青春!そして恋愛!さらに音楽 ~映画『waves』感想
※フザけてすみません↑タイトル
※ネタばれあり。
「音楽がいい」という映画に惹かれる癖があり、この映画も劇中の音楽が話題になっていて観たい!と思ったのです。オシャレーと思いましたし、a●azonmusicでサントラを探してみたりしましたが、実はそこまで音楽に詳しくないので語ることはできません。。。洋楽、特にヒップホップやクラブミュージックが好きな人は気に入ると思います。
前半はレスリング部に所属している高校生男子、後半は彼の妹の視点でストーリーが展開します。一言で感想を言うと「青春やなあ」。若くて青くて、危なかっしくて仕方がない。自分の年齢のせいか主人公たちの性格のせいか、母目線どころかおばあちゃん目線で「あー、もうおよしなさいよ…」と言いたくなることもしばしば。
レスリングの花形選手だった青年が肩の故障で選手生命の危機に。同時にGFの妊娠が発覚し、行き詰まった彼がとった行動が大きな悲劇を生んでしまう…。この時の彼の暴走っぷりは確かに酷かったですが、とはいえ、周りの人たちもうーん…という気がする。追い詰めた、とまで言いませんが、もう少し「あれ?彼最近変じゃない?」って気づいてあげてもいいのでは。特に主人公父。正論をだーっと並びたてて「さあ、言いたいことがあるなら言え」って、そりゃダンマリにもなりますわ。本人は「私は彼の話を聞いてあげようとしていた。彼が何も言わなかったんだ。」って言うんだろうな。本人としては「聞いて」いるつもりなんだろうけど、聞くというより「どうやって相手を自分の思う方向にもっていこうか」しか思ってなくて、相手が何を言っているか理解する気はゼロなんですよね…。こういう性格って日本人的だと思っていたので、アメリカ映画でこうしたキャラクターが出てきたのは意外でした。
後半は彼の妹ちゃんが主人公なのですが、彼女がとにかくけなげでかわいらしい。お兄ちゃんの起こした事件のせいでツライ立場になってしまったためか、いつも控えめで学校でも一人きり。極端なイジメ描写はないのですが、誰も彼女に目もくれないという状況と「皆がひどいことばかり送ってくる」ためにSNSができなくなってしまったという環境は、高校生にとっては世界から見放されたような孤独だろうと思う。そんな中で声をかけてきてくれた男の子と恋に落ちる妹ちゃん。順調に交際していく二人ですが、長年疎遠だった彼氏くんの父親が余命僅かとの連絡があり、2人は病院で付き添うことに…。体を動かすこともままならない父親(母親とは離婚していて何年も連絡なし。さらに薬の常用者で暴力も振るっていた。)をかいがいしく看病する彼氏くん。そんな彼に寄り添う妹ちゃん。家族を喪おうとしている人を前に、自分の家族を思い返してしまうのは必然かもしれません。妹ちゃんが涙ながらに「もう一度話したい」とメッセージを送り、少しずつ家族が歩み寄り始めます。母(長年兄妹を育ててくれた継母)と話をする父。二人きりで釣りに行き、心のうちを語り合う父と妹ちゃん。弱音を吐いて涙を流す父親を抱きしめる姿や、お兄ちゃんが事件を起こす直前、泣いている彼を慰めていた姿が映るにつれ、もう妹ちゃんが天使のように見えて仕方ありませんでした。なんていい子なんだ…。家族が再構築されていくのは悪いことではないですが、家族の中で最年少の妹ちゃんにそんな役目を背負わせてしまったことはこの家族の反省すべき点では?いつか妹ちゃんが疲れ果てて限界を迎える前に、彼女にも弱音や本音を吐ける場所があってほしいと思います。彼氏くんがこのまま真っすぐ成長してくれたらすごく素敵なカップルになると思うんだけどな。
ラストの回想シーンで流れたお兄ちゃんがGFに言った「愛してる」というセリフに「やっぱり青いなあ」と思いつつ、少しだけその青さが羨ましくなりました。