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(4)クリーンって何ですか?

こんにちは。

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インターネットの検索や、辞書で、<クリーン>を調べると、登場するのは<綺麗なこと、清潔なこと>ですね。

クリーニング屋さんに、清掃業者さん。
クリーンな空気。



けれど、クリーンランゲージは綺麗な言葉という意味ではありません


では、さて、何を、クリーンというのでしょうか?



はじめに、に書いた通り、<クリーン>の定義は曖昧です。

曖昧ですが、はっきりしていることもあります。



「相手の世界観を、自分の世界観や思い込みや決めつけで汚染しないこと。」



これを、クリーンといいます。



では、どういうことが相手の世界観を汚染しないことになるのでしょう?
何を汚染と言っているのでしょうか????




クリーンランゲージに初めて出会う人は、<断言しないこと>をクリーンだと考えることがよくあるのだそうです。

けれど、そうではなく、<自分の思い込みや決めつけを最小限に抑える意図(意志)>のことを指して、クリーンと言います。

決めつけないぞ!思い込まないぞ!相手にそれを押し付けないぞ!
つまりは、相手の世界観を尊重するぞ!です。

なるほど、考え方ですね?・・・というわけでもないのです。



クリーンランゲージは<技法>なのでありまして思想ではないと、トレーナーの誰かが言ったのを聞いたことがありますが、そうなのです。


クリーンランゲージは<技法>なのです。テクニック。




というわけで、この場合、根っこに相手を尊重するという哲学や思想もあるのですが、何をもってクリーンであるかということは、行動についてははっきり決まっています。

クリーンでいるために、セッションを提供する側(ファシリテーター側)の行動が制御されています。

どうやって、相手の世界観を汚染しないでいるか、どうやって、自分の思い込みや決めつけを最小限に抑える意志を達成するか?




クリーンファシリテーターがどうやってクリーンでいるか?その方法。



本日は、まず、コーチングやセッションなどで、クリーンでいる場合の方法をご紹介します。(日常の中で、クリーンっぽくいる方法は、後の方で少しだけご紹介しますが、詳しくは、また別の記事に書きます。)

<クリーンでいる方法>

1)質問する時に、質問以外は、クライアント自身が使った言葉だけを使用する。

2)クライアントの言葉を言い換えない。要約しない。

3)クライアントがそれまでに発言したことの論理(理屈)で正当化できる質問だけを尋ねる。

4)こちらからは、メタファー(比喩)を提案しない



5)できる限り、相手の発言が何を意味しているか推測しない

6)いかなる前提条件も含まない質問をする。




1から6まで、普通の会話の中では、飛び交っているやり方ばかりです。
要は、いつもとほとんど全く違うやり方ということになるかもしれません。

何?いつもの会話は汚れているということか?!
・・・そういうことではありません。
クリーンは、綺麗なという意味ではないので、クリーンじゃない会話は汚れた会話ということではないのです。

そして、ふんふんなるほどね〜、と思うのは簡単なのですが、これ、やってみると、最初は結構難しいです。何しろ、普段と違うので。
相手の世界に入らないので。

そして、普段は、自分が理解するために話を聞いていますが、このクリーンな話の聞き方は、聞き手側の理解には配慮されていません。
どこまでも、相手が自分で自分の世界観を探求していくことをサポートするということに重きが置かれて作られています。

相手を理解したい!という思いは、ちょっと脇に避ける必要があります。
あなたが相手を理解するのではなく、相手自身が相手を理解するためのコミュニケーションがクリーンランゲージだからです。

ただ、私自身は、学習する中で、やがて、気づきました。
他者の世界観を果てしなく尊重することは、つまり、クリーンでいることは、自分の世界観も果てしなく尊重することにつながるということ。
そして、他者の世界観の中に介入しないということは、お互いに、果てしない自由を手に入れるような感覚がしました。平和だなあ・・・という感覚。
(個人的感想です。)


さて、では、実際、クリーンな返しとはどういうことかという例を少しご紹介します。

あるクライアントが相談に現れて、こう言いました。

「抜け道がなくて、固まって動けないんです。」

それに対する返答3つ。さて、どれがクリーンな返答だと思われますか?

A:あなたには、そこを立ち去る覚悟がありますか?

B:もし抜け道を見つけられたら、何が起きますか?

C:その固まって動けないは、どういう固まって動けないですか?


AからC、どれも、普通に見ればちっともおかしくない返答に見えます。
けれど、クリーンかどうかということでいうと、クリーンなのは1つだけです。さて、どれでしょう?

クリーンでいる方法の(1)〜(6)と照らし合わせてみましょう。

A
「立ち去る覚悟」という言葉は、クライアントの発言にはありません。
というわけで、こちら、クリーンではありません。

もう一つ、この質問には、「立ち去る覚悟が必要」という前提条件が含まれています。

確かに、固まって動けない人がいたら、ありそうな解決策ではありますが、それはあくまでも、ファシリテーターの世界観の中での話です。

ファシリテーターが、立ち去る覚悟が必要と思った、ということですね。
クライアントの世界の中で、立ち去る覚悟が必要かどうかはわかりません。世界観の押し付けがそこにあります。

この、世界観の押し付けを「介入」と言います。


B
こちらは、惜しい!ですが、クリーンではありません。

ほとんどクライアントの言葉のままですが、「見つけられたら」という仮定が入っています。
また、
抜け道を見つけるというのが解決策だという推測が入っています。


この解決策、こちらは、やはりファシリテーターの世界観の中での解決策です。

だって、クライアントは、抜け道を見つけなくても、羽が生えて空を飛んでしまうかもしれないし、道が溶けて海になって船で漕ぎ出してしまうかもしれないし。



わからないですよ。ほんとに。


AとBは、クライアントの世界観の中に、ファシリテーターの世界観が介入しています。
つまり、どっちもクリーンではありません。




あ!一つ注意点がございます。



クリーンじゃないのは悪いことではありません。

ただ、クリーンランゲージ上のクリーンの定義には、AとBは当てはまりませんというだけのことです。




さて、続きまして、C。



一番不自然で妙に見えるこの返答が、実は、クリーンです。


ちなみにコーチングやカウンセリング場面で使う時以外は、前半の「その固まって動けないは」の部分は、省略可能です。



この返答は、クリーンな質問と、クライアントが言った言葉のみで構成されています。そして、ただ質問しているだけで、ファシリテーターの世界観はそこに混じっていません。


というわけで、クリーンです。



使っている質問は、「その〇〇は、どんな〇〇ですか?」という質問です。
この質問、クリーンランゲージでは、非常によく使用されます。
最初に覚える4つの質問のうちの1つです。

「その〇〇は、どんな〇〇ですか?」・・・特徴を尋ねる質問

余談ですが、こちらの質問ですね。

実際に、使ってみると、非常に便利です。

日常でも、プチクリーンな(クリーンっぽい)感じで使えます。



誰かが、感情を言い表したり、状況を言い表したり、何かを言い表したりした時に、「それってこういうこと?」とこちらが考えて尋ね返すのではなく、「その〇〇ってどんな〇〇なの?」と聞いたりすると、相手の世界や価値観で答えが返ってくるので、楽しいです。


海外ドラマ(特にイギリスの)を見ていると、ちょいちょいこの質問の英語バージョンが、普通にセリフに登場しますので、英語圏では普通に使われている質問なのでしょう。



What kind of〜?というのが元の質問です。




というわけで、今回は、クリーンについて、でした。



「相手の世界観を、自分の世界観や思い込みや決めつけで汚染しないこと。」





次回は、どうして、クリーンでいる必要があると、クリーンランゲージでは考えているのか?
そこに関係する、メタファーや世界観についての話をお届けします。

次回は、あなたの世界観を探求するちょっとしたワークもご用意しています。
お楽しみに。

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参考文献:References



Penny Tompkins and James Lawley, Less-Is-More-The-Art-of-Clean-Language, 1997


Marian Way and Caitlin Walker, https://cleanlearning.co.uk,What does the ‘clean’ in Clean Language stand for?


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