メイン奏者が2人いることです。
1人は、クライアント(質問に答える人)。
もう1人は、メタファー・ランドスケープ。
クリーンランゲージを使うコミュニケーションは、クライアントの使用した言葉だけを使用するクリーンさに着目されやすいですが、実は、大きな特徴は、トライアログにもあります。
私個人的には、コーチングやカウンセリング、セラピー目的で使用する場合は、こちらの方が大きな特徴ではないかと感じています。
言葉については、表面的な部分では、要約と再解釈についての扱いの違いと、構文が独特という部分を除いては、クリーンランゲージ以前に、カウンセリングの技法に似たようなものはあります。クリーンランゲージは、デイビッド・グローブがそれらを分析研究しつくし、さらに洗練させたものというイメージがあります。
クリーンランゲージの質問を使うファシリテーションでクライアントを誘導しない、する必要がない大きな理由のひとつは、そこに、メタファーたちが存在するからです。
メタファーたちにも意志があったり、目的があったりします。
そして、明らかに、メタファーたちは、ファシリテーターよりも、クライアントに詳しいのです。
クリーンランゲージの質問を使って奏でられる音楽において、ファシリテーターは、主旋律を奏でる存在でもなければ、指揮者でもありません。
シンボリック・モデリングの場合、そこにいる指揮者はただ一つ。
クライアントの「望み」です。
セッションを導き引っ張り続けるものは、クライアントが「望む世界」です。
望みという主題に沿って、クライアントと、クライアントのメタファー・ランドスケープ、そしてファシリテーター、この3つのメロディが奏でる三重奏。
それが、私にとってのファシリテーションです。
あなたにとって、クリーンランゲージを使ったファシリテーションは何のようですか?
ちなみに、この質問の回答は、非常にバラエティが飛んでいるはずで、一人一人、違うと思います。過去にとられたアンケートでも、なんともまあバラバラな答えでした。
みなやっているのは同じことでも、同じことだとは感じていないんですね。
実際、やっていることも、最初は似たような感じですが、経験値を積んだ人たちのセッションは非常に個性豊かです。
基本は同じですが、型は初心者向けや学習用のサポートにあるだけで、最終的にはあってないようなものですので。
「望み」が必要とするプロセスには何百通りもの道筋があります。
ファシリテーターひとりひとりが持つリソース(この場合は長所や得意なこと)も違います。
だから、みんな違って、みんないい。
そこに広がるのは、あなたとクライアントの組み合わせの妙。
二度と同じものは再現できない、組み合わせが違えば、違うものが生まれるたったひとつの正解はない豊かさではないかと思います。
では、また。