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キャリブレーション|【学習者向け】|クリーンランゲージ&シンボリック・モデリング

こんにちは。
本日は、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングのなんらかのトレーニングに出たならば、耳にタコができるほど言われる単語についてです。

キャリブレーション。


元の英単語は、calibration。

最近、日本語でも、時折、キャリブレーションとカタカナのままで表記されているのをちらちらと目にすることがあります。
意味は、業界によって、少しニュアンスが異なる意味で使われているような感じもします。

というわけで、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングで、"Calibration!"とか「キャリブレーション!」とトレーナーが、トレーニング中のファシリテーターにつっこみを入れてくる時、それは、どういう意味なのかを、あらためて、探ってみたいと思います。

おそらくは、シンボリック・モデリングとなんらか関わったことがある方は、「きっとこんなことを言うのよね〜」と、ご自身の体験から感覚としては理解しているはずなのですが、本日は、少しばかり深堀りしてみたいと思います。

細かい説明に入る前に、サクッと、英和辞典でのʼcalibrationʼの訳を確認しておきます。

calibration

(温度計などの計器類)に⽬盛りをつける、⽬盛りを修正、調整する

(管などの)⼝径を測る

調整する

キャリブレーションする

(Weblio英和辞書より)

はい。ありました。
キャリブレーションする。

カタカナそのまま〜。
そして、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングでも、キャリブレーションはキャリブレーションそのままで訳されて用語として使われていることが多いです。

これは、NLP(神経言語プログラミング)でも使われている用語です。
クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングは、NLPから大きな影響を受けていますので、同じ用語が割とたくさん登場します。

しかしながら、微妙に、その定義は異なったりします。

ではここで、例によって、技法の考案者のお一人である、ジェームズ・ローリーにご登場いただきまして、キャリブレーションについて、説明してもらいましょう。

というわけで、

本日のテーマの参考資料は、Calibrating whether what you are doing is working– or not. Penny Tompkins and James Lawleyです。*翻訳許諾済*

その中のCalibrationという項目を主に参照します。
タイトルを訳すと、「自分がしていることが(クライアントに)作用しているかどうかをキャリブレーションすること」というような感じでしょうか。


では、まず、その英単語の語源から参りましょう。

辞書にあるʻcalibrateʼの定義は以下の通りです。(この辞書は英英辞書です。)

1.(ゲージや機器に)標準の⽬盛りをつけること。

2. 機器の精度をチェックするために、機器の測定値と標準器の測定値を相関させること。

3. 外部要因を考慮に⼊れたり、他のデータと⽐較できるように(実験結果を)調整すること。

Calibrating whether what you are doing is working– or not.Penny Tompkins and James Lawleyより *翻訳許諾済*

色々ありますが、クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングで、キャリブレーションという時は、2番目の定義を「メタファー的に拡張したもの」です。

「機器の精度をチェックするために、機器の測定値と、標準機の測定値を相関させること。」

これはどういうことかと言いますと。
参考資料の中の例を使って説明すると。

「お肉やさんのはかりの目盛りがちゃんと正しいかどうか、担当の役所が、規定の分銅を持ってきて測ってみること」のようなことです。

つまり、お肉やさんが↓の計りを使って、お肉を測っているとします。

この計りが1kgと指し示す時、本当に、それは1kgなんでしょうね?、ごまかして、800gで1kgと指すように調整してないでしょうね?と、役所が持参した標準分銅を使用してチェックすることです。

分銅は、こんなのでしたね。懐かしい。

そして、時々は、この分銅は、本当に1kgは1kgなんでしょうね?と確認する必要が登場するわけで、そうすると、別のまた、標準計りを使用して、今度は分銅が正しい重さかどうかを確認し、そして、ではその今使った標準計りは・・・と、誰かが「もう十分です!」というまで、相関関係にある異なる機器を使って、正確かどうか調整していくということになります。

クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングのキャリブレーションは、こんな感じのキャリブレーションです。

使うものは、はかりと分銅ではありません。もちろん!

さて、では、何を使っているのでしょう?

まず先に、NLPのキャリブレーションから。

ロバート・ディルツとジュディス・デロジエは、『Encyclopedia of NLP』の中でこう⾔っています。

「NLP において、キャリブレーションとは、継続的な相互作⽤の中で他⼈の反応を読み取る⽅法を学ぶプロセスの名前である。」

これは、外部にあらわれている⾏動と、特定の内的認知や感情の状態の間に相関関係があることを意味します。

クリーンランゲージ&シンボリック・モデリングでも、同じような意味で、キャリブレーションを使っています。

対応させているものは、はかりと分銅ではなく、

(クライアントの)内的な認知や感情の状態(クライアントの)外部に現れている行動(ジェスチャー、息遣い、その他もろもろ)です。

それを、クライアントをよく観察することでするわけですね。
使うものは、目と耳です。見えるもの、聞こえるもの。

初心者さんがよく引っかかってしまうのは、クライアントの言葉を聞いて、「きっとクライアントはこう思っているんだろう」という推測をしてしまうことですが、こちらは、キャリブレーションではありません。ご注意を。


というわけで、「キャリブレーション!」と突っ込まれたら、「クライアントをよく見なさい!」ということです、ほとんどの場合。


さて、NLPと同じような意味で使われているキャリブレーションという言葉ですが、少し違いがあります。

私たちは、NLP と同じようにこの⾔葉を使っていますが、特定の内的な(クライアントの)状態と(クライアントの)⾏動を⼀致させることにはあまり興味がありません。

それよりは、次に⾃分たちが何をすべきかを知るために、現在の状態の⼤まかなカテゴリーを測ること(キャリブレーションすること、⽬処を⽴てること / calibrating)に興味があります。

そうです。
シンボリック・モデリングのファシリテーターがする仕事、それは、「質問をすること」です。

今、クライアントはどのプロセスにいるのか?
(例:今は、アウトカムのプロセスなのか、レメディのプロセスなのか、プロブレムなのか、チェンジのプロセスなのか)

どういう状態なのか?
(例:サイコアクティブなのか、そうじゃないのか)

例えば、そういうことがわからないと、クライアントにとって役に立つ質問ができないですね。

個々の状態をキャリブレーションすることは有益です。しかし、それはまず、⼤まかなカテゴリーを正確に⽬測した場合に限られます。

もちろん、全ファシリテーターは「⾃分は、プロブレム、レメディ、リソースとアウトカムの違いを認識している」と⾔います。そして、ファシリテーターにはそれが「可能」です。

けれど、現実における、ごった返したセッションの中で、⼤半の⼈はそうはできていないということを表す多くの実例があります。

なるほど。

そして、どの段階のキャリブレーションが、特にポイントになってくるかと言いますと・・・

私たちが特に注⽬しているのは、まだ何の変化も起きていないセッションの初期段階で⾏われるキャリブレーションです。

ここでは、(クライアントが内的世界の探求の)「準備中」「準備が整っている」「途中である」などの幅広い種類の状態をキャリブレーションする必要があります。

アーネスト・ロッシの⾔葉を借りるなら、クライアントは「創造的な内的作業の期間と、内的世界を再合成するための⽣きた経験的現実」((p. 24, Symptom Path to Enlightenment).)のための基礎を築く作業をしているのです。


そして、最後に。

クライアントの⾏動が、(セッションの)過程が彼らのためになっているか、そうではないか、どちらを⽰しているかをキャリブレーションするのは、ファシリテーター(が現在進⾏形で確認できるクライアントから)のフィードバックの⼀つです。

ファシリテーターはクライアントをキャリブレーションしているように⾒えますが、また同時に、⾃分⾃⾝の(していることの)有効性をキャリブレーションしているのです。


小さな用語一つ一つの定義を確認してみると、なかなか面白い!ということに気が付きましたので、また、機会があればやってみたいと思います。

では、また。

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