三菱商事と奇美実業、出光興産、ネステが共同でバイオマスプラスチックの生産・供給を開始する
三菱商事は、自動車や家電などに使用されるプラスチックの世界最大手である台湾の奇美実業、出光興産などの3社と協力し、2023年前半にもバイオマスプラスチックの生産・供給を開始する計画を発表しました。この製品は、廃食油などから作られ、石油由来に比べて二酸化炭素(CO2)排出量を8~9割減らすことができます。自動車メーカーや家電メーカーなどが脱炭素を推進する中、製品のライフサイクル全体で脱炭素を進めることに対応しています。
プロジェクトには、奇美実業や出光興産に加え、持続可能な航空燃料(SAF)の生産を手がけるフィンランドのネステが参加しています。このプロジェクトでは、自動車や家電の部品、玩具などに使用される硬度の高いプラスチックであるABS樹脂を共同で生産する予定です。ネステは、廃食油や植物油を原料としてSAFを手がけ、製造過程でプラスチック原料であるバイオマスナフサ(粗製ガソリン)が生成されます。出光興産は、日本国内で中間原料に加工し、奇美実業が台湾の工場で最終的にABS樹脂に仕上げます。三菱商事は、プロジェクト全体の管理やマーケティング、顧客開拓などを担当します。
バイオマスプラスチックの製造には、石油由来のナフサにバイオマスナフサを一定割合混ぜて中間原料を作ります。割合に応じて、生産総数のうち一定数をバイオマス由来のものと見なし、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)制度を使用してバイオマス製品として証明し、低炭素製品として提供します。製造には既存設備を転用できるため、生産コストの上昇を抑えながら、環境負荷を軽減することができます。
このプロジェクトにより、自動車や家電などの製品に使用されるプラスチックにおいて、バイオマスプラスチックの比率が高まり、環境にやさしい製品が増えることが期待されています。また、持続可能な航空燃料(SAF)の生産にも取り組むことで、航空産業における二酸化炭素排出量の削減にも貢献することができます。