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デジタルサービスの開発効率を上げるための共同化のススメ

デジタルサービスは共同化と相性が良いと言われます。共同化とは、サービスの部品を共通にして使うことで、開発が早くなり、コストも節約できる方法です。企業内では、各部門が縦割りでそれぞれのサービスを開発しますが、その資源は横連携して活用することができます。デジタル活用に優れた企業は、この共通化の実現を目指しています。

縦糸と横糸の連携が強度を作る

共同化の対象は、技術的なハード面だけでなく、人材やガイドラインなどのソフト面にもおよびます。

例えば人材の共同化では、組織内のデジタルスキルの保有状況を可視化し、プロジェクトごとに適した人材を配置する方法があります。これは合理的な手段ではありますが、人の記憶容量や使える業務時間に限りがある中で、デジタルのあらゆる分野に詳しい人を育てるのは難しい場合もあります。

そのため、組織内で誰が何に詳しいかを知ることが大切です。個々のメンバーがそれぞれ何らかの得意分野を持ち、「この分野のことが知りたいときは、この人に聞くといい」ということを組織で共有できていれば、新たな事業や予期せぬ事態への対応が必要な時に組織全体の情報や知識を結集し、レベルの高い業務を遂行することが可能になるからです。

技術面では、共同でシステム基盤を開発・購入することで、スケールの利点や品質の保証、開発の速度を向上させる方法が一般的になってきています。また、優れたサービス基盤を横連携することは、開発コストを抑えながら、質の高い事業運営に繋げる利点もあります。具体例としてJリーグでは、経営やマーケティングはクラブチームごとに行いますが、それを支えるJリーグIDや、分析・情報配信基盤は共有利用されています。

Jリーグの共通基盤 (引用元:Web担当者フォーラム)

ただし一つの大きな基盤を使う場合、障害が発生すると全体に影響が出るリスクがあります。そのため最近では、決済系の部品、顧客管理系の部品、分析系の部品といったようにシステムを細かく分割して開発し、サービス毎に必要な要素を組み合わせるといった柔軟性を高める方法も増えています。

また、共同化の注意点として、ベンダー(提供業者)の都合に左右されないように注意が必要です。たとえばGoogleドライブでは、中身をGoogleがチェックできる規約が2020年より適用され、「不適切」な画像がアップされるとアカウント毎削除されてしまう事案が出てきています。このルールを悪用すれば、Googleフォームを使って画像をアップさせている企業に対してわざと悪意のある画像を投稿し、企業アカウントを強制削除させることもできてしまうわけです。クラウド基盤を使う場合は、こうしたリスクを念頭にデータを定期的に別の場所に保存するなどの対策が重要です。

最後に、ID(識別番号)の共同化も重要です。最近では空間座標の情報をデジタルで扱う技術が進んでいます。こうした新しい技術を普及させるためにはIDの統一が必ず必要で、同じIDに紐づけられる情報が増えるからこそそこに事業者や人々が集まり、価値のあるサービスが生まれるのです。ID(識別番号)を軸にしたサービスでは、企業や地域をまたいで規格を標準化させること。この発想は日本人が不得意とするところであり、認識すべきテーマです。

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