分割統治 - もし私たちが常に互いに対立していれば、本当の問題に立ち向かうことは決してできないだろう
【原題】Divide et Impera: Divide and Rule - If we are constantly pitted against each other, we will never rise against the real problems
【掲載】Jordan's Newsletter
【著者】Jordan Sather
【公開日】2023年10月25日
分割統治、または分割統治戦略は、古代から、自らの目的のために他者を操作しようとする人々やグループによって使用されてきた心理戦戦術です。政治、軍事計画、企業の世界では、目標達成の邪魔になる人がいる場合は、お互いに口論することで気をそらし、その目標がより達成しやすくなるという考え方です。
分割統治戦術を実行するには、多くの汚れ仕事とデータ収集が必要です。相手が誰であるか、そして彼らをうまく操る最善の方法を知る必要があります。情報操作。心理戦。
“分割統治（Divide et Impera）”（ラテン語で“Divide and Rule”、古代ギリシャ語で“diaírei kài basíleue”）というフレーズは、紀元前350年頃のマケドニア王フィリップ2世に由来しています。ジュリアス・シーザー、ナポレオン・ボナパルト、そして歴史上の他の多くの王や支配者たちは、敵軍に対してこの戦略のエッセンスを使ったことが知られています。
ローマ時代には、政府は封建階級に対する権力を維持するためにこの手法を頻繁に使用していました。 家臣たちの間で同盟が形成され、王の支配に挑戦するのを防ぐために、家臣たちの間で分裂が促進され、奨励されました。
孫子は兵法書の中で、「軍隊を使う技術はこうである。敵の兵力が1に対し、こちらの兵力が10倍のときは、敵を包囲する。5倍のときは、敵を攻撃する。2倍のときは、敵を分裂させる」と書いています。 つまり、純粋な力で敵を制圧するよりも、特に人員や資源が少ない場合は、敵を敵自身と戦わせる方が有利な場合があります。 純粋に肉体的に戦うのではなく、敵の心理に働きかけることで、任務を容易にすることができます。
現代において、“分割統治”戦略は、中東のイスラム勢力に対する最善の政策について米軍に助言する RANDコーポレーションの 2008年の報告書で直接言及されています。報告書には、「分割統治は、さまざまなサラフィー・ジハード主義グループ間の亀裂を利用して、グループを互いに敵対させ、内部紛争にエネルギーを浪費することに重点を置いています。この戦略は、秘密作戦、情報作戦（IO）、非正規戦、および現地の治安部隊への支援に大きく依存しています。」と記載されています。
これを現代社会と影の政府の文脈に当てはめると、権力者が権力と支配を維持し、さらに拡大できるように、国民が“内部紛争にエネルギーを浪費”して互いに対立する方法はたくさんあります。
私たちは、人種、宗教、性別、政党、信念体系、社会階級、地理的位置、その他多くの方法で分断されています。私たちはこうした些細な違いに心を奪われ、気を散らされ、社会の本当の問題、政府、機関、裕福なエリート層の悪と腐敗に目を向けることができなくなります。マスメディア（新聞、テレビ、ラジオ）とソーシャルメディアの出現は、集合意識に入り込む情報（および/または偽情報）の量を加速させ、私たちを偏向させ、分裂させています。
社会を中立化する分断統治の良い例は、プロスポーツリーグの利用です。好きなスポーツチームの勝利を応援することで、どれだけの集団的な時間とエネルギー（そしてお金）が無駄になり、ライバルのスポーツチームとそのファンにどれだけの憎しみが向けられるでしょうか。私は陸上競技やプロスポーツが悪いと言っているわけではありません。社会に存在意義があり、有益であることもあります。しかし、スポーツの“パンとサーカス”という壮大な気晴らしは、コロシアムの剣闘士の時代から、私たちの国の社会運動家にとってうまく機能してきました。
もう一つの例は、現在ニュースでよく取り上げられているイスラエルとパレスチナの紛争です。世界中の人々が「パレスチナを支持しよう！」「イスラエルを支持しよう！」とすぐにどちらかの側に立っています。テロ攻撃はひどいものですが、敵とみなした者を根絶するために罪のない民間人を不必要に傷つけるのも同様です。
中東では何十年もの間、イスラエル人とパレスチナ人の間に緊張が続いており、双方から正当な自己防衛と不当で非人道的な攻撃が発生しています。軍産複合体の戦争屋たちは、対立と終わりのない戦争を支持している限り、人々がどちらの“賛成”側に引き寄せられるかなど気にしていないようです。
さらに別の例として、人種間の分離があります。黒人の命も大切、アジアの命も大切、白人の命も大切、これらは表面的には“平等”を推進すると称する考えですが、深く見てみると、人々の被害者意識を煽り、私たちの分裂をさらに深めているだけです。
例を挙げればきりがありません。
21世紀に入り、社会運動家たちは社会の中にどれほどの分裂があるかをよく知っています（その多くは彼ら自身の手によって引き起こされています）。そのため、彼らは今、この“包摂と平等（inclusion and equality）”という考えを国民に押し付けています。これは一種の偽りの団結、つまり、人格や技能ではなく人種や性別などに基づいて人々を強制的に採用する疑似団結です。企業は、能力ではなく包摂性に基づいて雇用すれば“DEI の評価が上がる”のです。私に言わせれば、かなり逆行しています。もちろん、人種、性別、宗教、国籍などに基づいて人を憎んだり排除したりすべきではありませんが、これらの側面に基づいて人々を強制的に採用することは、反差別を装った差別のように思えます。
「黒人を雇えば、ここでの包摂性が高まります！」とマネージャーは言います。わかりました。それはちょっと人種差別的じゃないですか？ 肌の色だけで彼を選んでいるのですか？ 人格や才能はどうですか？
これらの“多様性”の実践は、人々がその実践に腹を立て、推進者から人種差別主義者や性差別主義者と呼ばれ、隔離の輪が回り続けるため、分裂をさらに助長するだけです。
この地球上で私たちが直面している本当の問題を明らかにし、根絶したいのであれば、信念、人種、国籍など、こうした些細な違いを見抜かなければなりません。こうした違いは大切にし、祝福すべきものです。なぜなら、それが私たちに互いの対比を与え、個性を持たせてくれるからです。こうした違いがなければ個性は生まれません。なぜなら、そうなれば、私たちはみな、見た目も考え方も行動も同じような単調な人間になってしまうからです。
結局のところ、ほとんどの人は（重度の人格障害を持つ人を除いて）心の底では、自分自身と他のすべての人の平和と自由を望んでいます。他の人間のグループとの団結することによってのみ、社会を悩ませている腐敗の深刻さに対して立ち上がることができます。
憎悪と分裂が私たちを飲み込む前に、お互いの間で物事を解決できればいいのですが。