韓国 尹錫悦大統領 非常戒厳を宣布し解除するまでの5時間59分【韓国在住/備忘録】
韓国 尹錫悦大統領 非常戒厳を宣布し解除する
昨夜、非常戒厳を知った私
昨夜(12月3日)、日本大使館からメールが来た。
通常は北朝鮮のミサイル発射だとかお知らせなどで、その位の内容だと日常茶飯事でいつもなら流し読みするのだが、その日は「韓国大統領による『非常戒厳』の宣布について(第1報)」というタイトルで、韓国在住約15年の中、初めて見た「非常戒厳」という言葉にものものしさ・ただ事ではない雰囲気を感じ、気になった。
メール到着時間は夜11時27分。単身赴任の夫(韓国人)に連絡したい気もしたが、夜遅いし一旦やめておいた。
日頃滅多に見ないスレッズで多少、詳細を把握でき、リアルタイムの流れを確認する中、「解除された」とあるのを見て一旦安心して眠りについた。
今朝(12月4日)、一旦子どもたち(小・中学生)をいつも通り起こし夜中の出来事を一応私の現時点での理解の範囲で説明した。
学校からは連絡は特になかった為、一応いつも通り学校へ行かせた。
さてその後に改めてゆっくり色々ネットで調べた訳だが、思った以上に凄い事になっていたらしい。ちょうど去年の今頃韓国で公開された「ソウルの春」を彷彿とさせた。
「非常戒厳」とは?
戦争または戦争に準ずる事変において敵の包囲攻撃によって社会秩序が極度に撹乱された地域に宣布することを「非常戒厳」と称するらしい。
(なお、今回初めて知ったが、似た言葉で「警備戒厳」というものがあるようだが、これは「現行の戒厳法上、戦時事変またはこれに準ずる非常事態によって秩序が撹乱された地域に宣布されること」だそう)
これが発動されると、軍が一部の行政権や警察権を引き継ぎ、治安を維持する役割を果たす事になるとの事。
韓国では前にも発動された事はあるそうだが(確か44年前)現在の韓国としてはまずあり得ず、発動された事自体が奇妙だという意味で異常事態だったと考えられる。
昨夜から今朝未明にかけて起こった事
早速Wikipediaをはじめ韓国のネット上でもまとめられているが、それを参考に自分なりに理解すると、次のような事らしい。
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2024年12月3日(火)22時27分頃
尹錫悦大統領が第22代国会とその議員たちを反国家勢力と規定。これを「撲滅する」として非常戒厳を宣布した。
第1空輸特戦旅団など武装兵力を投入して国会議事堂を攻撃した事件。
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といったようにまとめられている。
尹大統領が非常戒厳令を発動した理由×3
尹大統領が非常戒厳令を発動した理由は以下の3つとされている。
国家運営の麻痺
自由民主主義への脅威
北朝鮮の脅威
野党が政府に反対し、「国会は『犯罪者集団の巣窟』となり、また「北朝鮮と結びついた反国家勢力」が韓国国内で影響力を拡大している。それらに対抗するための措置として発動したとされている。
非常戒厳令を発動後から解除までの流れ
非常戒厳令に伴い、戒厳司令部が設置され戒厳軍が動員& 一時的に全国民の基本権が制限
2024年12月4日(水)
(1時1分)
第1空輸特戦旅団所属の戒厳軍が国会本庁進入を試みるものの、国会警備員、党役員および議員補佐官らの抵抗で戒厳軍が本会議場占拠を実現できず。
警察の国会封鎖と武装兵力進入で修羅場になった本館に190人の議員が集まることに成功。
戒厳宣布から約3時間後の12月4日01時01分、大韓民国国会第15回本会議が正常に開会され、非常戒厳解除要求決議案がすぐ上程され、在席人員190人中賛成190票、満場一致で戒厳解除決議案が可決された。
国会の非常戒厳解除要求決議案の議決により2時間34分という非常に短い時間の中、実質的に失敗に終わる。
その中、与党「国民の力」のチュ·ギョンホ院内代表が戒厳解除を防ごうとした事実も明らかになっている。
軍隊と政府の異常な動きであるだけに、議員たちは本会議を散会せずにそのまま大統領室の反応を待機。戒厳解除決議案が通過し、3時間以上大統領室の反応がないまま与野党議員らの内乱罪議論と弾劾論が持ち上がる。
なお、国防部は国会議決から大統領室が戒厳解除の公式発表す前まで更に3時間戒厳令状態を維持し戒厳司令部を存続。当時、戒厳軍は撤収した状態ではなく、状況待機状態だった。
国会で戒厳解除を要求すれば大統領は戒厳を解除する義務があるが、戒厳解除するには大統領は国務会議を開いてこれを決めなければならず、大統領が直接戒厳を解除しなければならない。
※しかし名目上の戒厳が持続するとしても、戒厳解除決議案が決議された瞬間、大統領の受け入れ可否に関係なく戒厳軍が解除されるので、軍と警察の兵力は戒厳活動をしてはならなかった
(4時26分)
大統領室は急遽、戒厳解除を発表
日が昇る前に一段落した。
(5時)
閣議が開催され、戒厳解除が議決され、公式的に戒厳事態は行政的にも完全に終わる。
これにより5時間59分で非常戒厳状況が終了。
尹錫悦大統領の今後の状況
戦時状況ではないにもかかわらず、野党との葛藤を理由に「自由民主主義守護」という曖昧な目的を掲げ、民主化以後、いかなる大統領も実行したことのない戒厳令を宣布したとみなされている。
これは政治的自殺行為に他ならないため、与党「国民の力」内部でも弾劾を防ぐことは容易ではないと諦める空気のようだとされている。
まとめ
韓国在住者である私。
そして子どもたちは確実に韓国の血を引く韓国国民である為、一応、しっかりと把握しておきたく昨夜の出来事を備忘録としてまとめました。
長文にお付き合いいただきありがとうございました!