シニアに学ぶ『退職後の輝き方』第13回【特別編】6つの「わざ」と五角形のコマ
この記事は、2012年~2017年にかけて当委員会で連載されたインタビュー企画である「シニアに学ぶ『退職後の輝き方』」で掲載した記事を再掲載するものです。内容等については、掲載当時のままになっていますので、ご留意ください。
有岡正樹さんは、標記の理論を国際会議や論文のほか、教鞭をとられた多くの大学で展開されてきたのでご存知の方も多いかと思いますが、少し解説します。
マネジメントに必要な、技術、コミュニケーション、ファイナンス、志、交渉、マネジメントの 6 つの要素を、支という旁とその左側にくる偏とを組み合わせて 1 つの漢字で表しています。支という字には「わざ」という意味があり、その「わざ」を使うものを偏とすることによって新たな意味を持たせています。たとえば、手が動かすわざが技術(技)、金が動かすわざがファイナンス(鈘)など、です。6つの「わざ」うちマネジメントを除く 5 つで五角形をつくり、5 つを司るものとして五角形の中心にマネジメントを置きます。これらを、マネジメントを心棒にしたコマとみなし、きれいな正五角形のコマを回すことがマネジメントの良好な運営になります。6 つの「わざ」のうちどれが欠けても、バランスがとれなくなりコマはうまく回らなくなります。コマの大きさは変わっても正五角形で回し続けることが大切です。常用漢字には、技と伎しかありませんので、残りの 4 つは有岡さんの造字です。文字は書道家・石川九楊の話がヒントになっており、コマは幼い頃遊んだバイ(ベイゴマ)からの発想だそうです。
五角形のコマの理論は、5 つの要素を変えることにより、仕事だけでなく人生や学生時代の目標設定など、様々な分野に応用できます。例えば人生では、知、徳、体、気、財などを意識してバランスをとります。病気で欠けてしまうなどしてうまく回らなくなっても、コマを小さくして保つことが重要です。特に学生時代は、自分なりの正五角形を意識して生活するとよいのではないでしょうか。自身で大切にしていきたいことを 5 つに絞り込み、それぞれの項目に自分で現段階の点数をつけます。そうすることにより、どこが欠けているかが一目瞭然になります。その欠けた部分を分析し、補うようにしていきます。
(注)有岡さん提唱の五角形のコマの理論は、土木学会発行の「インフラ・まちづくりとシビルNPO」の中で詳しく解説されています。この文献中の図を以下に示します。