CIVILSESSION 01: EAST
開催日:2017年2月25日
CIVILSESSIONはクリエイティブチームCIVILTOKYOのメンバーが様々な分野の方と行うアートセッションです。決められたキーワードを元に、発表者たちが一週間で作品を制作します。キーワード発表から一週間後にそれぞれの作品のプレゼンを行い、参加者の投票でグランプリを決定します。
第1回目のキーワードは「EAST」。
CIVILTOKYOの3名とゲスト参加者3名の計6名で行いました。
ゲスト参加者は以下の通りです。
池田佳穂(アーティスト)
谷川千佳(アーティスト)
松下沙花(アーティスト)
グランプリは松下沙花に決定しました。
松下沙花はドローイングや様々なアートプロジェクトを行うアーティストです。今回の彼女の作品は「EAST」というお題が送られてきた際に、突発的に「WEST」と自身が連想したことを着想とし、親しい友人22名宛になんの前触れもなく「EAST」とメッセージを送り、その反応を集計するという作品を発表しました。
松下の他には、池田佳穂と杉浦草介がリサーチベースの作品を発表しました。
池田は普段よりリサーチベースの作品を発表しており、今までに「元彼と今彼にワークショップをやらせる(ICE braking)」、「相席屋居酒屋にて秋田リカという偽人格で行き、男性との会話を録音する(Under the Tokyo)」などそのほとんどの作品で体当りな行為をみせていますが、今回の発表した「東を捉えるプロジェクト」もその延長にある作品になりました。
杉浦は高所からの風景を撮影し、そこで行き交う人々の中から東へ向かっている人だけを抽出。グラフィックをベースとした作品です。
リサーチベースの作品を発表した3名とは違って、根子・伊藤・谷川は自身の「東」を作品化させました。
根子敬生は「挨拶代わりに自分の得意分野であるグラフィックとイラストを披露したかった」として、彼の出身高校である松山東高校をモチーフに大型のポスターシリーズを発表。
伊藤は「東=日が昇る場所」の辞書的な意味あいを「日が昇っているように見えればどこでもいつでも東」と捉え直し、水を入れたペットボトルに太陽を写り込ませインスタントな水平線と日の出をスライド作品として発表しました。
大阪を拠点とするイラストレーターである谷川は「東は、東京や故郷」という考えから移動行為こそ東と解釈し、自身がなかなか進められなかったプロジェクトであるパラパラ漫画に初挑戦。夢や時間などを常々モチーフにしてきた彼女の絵に、明確に時間軸が加わった瞬間となりました。
①池田佳穂(アーティスト)/東を捕らえるプロジェクト
若年層の東離れという仮想の社会問題に対して、東を聞く/ヒッチハイクする/レクチャーするという連続リサーチを開始。最後はリサーチ結果を踏まえて、助成金申請書を提出、東の問題への長期解決を図った。虚構と現実が入り混じる劇場型パフォーマンスを意識しました。
②根子敬生(デザイナー)/EAST
出身校である、松山“東”高校をモチーフに、4枚のビジュアル作品を作成。「EAST」のあいうえお作文に合わせて左から「えらい人」「あつい運動会」「サイド シュート」「田中達夫(部活のコーチ)」
③松下沙花(アーティスト)/勝手にシンクロニシティ
「EAST」と聞いたとき、それに呼応するように最初に思いついた言葉が「WEST」でした。自分の友人の中にこれと同じ感性を持っている人はいるのだろうか、もしいるのならばそれはすごく素敵なことじゃないかと思いました。仲の良い友人22人に「EAST」とだけ送り、その返答の調査と集計です。
④伊藤佑一郎(写真家)/INSTANT EAST
写真は目の前の光景を写すということをいつも自分は信じています。それは真実であるかという話ではないとも思っています。水平線を作り出し、そこに太陽を写すことで写真はそれは日の出であることを示すと思いました。
⑤杉浦草介(デザイナー)
日が昇る方角である東は、目指すべき方角として様々な作品で他の方角よりもドラマチックに描かれることが多い気がします。高所から写真を撮り、その「東」へ向かう人々だけを残しました。
⑥谷川千佳(アーティスト)/想いを乗せてはこんでいく
自分にとっての「東」を、自分が住んでいる大阪から東京への移動として捉え、西から東への移動の時間軸を表現するために、20枚のパラパラマンガを制作。
* 次回はCIVILSESSION 02:「REPEAT」の模様を公開します。