CJエイブラムスの一件に関する所感
そろそろこの一件に関する熱も冷めていそうなので、このタイミングで所感を書きます。
現地9月21日、ナショナルズのオールスターショートである CJエイブラムスが突如としてマイナーに降格となりました。
そして降格となった理由が、前日9月20日のデーゲームであるカブス戦の試合開始5時間前まで、徹夜でカジノに入り浸っていたからという衝撃的な理由でした。
なお徹夜カジノ開けの試合では、3打数ノーヒット1四球でした。
懲罰的な降格である
まず、このマイナー降格によって、ナショナルズが得られる恩恵は0に等しいです。
今オフに、スーパー2の対象となり年俸調停の資格を得る予定だったエイブラムス。今回の降格でサービスタイムのカウントが止まったとしても、予定通りスーパー2の対象となるようです。
さらに、メジャーとマイナーを自由に行き来させることができるマイナーオプションを一つ消費してしまいました。今後の編成において影響が出ないとも限りません。マイナーリーグオプションは、マイナーにいる期間が20日を超えなければ消費されないようです。失礼いたしました。
加えて、マイナーリーグAAAのシーズンは現地 9/22 をもって終了するため、エイブラムスからハイレベルな実戦の場を奪ってしまうことになります。
エイブラムスはルーキーリーグの本拠地があるフロリダで調整することになりそうです。
また、この降格はパフォーマンスの不調による降格でないことは明らかであり(直近7試合のOPS1.100超え)、降格によって支払われない給与を求めて選手会と一悶着起こる可能性すら考えられます。
そもそもとして、フアン・ソトのトレードでナショナルズにやって来て、再建の中核として期待され続けているエイブラムスを降格させるのは、本人のキャリアだけでなく、ナショナルズの再建プロセスにまで悪影響を及ぼしかねない、非常にリスキーな一手でした。
このように、エイブラムスを降格させたところで、ナショナルズへの実利は皆無に等しく、むしろ不利益を被るリスクもあるため、純粋に懲罰的な意味合いでの降格であると言えるでしょう。
降格になるまでの布石はあったのか
まず、エイブラムスの行いは違法なモノでは無いようです。
イリノイ州ではカジノは合法とされており、また自分のお金で賭けているので、窃盗などの罪を犯しているわけでもないです。
また初犯でこのレベルの懲罰を課せられるのかは疑問が浮かびます。(某通訳の一件があったので、ギャンブル関連の処罰が厳しくなっているのかもしれません)
エイブラムスは以前も似たような行いを繰り返しており、フロントが看過できるラインを超えてしまったという説もあります。
これは、とあるナショナルズファンのアカウントが出したポストです。
”Source”と共に、HomeとAwayの成績に乖離があることを理由にして、エイブラムスは、本拠地のワシントンD.C.でも同様の問題が起こっていたと述べています。(D.C.ではギャンブルは部分的に合法で、D.C.から隣のメリーランド州やバージニア州のカジノへのアクセスも良いそうです)
確かに、今季の成績はホームの方が悪く、昨シーズンはホームの成績が良かったことを考えると、Sourceの記述も一定の信憑性があるかもしれません。
では、月別にホームとアウェイの成績を見てみるとどうでしょうか。
6月と8月は確かにホームの方が成績が悪いですね。とはいえ、6月はホームでもwOBA.373 と打っているので、ホームの成績も良い方なんですよね。
アウェイでwOBA.558と打ちまくっているから、低く見えるだけで。
なんなら9月はホームの方が良く打ってるくらいです。先述のアカウントの発言に対する信頼度を完全には裏付けることはできないと思います。
他にも、今回の騒動の発端となったであろうCody Delmendo 氏のポストが引き金になったのでは、という可能性もあります。
Delmondo 氏のポストの翌日、エイブラムスは降格となった↓
様々な話があり、真偽を確かめることは不可能です。当時者から口が開かれるのを待つしかないでしょう。
ただ、こういった騒動が起こると、あること無いこと言われるんだなあという感じですね。
エイブラムスの今後
では、エイブラムスは今後どうなるのでしょうか。
おそらく、普通にナショナルズにとどまると思います。少なくとも今オフは。
やはり、エイブラムスはナショナルズが将来を嘱望するスター選手であり、彼を手放すことの損失は大きいです。
仮に彼をリリースした場合、確実に彼を獲得する球団が多くいるでしょうし、何の恩恵も無くエイブラムスをリリースする必要は無いはずです。
そして、エイブラムスの行いはチームの規律を乱す行為とまでは言えないからです。
2018年、ナショナルズで勝ちパターンを担っていたショーン・ケリーという投手が、ホームランを打たれた際にグローブをマウンドに叩きつけ、ナショナルズのダグアウトを睨んだという一件がありました。この一件の直後、ケリーはDFAとなりました。
この一件は、ホームランを打たれる前に、ケリーへボークに関する警告が出されたことに、ケリーがフラストレーションが溜めてしまっていたが故に出てしまった行動とも捉えられるので、一概にケリーに非があるとも言えません。
ですが、この試合の翌日にケリーはDFAとなりました。リゾーGMは、ケリーを「ジャージの胸元の名[ナショナルズ]に、組織に、そして特にマルティネス監督に対して”disrespectful”である」と述べています。
また、リゾーGMはトレードデッドラインで、勝ちパターンの一角を担っていたブランドン・キンズラーを放出したことで、驚きをもって捉えられました。
キンズラーは、以前からマルティネス監督のブルペン運用に対して批判的で、自身の意見を直接言っていたそうです。これが放出の引き金になったと言われています。
このように、リゾーGMはチームの規律を乱すような選手をチームから除外していった過去があります。
ですが一方で、一時的な騒動で即座に排除するわけでもありません。
先日、マッケンジー・ゴアとニック・センゼルがダグアウト内でもめた騒動がありました。詳細はMNSports さんの動画を参照ください。わかりやすくまとめられています。
ざっくり言うと、センゼルのやや怠慢と思われる守備で失点したしまったことでゴアが怒って、喧嘩が勃発したという背景になります。
ですが、動画内でも述べられているとおり、ゴアとセンゼルは互いに非を認め和解しており、センゼルも即座にDFAされることはありませんでした。(結局およそ3週間後にDFAされているのですが、これはパフォーマンスの不調と、マイナーリーグオプションが切れていて編成上の足かせになっていたことが大きいです)
この事例から、リゾーGMはチームの規律に悪影響がないのであれば、リリースする決断をすぐには下さないであろうことが予測できます。
そして、今回のエイブラムスの騒動に関して、監督やチームメイトのコメントを聞く限り、エイブラムスをサポートするコメントが主でした。
ギャロの言うとおり、CJはまだ23歳と若いです。CJがこの一件から、学んで成長することを願っています。そして、ナショナルズを引っ張ってくれる選手となることを願うばかりです。
参考
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