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これまで

時々、自分でも「何でこんなに革靴を好きなったのかなぁ」と不思議に思うことがあります。

まだまだ革靴ライフは道半ばですが、これまでを少し振り返り、整理してみたいと思います。

0.前日譚


靴が好きになった訳をよくよく考えてみると、思春期の頃に抱いていたコンプレックスが根源な気がします。

私はどこにでもいる高校生・大学生で、人並みにオシャレをしたかっただけなのですが、それが思うようにできなかったんですよね、靴のせいで。

私は(図体に加えて)足のサイズが大きかったため、皆のようにUAやビームスなどのセレクトショップで「カッコいい靴」を買えなかったんです。いつも、サイズが合う靴を何とか探し出し、デザインそっちのけで履くばかり。

自分なりにオシャレしても、好きでもない靴を履いてるだけですべて台無しになってしまった感じがして、いつも自分に自信を持てなかった記憶があります(他にもコンプレックスは数多ありましたが…)。

(ちなみに、私は小学校からずっとサッカーをしていたのですが、似たような理由でスパイク選びにも腐心しており、周りのカッコいいスパイクを履いてプレーしている友達をいつも羨ましく見ていました。)

たぶん、その頃から潜在的に「靴」というものが自分の中で特別な存在になっていったんだと思います。忌まわしき存在でもあり、憧れの存在でもあり…。

まあ今思えば、ネットをもっと血眼になって探すなり、手に入りやすいスニーカーでもオシャレに見える工夫するなりもう少し努力すればよかっただけなんですけどね笑。単にファッションセンスがないのを、靴のせいにしていたんだと思います。

1.大学時代

そんな足元にコンプレックスを抱く青年が革靴と触れた最初のきっかけは、古着屋さんとの出会いでした。

当時お世話になっていた美容師さんが古着に大変精通された方で、よく高円寺や中目黒、下北沢なんかに古着屋さん巡りに連れてってくれました。

(背伸びして美容師さんと遊んでる自分に少し酔っていたところもあり)古着屋巡りは非常に楽しかったんですが、何より大きいサイズの靴がたくさん売られているのを知ってめちゃくちゃ感動したんですよね。「こんな世界があったのか!」って。

中でも、見慣れたスニーカーではなく、当時の私には革靴がより魅力的に写りました。まあ、ビビッときたというか、単に大人ぶりたかったんだと思います。

そこからは、大学卒業するまでずっーと古着屋さんで革靴を買ってました。買うのは決まって、US.NAVYのサービスシューズ。履きつぶしてはまた買ってを繰り返し、大学4年間のほとんどをこの靴で過ごしました。今は英国靴などのドレスシューズしか履きませんが、自分にとってのオリジンがこの米国靴のミリタリーシューズなのは不思議なもんですね。

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US NAVY サービスシューズ

他にもちらほら別の靴を買うこともありましたが、やっぱり古着屋さんに並んでいるのはアメリカ靴が多く、FlorsheimやJohnston&Murphy、bostonianなどをウキウキしながら履いていましたね。

決して高価な靴を買うことはありませんでしたが、大学時代に革靴が身近なものになり、「履くのはいつも革靴」という感覚が自然と醸成されていきました。

2.20代前半

大学時代に毎日革靴を履いていたとはいえ、ブランドや製法に関する知識はほぼ皆無。

社会人になるときも、一応色々と調べてリーガルやスコッチグレインなどを新調して臨むくらいには足元に気を配っていましたが、趣味と呼べるほどの熱量はまだありませんでした。そう、あの靴で出会うまでは…笑。

社会人になって間もないとき、ふらりと立ち寄った古着屋さんで、この靴と出会ったんですね。チャーチ製のalan mcafee。

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alan mcafee by church's

特別なオーラを発していたこの靴を見た瞬間、購入を即決。サイズも奇跡的にマイサイズ。アランマカフィーはよく「今は亡き幻のブランド~」などの枕詞がつきますが、そういうウンチクもまったく知らない中での一目惚れでした。内羽根やブローグシューズも当時そこまで好きじゃなかったのに、この靴には何故か惹かれるものがあったんですよね。

これが私にとっての初めての本格靴。大学時代からの下地もあり、こいつをきっかけに本格的に革靴へのめり込んでいきました。

暇さえあれば革靴愛好家のバイブルである最高級靴読本を熟読してましたね。ブランドやケアに関する知識などはここでようやく養うようになりました。

また、とにかく色んなブランドの革靴を履きたいと、ヤフオクなどで中古靴を買い漁ってました。今思えばオールソール間近のガラクタのような靴ばかりでしたが、本で見たブランドの革靴を履けることに、買う都度ワクワクしていた思い出があります。

一体、いくつ無駄な買い物をしたのかわかりませんが、この間の多くの失敗で得た経験は、今も革靴ライフに活きています。色々履く中で、自分の好みを整理できたのもよかったですね。

当時あれこれ購入した革靴の中で、8年近く経った今も手元に残っているのはアランマカフィーのみですが、この靴だけはずっと大切に履いていくつもりです。

3.20代中盤

社会人になって数年が経つ頃には、中古靴を手当り次第買うような狂乱期は過ぎ、好みの靴を手入れしながら長く履くようになりました。

当時よく履いていたのは、チーニーやアルフレッドサージェント、チャーチ、クロケット&ジョーンズとかでしょうか。5〜10万の価格帯の靴を、なんとか安く見つけて買っていたような感じ?

また、アランマカフィーがこの世界の入口だったこともあり、旧チャーチやbrooks english、royal tweedなどの古靴も大好きでしたね。ヤフオクやebayで古靴探索するのが日課でした(まあ今もそうなんですけど)。

この時期は、革靴はもちろん趣味だったんですけど、のめり込んだ当初の熱はだいぶ落ち着いていたように思います。まだ若くて、飲み会とかも多かったのでお金もなかったですしね。

というか、若いなりに中堅どころのブランドを履いていることにそれなりの自己充足を得ていて、大した経験もないのに自分は革靴に詳しいと勘違いしていましたね。まあ、倦怠期みたいな期間だったでしょうか。

4.20代後半〜現在

結婚を機に、最近はまた少し革靴への距離が変わってきたところです。

なぜ結婚が契機かというと、他の遊びも落ち着いて少し金銭的に余裕が出てきたこともありますけども、妻から婚約指輪のお返しとしてEdward Greenのcadoganをいただいんですね。

Edward Green cadogan

これまで、10万円以上する革靴はさすがに手が出ないと諦めていたのですが、一生に一度と思って買ってもらったんですよね。そして、履いてみたらその履き心地にすごく感動して。

グリーンに、プロパーの20万近い価格の価値が本当にあるのかは別の話ですが(私は正直高いと思ってます)、これまで履いてきた靴とは違った魅力を感じ、「革靴ってやっぱり面白いな」と再認識することができました。

そこからは、また革靴熱が再燃。これまで手の届かなかった革靴にも背伸びして少しずつチャレンジし、新たな発見や興奮を得ている日々です。最近は個人輸入やMTOにも手を出し始め、より沼に嵌りつつあります。

無論、これまで愛してきたチャーチやクロケットなどを軽視するようになった訳ではなく、他を知ることで各ブランドの長所や特徴を再評価することができ、より好きになっています。

要は、価格の多寡に拘わらず、革靴ってどれも最高だよねっていう博愛の境地に辿り着いた現状にあります。

5.これから

こうして振り返ってみると、
最初めちゃくちゃハマって靴を買いまくる⇒その後一段落⇒さらにハマって沼の深みに嵌まっていく
というのは、他の革靴ラバーズの方からもよく聞く気がするので、よくあるパターンなのでしょうか。

真の革靴マニアなら、この後は既製靴やMTOを通り越してビスポークの世界に飛び込んでいくんでしょうが、私はしがないサラリーマンなので、金銭的にも現状の投資が限界かなあ。

でも、少ないお小遣いの中で、これからもいろんな靴を履いていきたいですし、上述のアランマカフィーやカドガンのような一生の相棒を見つけていきたいですね。

まあ、今後どんな革靴ライフが待っているのか、私自身楽しみにしていきたいと思います。

それでは、また~


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