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北朝鮮でいろんなものを食べた話(2019.5.25-2019.5.30)

はじめに注意

2024年11月現在、日本国外務省は目的のいかんを問わず北朝鮮全土への渡航自粛を要請しています。
本記事では北朝鮮に渡航した内容を記していますが、読者の皆さんに北朝鮮への渡航を推奨するものではありません。
また、この記事に記載の内容を真似するなどして損害を受けたとしても、当方は責任を負いかねます。
以上の点をあらかじめご承知おきください。

3度目の北朝鮮渡航

2019年5月25日から2019年5月30日までの6日間、北朝鮮に行ってきました。
目的は主にふたつ。過去の渡航で行ったことのない北東部方面(元山、咸興)に行くこと、咸興で盛岡冷麺の元になった咸興冷麺を食べること。

実は北朝鮮には過去2回渡航しているのですが、革命の首都・平壌、そして冷戦終結後の現在も世界で唯一「冷戦の最前線」となっている板門店とすぐ後ろに控える高麗時代の古都・開城という、北朝鮮観光では定番の土地にしか行ったことがありませんでした。
いずれも過去の渡航である程度見ていたこともあり、3回目の渡航はせっかくならまだ見たことのない地方にも足を延ばそうと決めました。

初回渡航時に参観した万寿台大記念碑(金日成主席、金正日総書記の銅像)


全体の渡航日程は以下の通りでした。

2019年5月25日(1日目)

羽田空港→海南航空(中国)→北京首都国際空港→高麗航空(北朝鮮)→平壌国際空港→平壌高麗ホテル

羽田発が日本時間深夜2時過ぎ、北京着が北京時間早朝5時過ぎなので、北京時間13時過ぎの平壌行き飛行機を同日のうちに捕まえることができるルートでした。
(このルートでないと、北京に1泊する必要あり)

トランジット時間を利用して天安門広場を見に行ったら、ちびまる子ちゃんの傘さしてる中国のおばさんがいた。草。

2019年5月26日(2日目)

平壌高麗ホテル→東明王陵(世界文化遺産・高句麗古墳群、平壌郊外)→元山市内観光(旧元山駅参観、模範家庭参観、侍中湖散策、松涛園散策など)→松涛園旅館

平壌から朝鮮国際旅行社の専用車で、東海岸南部の都市元山に移動しました。
高速道路(平壌元山観光道路)で、途中参観や休憩を挟みつつ、約4時間の移動でした。

高句麗初代の東明聖王の陵墓。世界文化遺産・高句麗古墳群の構成古墳のひとつ。

2019年5月27日(3日目)

松涛園旅館→咸興市内観光(咸鏡南道革命事績館参観、興南肥料連合企業所見学、麻田海岸観光保養所散策、咸興本宮参観など)→新興山旅館

元山から北朝鮮第2の都市・咸興へ。
高速道路はなく、一般道をひたすら北上して約2時間の移動でした。

咸興への移動途中、ちょうど蕎麦の花が満開になっていた。

2019年5月28日(4日目)

新興山旅館→ウルリム滝→馬息嶺スキー場→平壌市内観光(平壌地下鉄乗車、凱旋門参観など)→平壌高麗ホテル

咸興から平壌に戻る日でした。
行きと異なり元山市街を通らないショートカットルート(ガイド氏曰く、日本人でここを通ったことがある人はないとのこと。本当に?)を使い、途中元山郊外の馬息嶺スキー場に寄りつつ、約7時間の移動でした。

道路工事中の2001年(主体90年)たまたま発見されたというウルリム滝。壮観でした。
平壌南郊の祖国統一3大憲章記念塔。昨今の対南敵視政策のため、2024年1月下旬に破壊撤去された模様。

2019年5月29日(5日目)

平壌高麗ホテル→板門店観光(共同警備区域参観、停戦協定調印場参観など)→開城市内観光(世界文化遺産・高麗成均館参観、世界文化遺産・王建王陵参観など)→平壌市内観光(光復地区商業中心)

前回ぶりの板門店、開城でした。
平壌からは高速道路(平壌開城高速道路)で、片道約2時間の移動でした。

2018年5月の南北首脳会談を記念して共同警備区域に植樹された記念樹。(画像中央左寄りの丸く整えられた樹木)
2024年10月現在おそらくパージされたものと推測。


2019年5月30日(6日目)

平壌高麗ホテル→平壌国際空港→高麗航空(北朝鮮)→北京首都国際空港→日本航空→羽田空港

この日は日本に帰国する日。
早朝に準備を整え、長い時間を過ごした北朝鮮を去ります。

北朝鮮入国に必要な観光証。パスポートに出入国印は押印されずこの観光証に押印される。
北京首都国際空港で見かけた”センザンコウを食用にすると罰則を受ける旨”の広告。これを食用にしたせいで新型コロナウイルスが拡散したという説もあり、非常にアレ。食べるな。

北朝鮮で食べたものをひたすら貼っていく

ここからは北朝鮮で食べたものをひたすら貼っていきます。
ようやくこの記事のタイトル回収です。

北朝鮮の料理の特徴として、韓国のようにめちゃくちゃ辛くしてやる!みたいのがなくて、素材の味わいを大事にする傾向です。
なので、日本人の口にとても合うと思います。(他の北朝鮮旅行記を見ても、口に合うと言ってる方は多い印象)

高麗航空(1日目昼食)

北朝鮮のフラッグキャリア・高麗航空のかの有名な機内食。マズいという話もありますが、普通に食べられる味。飲み物はぶどうジュースとのことですが、なんとなくケミカルな味わい。

平壌高麗ホテル(1日目おやつ)

平壌高麗ホテルのラウンジでガイド氏と旅行の詳細な内容を打ち合わせしながらいただいた大同江麦酒。このビールすごく美味しいんです。

清流観光記念品商店(1日目夕食)

彩り豊か。北朝鮮での食事はこんな感じでたくさんの品物が出てきます。たくさん食べ物を出すことがおもてなし、という文化。
きゅうりと鶏肉の中華風あえもの。
天ぷら。
魚のチョンゴル(朝鮮半島の鍋料理)。
チョンゴル完成。

平壌高麗ホテル(2日目朝食)

バイキング形式。朝はあまり食べないので、ごはんとおかずとキムチでシンプルに。

新坪休憩所(2日目おやつ)

平壌元山観光道路にある新坪休憩所(サービスエリア)に立ち寄った際に見つけたヘビ酒。ファンクロンイ酒との記載。
ファンクロンイって調べてみるとミナミカラダイショウというヘビで、日本だとコリアンラットスネークで通ってる感じのようです。
ショットで飲んでみました。結構強かったです。

元山食堂(2日目昼食)

ライギョのスープ(だったかな?)
中華風の炒め物。
ミヨックッ(わかめスープ)。
ライギョの唐揚げ。
ライギョの煮付け。
かわいい(かわいい)。
元山は日本海沿いの港町なので、魚介類のメニューが豊富でした。
ライギョのムニエル的な。
ライギョの刺身。あとで知ったのですが、ライギョは寄生虫がいるので生食するのはよろしくない魚なんですね……。

侍中湖海岸(2日目おやつ)

コカコーラ(迫真)。
ガイド氏に奢ってもらいました。中国製。

松涛園旅館(2日目夕食)

魚のスープ。
松涛園旅館でもいろんなものが出てきました。トマトが美味しかった記憶。
ツルニンジンだったかな。ここでもお供は大同江麦酒。
北朝鮮産のワインもあるとのことでいただきました。とても甘かった……。

松涛園旅館(3日目朝食)

松涛園旅館も朝食はバイキング形式でした。

新興山旅館(3日目昼食)

テンジャンチゲ(味噌汁)に、ヒラメの唐揚げとトンカツという組み合わせ。トンカツが出てくるとは思わず驚きました。(在日同胞の方が伝えたのだろうか?)

新興山旅館(3日目夕食)

この旅行のメインイベント。
このために咸興まで足を延ばしたので、咸興の夜にパーティー開幕だ!!!くらいの勢いで咸興冷麺を含むいろんな料理が出てきました。
ガイド氏の分もお金出して(*)豪勢にしたので、すごかったです。(小並感)

*基本的には前払いの旅行代金にガイド氏の分の飲食代も含まれているようですが、食事のグレードを上げる場合はガイド氏の分の料金も上乗せして払う場合あり。

咸興はジャガイモの名産地のため、ジャガイモ料理が並びます。
ポテトチップス。
コロッケ。北朝鮮でコロッケに遭遇するとは思わなかったです。
ハッシュドポテト的なものとジャガイモの澱粉でできたマンドゥ(餃子的なもの)。
牛肉も少し出てきました。
咸興は日本海に面した街なので、魚介類も出てきました。
タコの刺身。
毛蟹。
毛蟹の甲羅に朝鮮焼酎を入れて飲むと美味しいと言われやりきる図。最高に美味しかったです。
そして真打登場、咸興冷麺。現地ではノンマグクス(ノンマ:ジャガイモの澱粉、ククス:麺)と呼ぶのが多いそうです。
冷麺はぐっちゃぐちゃに混ぜて食べるのが美しい。
盛岡冷麺のルーツとなった咸興冷麺。咸興冷麺も盛岡冷麺もジャガイモの澱粉を原料にしたコシの強い麺とダシの効いたスープが特徴で、両者がそっくりなことにいたく感動。食べ終わる頃には泣きながらガイド氏にこの感動を伝えたところ、ドン引きされました。どうして?(どうして?)

新興山旅館(4日目朝食)

ハッシュドポテト的なもの、魚の煮付け、トンカツ、キムチ。咸興の人たちは辛いもの好きとのことで、平壌のあっさりした水キムチとは違う濃厚で甘辛いキムチが印象的でした。

新坪休憩所(4日目昼食)

4日目は咸興から平壌への移動がメインだったため、新興山旅館で用意してくれたお弁当を往路でも立ち寄った新坪休憩所で食べました。
煮卵とイカキムチ。
焼きマンドゥ。

平壌黎明通りの食堂(4日目夕食)

久しぶりの平壌での食事。メニューは特に統一感がなくいろんなものが出てきました。
辛味噌のようなものが乗った豆腐。
相変わらず美味しい大同江麦酒。
牛肉。
サンドイッチ。
サラダとトック(餅菓子)。
鶏肉の中華風の炒め物。
タマネギのスープ。
小さなサイズの平壌冷麺も出てきましたが、前日に食べた咸興冷麺の前には霞んでしまう味わい。決してマズくはないのですが……。
炒飯。

恩情休憩所(5日目おやつ)

5日目の朝食はお腹があまり空いてなかったので食べなかったと思います。

平壌開城高速道路の恩情休憩所で食べたきゅうり。ガイド氏が美味しいからと渡してくれました。

平壌冷麺食堂(5日目昼食)

開城市街にあるのになぜか平壌冷麺食堂という名前のお店でいただいた開城名物の飯床器。
元々は膳立てに用いる食器のことを指していたものが、料理の名前に転じたもの。高麗時代や朝鮮時代の宮中や両班(貴族)が食べていたものをベースに現代風にアレンジされているとのことでした。
オプションでインサムタッコム(高麗人参と鶏のスープ)いわゆる参鶏湯も頼めたので追加しました。まるごと一羽入ってます。
開城のキムチにはパクチーが入っていて驚きました。なんでも開城では昔からキムチにパクチーを使っているとか。

平壌高麗ホテル高麗食堂(5日目夕食)

ガイド氏に夏も近づいているので犬料理を食べて元気になりましょうと言われ、平壌高麗ホテルの犬料理を扱う食堂へ。これは犬鍋。
こちらは犬肉を煮込んだもの。北朝鮮では犬肉のことをタンゴギ(甘い肉)と呼んでいます。

解放山ホテル(5日北朝鮮ソングカラオケ大会おつまみ)

北朝鮮での最後の夜ということで、ガイド氏と解放山ホテルにあるカラオケルームに繰り出して、北朝鮮ソングカラオケ大会をしました。

柿の種、明太(スケトウダラ)の干物、そしてやっぱり俺たちの大同江麦酒。
日本から持ち込んだペンライトを振ってノリノリのガイド氏。私も含めて日本の曲はまったく歌わず最初から最後までドキッ!北朝鮮ソング(DPRK-POP)だらけのカラオケ大会を日付変わるくらいまで催行しました。とても楽しかったです。

高麗航空(6日目昼食)

ついに北朝鮮を離れる日。
早朝に準備をして帰りの飛行機に乗り込みましたが、実はカラオケ大会が終わり飛行機に乗るまでの間に悲劇が起きていました。
その話はまた別の記事にまとめます。本当につらかったです(真顔)

機内食でサンドイッチと紅茶を頼んだのですが、サンドイッチは結局食べられず、紅茶しか飲めませんでした……。

おわりに

こうやって改めて北朝鮮で食べたものを見返してみると、結構バラエティー豊かだったなあと思います。
ご存知の通り北朝鮮は豊かな国とは言えない訳ですが、伝統的な料理はもちろんのこと、外国から影響を受けた料理も結構存在していて、食を通して彼の国のことを覗いてみるのは面白かったです。
外国人観光客にはできるだけ良いところを見せようと、背伸びしておもてなしをしている面もあるので、今回見たものが北朝鮮のすべてではないと認識はしていますが、普段あまり語られることのない北朝鮮の豊かな食文化に触れられて良かったと思います。

今回の記事はここまでですが、前述の通りカラオケ大会の後にひどい目に遭う話があります。
(以下の記事につづく)

おしまい。

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