イ・ヨンジ(이영지) 1st アルバム「16 Fantasy」
いやーほんと。この日を待ってたよ。
韓国の大人気ラッパー&シンガーのイ・ヨンジ(이영지: Lee Young Ji)が、6/21にデビューから5年たって待望のファーストアルバムをドロップ。
すでに大人気者のイ・ヨンジですから。
出すやいなや本国の若者たち中心に大きな話題を呼んでいて。
先行シングル「Small girl」は、各ランキングで瞬く間に1位まで駆け上がり、EXO の D.O.とのケミが話題のMVも、公開からわずか一週間で1000万回以上を記録。
すごいすごい。
ヨンジがアルバム出せばこうなることはわかっていたけど。あらためて、たくさんの人が待ってたんだなぁと実感した。
アルバム収録曲は、全部で6曲。
EPだから、あっという間に終わっちゃう笑
まぁそれでもやっぱり、シングル聴くのとは違って。ちょっと腰据えて「ちゃんと」イ・ヨンジを味わえる。そんな感じ?
そしてそして、何回も聴きたくなる声と音の心地よさ。
ということで、今日は彼女のアルバムの好きポイントまとめました。
[参考]以前イ・ヨンジをご紹介した韓国語コンテンツ紹介記事はこちら。
【ポイント①】とにかくおしゃれでカッコいい。
最初に思ったのは「想像してたより大人でおしゃれ!」ということ。
どっちかっていうとR&Bアルバムに近い気がする。
ヒップホップ感は薄めで、ネオソウルっぽさあって、思った以上にクールで大人な雰囲気。それがめちゃくちゃ好みだった。
彼女の持ち味である、まくし立てるような「早口で強い」ラップは、イントロの「16(Intro)」ぐらい?
まぁ、めちゃくちゃカッコいいけどね?
次の2曲目もヒップホップ系で、その次からはポップスやR&Bっぽい感じかな?
※ジャンルはざっくりですスミマセン
ラップなしの曲とか、囁くようなラップとか。今まで聴いたことない感じもあって、それがどれも良い。
冒頭に「想像してたより」って書いたんですが。
そのギャップはどこからきたのか?って考えてみると、もしかしたら彼女の経歴が関係してるかも、と思いました。
ラップバトル番組「高等ラッパー」や「Show Me The Money」で優勝して、その人気とラップの実力を確実に積み上げてきたヨンジ。
けど、出てきた当時もラップ歴の短さと実力のギャップが話題になってたし、ガチガチのヒップホップ系の人ではなかったりする。
だから、これまでの活動では「期待に応えたい」という気持ちも大きかったのかもしれないなと。
もちろん、やりたくないことやってきた訳ではないと思うけど。
シングルやコラボ曲で彼女が見せてきた姿には「ファンが望む姿」「ヒップホップ界に恥ずかしくない姿」みたいな側面も大きかったのかも、と。
でもこのアルバムでは、そういう殻を破って、自分のやりたい音楽を表現してくれた。
だから、今までとは少し印象のちがう部分がある。
そしてそれが、ほんとカッコよかった。
あぁ〜イ・ヨンジって、こういうの好きだったんだ!
こういうの、やりたかったんだって。
それを知ってすごく嬉しかったし、音楽的に自分が好きな要素が思ってたより強かったから、ますます好きになりました。
こういうのは、ほんとアルバムの醍醐味だよね。
特に好きだったのは「Unknown guy」。
こういう、アップダウンの少ないカッコいい曲、大好き。笑
ヨンジにもすごく似合ってるけど、これまでの彼女の曲にはなかった感じだよね?まぁシングルにするには、どうしても物足りないしね。
しかしこれ21歳が歌いこなせるやつ???笑
あなた人生何回目なの?笑
あぁ、好きだ〜この音と声。
ちなみにMonocatさんという方がつくったトラックらしい。
この、音に余白のある感じが、エリカ・バドゥとかを思わせて。
ほんっとソレンダ〜(설렌다〜:ときめく)
韓国って、もともと音楽文化がダンスと一体化してて、日本よりも平均的にブラック・ミュージック要素が大きい。
で、要素だけじゃなく、市場も大きい。
それもかなり良質で大きなR&B・HIPHOP市場で、競争も激しいからレベルも高い。
ヨンジのこのアルバムにも、そういう韓国が持ってる「良質なブラック・ミュージックの雰囲気」がきっちり出ていて。
それがすごくワクワクしたし、個人的に「韓国音楽市場、やっぱり好きだ!」を再確認したところもありました。
[追記]MVが出たんだけど、、、歌詞みてビックリ。
この曲はヨンジが幼いころに生き別れてしまったお父さんにむけて作った曲だそうです。(Monsta X I.M(アイエム)さんの「 I'M ON THE BEAT」 本人談)
「この曲を父が聞いてくれたら嬉しい」
「曲というより長い溜息のようなもの」
ヨンジって、どうりでお若いのに大人っぽいわけだ・・・。大人にならざるを得なかった理由があったんだね。
けど、そんなお父さんのことをここまでカッコいい音に落とし込んで、サラっと話すヨンジがまたカッコいい。
そしてこの「 I’M ON THE BEAT」のスタジオライブ、めちゃくちゃカッコいいから必見。大ヒット曲の NOT SORRYから始まる!
【ポイント②】タイトル曲「Small Girl」が100点。
公開されるやいなや国内外で話題になり、すんごい勢いで色んなランキングで1位を独占しているタイトル曲(先行シングル)「Small Girl」。
こんな完璧な歌ある???笑
どこからどう切っても完璧な100点、いや1000点満点。
ポイント3つあって、
・まず曲が良すぎる。
・EXO D.O.(ド・ギョンス)とのケミ半端ない。
・歌詞の世界観が素晴らしすぎる。
●まず曲が良すぎる。
とにもかくにも、曲、良すぎないですか?笑
ポップだけど明るすぎず、爽やかさはあるけど、ちょっと切ない感じもあって。
ヨンジがあんまりシャウトしすぎないのが、なんか今っぽくて良いのだよねえ。
それから歌詞の「音の響き」が本当にいい。
ヒップホップ!ってほど強すぎないけど、ただのPOPSでは片づかない音の「心地よさ」がある。
英語と韓国語の境い目もかぎりなく曖昧で、いつの間にか行ったり来たりするのが、さすがラッパーの歌詞。
歌ってる二人の歌の上手さと発音の良さもあいまって、福耳ったらなんの。
個人的には今回彼女の歌詞初めてよく知ってみたんですが、ちょっとエド・シーランに通じるなと思いました。
歌なんだけどラップで、ラップなんだけど歌。リズムも響きも、本当に心地よくて「耳触り」最高。
●EXO D.O.(ド・ギョンス)とのケミが半端ない。
ドギョンスさんファン界隈では、いろんな騒ぎが起きたであろう、ポッポ(ほっぺにちゅー)シーンもある、この可愛いMV。
普段はおっさんみたいな話し方で、年齢のわりに大人っぽい反面フザけてばっかりなヨンジが、このMVでは普通に女の子で可愛いし、ギョンスさんは少し小柄でクリクリな瞳が可愛らしくもありつつ、実際はヨンジよりかなりオッパ(年上)だから、照れるヨンジを包み込む大人の包容力や落ち着きがあって、とにかくケミがとても良い!(説明ながw)
ちなみにド・ギョンスさんのことは、少し前に「IUのパレット」で偶然知りました。
あまりの歌のうまさに「どなた?」と調べたら、まさかのEXOの人。
EXOといえば、同じく歌がうますぎて調べたらEXOだったベッキョンさんしか存じ上げなかったんですが。
これにて2人目の衝撃。
歌うますぎだし声よすぎたし、英語の発音もカッコよすぎなんだし!
EXOすごすぎる。こんなすごいボーカル2人もいるの?韓国K-POPおそるべし。てかEXOおそるべし。深入り注意。(何)
って感じで、この時はいったん軽めにスルーしたんですが。
こんな素敵な歌とMV見せられたら、もうスルー不可。笑
YouTubeのアルゴリズムに乗って、少しずつ、EXOの過去の曲とかコンテンツとか見始めてる自分がいます。
そのうちギョンスさんの出演ドラマとかも見てしまうのでしょうか私?w
これだから怖い韓国エンタメ底なし沼w
とにかく、そんな素敵なギョンスさんとのケミが最高のMV、必見です。
●歌詞の世界観が素晴らしすぎる。
この曲の制作秘話を、ヨンジがライブで話してくれてましたので、意訳して引用します。
どんな強く見える人にも、コンプレックスや、弱くなる瞬間というのがある。
多くの人にも「強み」に見えていて、自分自身も誇りに思ってるようなことでも、それが「違ったらいいのに」と思うことはある。
普段は強くてたくましい印象の彼女だからこそ、もうたまらなく心に響くのだよね。
そして、そんな彼女の見せた弱みに、2番でギョンスが応えてくれる。
「そんなこと関係ない」
「僕の気持ちは変わらない」
MVでは、弱気になって自分をコントロールできなくなったヨンジを、ギョンスがスーパーマンのように救ってくれる。
しかも、なにか凄いことをするのではなく、指にできた小さなキズに絆創膏を貼るという、さりげないやり方で。
自分が少し弱くなっているときに求めているものって、そういう小さな小さな、さりげない愛情だったりするよね。
みんなの心にある「小さな女の子(男の子)」のような気持ちが、本当に可愛らしく描かれていて。
彼女らしい個人的なストーリーなのに、めちゃくちゃ共感できる。
そしてその歌詞の世界観を見事に再現したMV!もう一回貼る!笑
後半アニメーションになって、最後また実写に戻るっていう構成もすごく良い。
これはほんと、売れるしかないです。
[余談] MVのコメントが話題。
このMVについたコメントが話題になっていて、とても素敵だったので、あわせてご紹介。
自動翻訳がわかりにくいですが、
「背の高いあなたも、背の低い私も、この世界で共に生きてみましょう」
「私も(MVの中のギョンスみたいに)あなたのことを、ずっと応援している」
という感じ。
めちゃくちゃ素敵じゃないですか?
ヨンジが素直な自分の感情で人々に勇気を与えることで、こうやってヨンジに大きな愛が返ってくるシステム。
こういうのは彼女の人間力がなせる技でもあり、音楽の素晴らしさだったりする。
本当に温かい気持ちにさせてもらって、こっちまで感謝です。ヨンジ最高、音楽サイコー。
【ポイント③】純粋に「好き」を集めた「粗さ」が聴きやすい。
話はちょっと戻りまして、アルバム全体のお話。
ポイント①にも書いたように、ガチガチのヒップホップやるのかと思ったら、想像よりけっこうおしゃれ感が強かったイ・ヨンジの初EPアルバム。
もう一歩、踏み込むならば、R&Bやソウルのアルバムか?と言われると、そういうわけでもなかったです。
むしろ「アルバムっぽさ」があまりない。
そんで、それがすごく良かった。
そもそも最近は、ダウンロード&配信文化じゃないですか?一曲だけダウンロードしたり、リピートしたり、簡単にできちゃうわけです。
そんな中でアルバムを出すことの意味を考えると、1つは円盤。
説明割愛しますが、実物の円盤を買ってもらうことが、とても大切なファンとのコミュニケーションであり、アーティストにとって大事な収益源だったりする。
※ちなみにこのアルバムの円盤は7月ごろらしい。(本人インスタ談)
で、もう一つは、シングルだけでは伝えきれない大きなメッセージやストーリーを伝えること。それをコンセプトと言ったりする。
先述のとおりのダウンロード時代な今それを明示するには、つくる側に「アルバムを通して聴いてもらうための努力」がかなり発生するわけで、「統一感」「一貫性」みたいなものが、ますます重要になってきているわけなんだけど。
ところがどっこいです。
このアルバムには、それがあんまりなかったんだよね。音楽的にアルバムをガチガチ作り込んだ感じがない。ゼロとは言わないんですが。
R&Bっぽいけど、その中でもテイスト違ったりもするし。(繰り返しますが、いい意味で!)
どちらかというと
「この5年の間につくってきた大切な曲たちを、1つの記録としてまとめた」
という感じ?
雰囲気からして、作った時期もバラバラなんじゃないかなー?
で、そういうのが、むしろアルバム全体の「軽やかさ」になってて、すごく良い感じなわけです。
しかもそれが彼女の人となりも表していて。
イ・ヨンジは出身こそ「ラッパー」ですが、今となってはそれだけの存在じゃないわけで。
歌手/ラッパーでありながら、タレントとしても大活躍してて、カリスマ性のある実力と人間的な親しみやすさの両面で高い評価を得ている人です。
どんな肩書きにも収まりきらない、MZ世代アイコン「イ・ヨンジ」だからこそ、音楽的にも1つの枠におさまらない。そういうのが、なんか凄くいい。
むしろそのMIX感が「純粋に音楽を味わう」ことに立ち戻らせてくれる感じすらある。
しかも、だからといって「聴きづらい」わけではなくて。
・イントロ:強いラップで惹きつけて
・中盤:落ち着いた聴きやすい音
・最後:アンコールのように明るく爽やか
という風に、曲調が少しずつ変化していくもんだから、また最初から聴きたくなる。
それで結局、どのアルバムより通しで聴いてる!w
いやーほんと良いです。
アルバム感がないって、想像以上にいいんだなって。
そんなこと思ったのは、ちょっと初めてかもしれない。
バラバラというより「粗い」感じ?
そこに未来の可能性も感じたし、バランス感ほんと最高でした。
イ・ヨンジの場合、けっきょく声が良いから、どんなの歌っても一曲一曲のクオリティ高いし、それぐらいでちょうどいいのかも知れない。
無駄なコンセプトの作り込みなんて要らないって感じもある。
【おわりに】『誰よりも勇敢だった16歳の時のように。』イ・ヨンジの決意表明。
「16 Fantasy」というアルバム・タイトルについて、彼女はこんなふうに紹介しています。
16歳といえば、きっとヨンジがまだ有名になる前、普通の高校生だったころ。
「有名になる前の16歳のころ持っていたエネルギーや自分自身を忘れたくない」という意味だと思います。
5年前、彗星のように韓国ヒップホップ界にあらわれたイ・ヨンジは、ラップを始めてから6ヶ月でバトルに優勝し、バラエティにも引っ張りだこで、またたく間に超有名になった人。
もちろん、その人気のおかげでシングルやコラボ曲は売れに売れるわけで、それは本当に素晴らしいこと。
だけど、本人の中にはそれとは反比例する葛藤もあったと思う。
16歳のころの自分にあった、野心とか情熱とか「小さいけど、ほとばしるような何か」。
有名になったことで、手からこぼれ落ちていったことも少なくなかっただのではないかな。
自分がどんな音楽やりたいか?自分がどんなアーティストになりたいか?そういう夢をゆっくり育む時間もないまま、あまり苦労しないで人気者になってしまったことに、戸惑いや罪悪感もあったと思う。
Show Me The Money でプロデューサーをしたJay Park(パク・ジェボム)も
みたいに言ってて。
ヨンジって、若さゆえの勢いと確固たる芯の両方をもってて、何でもできるパーフェクトな人に見えるけど、実はたくさんのものを背負いながらも、たくさん考えて、たくさん悩みながら、見えないところで相当努力しているのだろうなって。
このタイトルの意味を知って、そんなことを、あらためて感じました。
きっと彼女はそういう星のもとに生まれてるし、うまくやっていける人なんだろうけど。それでもまだまだ若いからね。
大きなものを背負っていくのは、大変なこともあるのでしょう。
でも、だからこそ「原点をつねに忘れない」というこのアルバムのコンセプトは、とても大きな意味を持つと思えたし、今後の音楽活動における彼女の「決意表明」にも思えた。
そんな彼女の決意が、今後のイ・ヨンジをさらに大きく羽ばたかせてくれたらいいなって思う。
今後の活躍がますます楽しみでなりません。
【まとめ&個人的な感想】MZ世代アイコン、イ・ヨンジが新しいお手本。
はい。大作になりましたが苦笑、やっとのことで終わりまできました。
ヨンジのことって、いくらでも書けるな。
思ったより好きだった自分に驚いた。コレ発売日に書き始めたのに、仕上げるのに一週間かかったよ?笑
ともあれ。
昨年ついにCOACHのブランドアンバサダーになり、シングルとフィーチャリングしか持ち曲がなかった状態でワールドツアー中に出ているヨンジ。
この初EPアルバムをひっさげて、まもなくツアーはアメリカ大陸に突入。
書いてるだけでもワクワクする。
彼女のアルバムは、最高のシングル曲と気張りすぎない構成で、そのスタイルが多方面に活躍する彼女らしいものだったことは間違いない。
それでもどこか不器用ながら、自分に正直に進んでいく感じが今っぽくて、個人的には、自分がこれから音楽と向き合うときにお手本になる部分も多かった。
ああ、好きなことやっていいんだ。自分でいいし、自分がいいし、そして、世間が求めるフォーマットにとらわれすぎなくていいんだって。
たくさん教えてもらった気がします。
最初に見つけたときからベタ惚れな私ですが、すでに人気と実力を兼ね揃えて大活躍しているヨンジに私などが言えることは何もない。笑。
けど、BTSの次にメジャー部門でグラミーノミネートするアジア人はイ・ヨンジだと信じているので。笑
その日まで、末永く応援したいし、いい刺激をもらって、私もまた音楽たくさん作っていきたいなと。
そんなことを思わせてもらった、感謝しきりのアルバムとなりました。
次はぜひ、フルアルバムが聴きたいような、ずっと待ち焦がれていたいような?笑
次回は是非、ライブレポをやりたい。
ライブレポでありたい。
つまりすぐライブに行きたい!(なんで前回の来日を逃したのか。。。)
あ、それよりまず、イ・ヨンジとは?って書かないとダメかな?ハマりすぎてて日本での知名度がわからなすぎますが苦笑
また機会があったら書きたいと思います。
ということで、終わりー。
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