福井県坂井市、男女共同参画推進室を結婚応援課に再編
福井県坂井市は、男女共同参画推進室を結婚応援課に再編しました。これは、人口減少対策として「結婚応援日本一」を掲げて支援を強化するためです。市内で結婚した夫婦に商品券を配るなど、「結婚するなら坂井市で」とアピールしています。しかし、価値観が多様化する中、専門家は「少子化対策かもしれないが、行政が一方向の生き方だけを提示するようで違和感がある」としており、議論を呼びそうです。
男女共同参画推進室は総務部総務課内にありますが、1日に総合政策部の結婚応援課に格上げされ、人数も4人から6人に増やされました。同室が担っていた男女共同参画事業や女性活躍推進事業は結婚応援課が引き継ぎます。同室は以前から婚活イベントなど結婚支援に取り組んでおり、改組後の23年度には市内居住の新婚夫婦に商品券などを交付するほか、事業化を見越した結婚応援策のアイデアコンテストも開催します。
ジェンダー問題に詳しい仁愛大学の織田暁子准教授は「男女共同参画は性差別をなくし、結婚、出産、働き方など、性別に関わらず自由に選択できるという考え方が基本にある。結婚や出産を行政が『応援する』と掲げるのはそれと逆行しているようにみえ、結婚や出産を幸福とする価値観から抜け落ちる人のことを考えていないのでは。異性婚を前提としているのも問題だ」と述べています。
結婚支援の強化は22年4月に初当選した池田禎孝市長が選挙時に掲げていた公約の一つです。市の担当者は「結婚を強要する意味はなく、若者を中心に経済的な理由で結婚できない人などを支援する思いだ。誤解が生じないようにしたい」と述べています。