Scrum Inc.認定スクラムマスター(LSM) ワークショップでの学び
スクラムマスター研修は予想以上に感動的なものでした。
この研修を通してスクラムをやったことない人でもその必要性を認識することができ、その実践方法について学習することができます。
1チーム6人程度のチーム制となっていて、この研修での学習プロセスをスクラムとして進めていくためにチーム内でスクラムマスター(SM)とプロダクトオーナー(PO)を決めます。チームにはスクラムの経験者も未経験者もいて、座学とワークショップを繰り返しながら学習していきます。
その中で今回は、特に印象に残ったスクラムの必要性を感じることができたワークショップについて記載します。
紙飛行機ゲーム
この研修会場を1つの会社として見立てた上で、各グループで基準を満たす紙飛行機を時間内に出来るだけ多く作るというゲーム。
作業は
* A4用紙が配られ、A4用紙を4分の1のサイズにする
* 紙を折る(一人一回ずつしか折れないので、一回折ったら次の人に回す)
* POだけができた紙飛行機を飛ばす(3メートル以上飛んだものをOKとする)
* POは基準を満たした紙飛行機(成功品)と作りかけの紙飛行機(仕掛品)をカウントする
以下のサイクルを3回繰り返します。
* 計画:2分
* 実施:3分
* 振り返り:2分
1回目の実施
どんな飛行機(プロダクト)を作ればいいか、どんな手順(プロセス)で作ればいいかの詳細を決めることは時間的な制約があるので難しいです。とりあえずやってみようという感じで作業を実施します。作業はチームで行うことが前提となり振り返りではメンバー間の連携における改善案がたくさん見つかりました。
2回目の実施
振り返りを踏まえて計画および実施をしたところ、かなりの改善効果が見られました。この段階でほぼ全てのチームが1回目よりも多くの成功品を作ることがきました。このとき各チームの結果は常にホワイトボードに共有されていましたが、ほとんどの人は自分のチームの3日目の実施に向けて躍起になっている状態でした。
面白かったのはこの時点で、各チームのPOやSMどうしが集まったチーム横断での相談の場が開かれたことです。この研修会場を1つの会社として見立てるという前提は1つのチームが最高値を出すよりも、全体のトータル結果を最大化することが重要ということの伏線だったということです。
例として以下のような結果が出ているチームがあるとします。
・Aチーム 1回目:1機、2回目:3機
・Bチーム 1回目:15機、2回目:20機
3回目の前にチームどうしが連携をしない場合はチームごとの改善が進み、
Aチームは3回目で5機ぐらいが期待されるでしょう。
Bチームは3回目で25機ぐらいが期待されるでしょう。
3回目の前にチームどうしが連携をする場合はAチームはBチームの20機作った手法を学ぶことができ、Aチームも3回目に20機作成できる可能性が高まります。
このようにチームを超えて問題解決に当たることで新しい改善案やベストプラクティスを学ぶことができるというのを実感することができました。
3回目の実施
そして3回目の計画は2回目で上位の結果を出しているチームのプロダクトを取り入れることができるのでプロダクトの相談よりもプロセスの相談がメインになります。実施した結果は想像通りですが、2回目のときよりも各チームの成功品の合計トータル数は格段に上昇しました。
成功品の合計トータル数は1回目から2回目が130%成長、2回目から3回目が200%成長になりました。
体感できたこと
* 短くプロセスの改善を繰り返すことでより高い結果を得ることができる
* チーム間の相談により1つのチームだけではなし得ない結果を得ることができる
数字書き取り
* 数字の 1〜10
* 漢数字の 一〜十
* アルファベットの A〜J
を指定された順番に紙に書いていくゲーム
1回目の実施では各種値を種類ごとに順番に書いていく
1,2,...,10 / 一,二,...十 / A,B,...,J
2回目の実施では各種値の1番目の値をそれぞれ書いたらそれぞれの2番目の値を書いていく
1,一,A / 2,二,B / ... / 10,十,J
結果
* 1回目:25秒
* 2回目:1分10秒
1回目はスラッシュのタイミングで頭の切り替え(コンテキストスイッチ)が発生しています。2回目ではカンマとスラッシュのタイミング両方で頭の切り替えが発生しています。連続可能な作業を非連続に対応することで、より多くの時間が必要になることがわかりました。
体感できたこと
* コンテキストスイッチには思っていたよりも多くの時間がかかる
* 一つのことに集中することで良い結果が得られる
* 複数のプロジェクトを同時に掛け持つ場合などはこのことを踏まえて注意が必要
* プロジェクトに優先順位をつける必要がある
1円ゲーム
10枚の1円玉を用意して最初の人の前に置いてある10枚の1円玉を
裏返しながら次の人に渡していくゲーム
1回目の実施では、1円玉10枚全てを裏返してから次の人に渡し、
次の人が全部裏返したらまた次の人へと渡していく
2回目の実施では、1円玉1枚を裏返したら次の人に渡す
それを自分の前にある1円がなくなるまで繰り返す
結果
* 1回目:3分50秒
* 2回目:1分20秒
1円を全員が裏返していくという同じタスクであっても、まとめて対応するか分割して対応するかで対応時間に大きな違いが発生します。
体感できたこと
* タスクを細かく分割することで全体の流れを止めないようにする。
* ボトルネックを解消しやすくなる
* 対応内容が明確かつ見える化される
最後に
このよき体験を多くの人に共有したいと思い体験記を記載したのですが、結局のところ実際に体験してみることを強めにオススメします。
実際、私の周りではスクラムを採用しているプロジェクトばかりではありませんが、幸いなことに関心のある仲間やメンバーは多く存在することが最近わかりました。そして同時に関心があまりない人にも広めていく必要性を感じています。
これから心強い仲間たちと一緒にスクラムを広めていく活動をスクラムしていきます。