衆院小選挙区アダムズ方式導入シミュレーション(北海道)
ときどき選挙区割り作成の人口は何を基準とするのか、という質問をいただきます。確かに、有権者人口なのか、全年齢日本人人口なのか、はたまた国籍関係なく総人口なのか、それによって微妙に人口が変わってきます。答えから言うと、国勢調査が調査した数値で、自治体総人口(日本国籍・外国籍問わず全年齢)から外国籍の人口を引いた人口数になります。これを聞くと、(要するに日本国籍の人口か)と思うでしょうが、実際の数値はわずかに異なります。それは、国勢調査の中で国籍の確認が取れていない人がいるためです。そのため、区割り画定審議会が参考にしている数値は、確実に日本国籍を持っている人口プラス、国籍未確認の人口になります。
さて、今回の10増10減の対象が15都県。それ以外に一票の格差を超える選挙区を有しているのが福岡と大阪の2府県。計17都府県が今回の区割り改定の対象です。なのですが、先日の報道で一票の格差訴訟の論拠は当日有権者人口であり、それをベースに計算すると、改正対象17都府県に北海道と兵庫の2道県も区割り見直しの必要があると報じられました。だったら、最初から有権者人口ベースで定数計算から区割り画定やればいいのに、と思いますが、なぜそうしないのかよく分かりません。
まぁそういうわけなので、新たに対象となった2道県のうち、北海道の区割り予想を見ていきましょう。北海道は第二の故郷みたいなもんなので、結構 力を入れてます。
現行区割り
1区 523,763人 1.912倍 立憲 道下大樹
2区 542,597人 1.980倍 立憲 松木謙公
3区 546,384人 1.994倍 自民 高木宏壽
4区 420,360人 1.534倍 自民 中村裕之
5区 545,026人 1.989倍 自民 和田義明
6区 479,670人 1.751倍 自民 東国幹
7区 292,062人 1.066倍 自民 伊東良孝
8区 411,214人 1.501倍 立憲 逢坂誠二
9区 442,694人 1.616倍 立憲 山岡達丸
10区 323,616人 1.181倍 公明 稲津久
11区 330,729人 1.207倍 立憲 石川香織
12区 332,178人 1.212倍 自民 武部新
1~5区(石狩・後志)のうち4区以外が一票の格差1.9倍を超えている。このあたりが有権者人口ベースで2倍を超えていたり、超えそうだったりする。その一方で、4区はまだ余裕はありそうだ。
全道としてみると、7区が1倍すれすれであり、存続が危うい。ただ、いきなり道東を減区となるとただでさえ、日本最大の選挙区・北海道12区がさらに拡大する。遅かれ早かれ、そうなることは免れないが、今回 いきなり、そのような改定をするとは考えにくい。
というわけで、今回の改定では1~5区の行政区を細分化しながら、有権者人口ベースでも一票の格差2倍以下に押し込めていく作業をすることになるであろう。というわけで、今回の区割り案は札幌拡大図で見ていく。
区割り案
1区 514,613人 1.878倍
2区 520,838人 1.901倍
3区 512,211人 1.870倍
4区 520,414人 1.900倍
5区 510,054人 1.862倍
分割自治体 2→4
北区 1・2区 → 1・2区
豊平区 3区 → 1・3区
西区 1・4区 → 1・4区
厚別区 5区 → 3・5区
既に分割されている北区・西区は連合町内会の区域を基にしている。今後、分割される行政区もそのようになるだろう。
☄北区
赤線:新区割り案 緑線:現行区割り
北区は既に鉄西地区が1区域であるが、そこに幌北地区も加わると予測。両地区は一体として扱われることが多く、これはおそらく間違いないだろう。北24条通り以南ということで、普段、連合町内会を意識しない人にも分かりやすい。北大周辺がすっぽりと1区へ移る形となる。
☄西区
赤線:新区割り案 緑線:現行区割り
最も大きく変化するであろう西区。西野・昭和連合町内会からなる西野まちづくりセンター管轄区域を残し、4区に移ると予測。
ただ、西野連合町内会と西町連合町内会の境目が入り組んでおり、住居表示ではかなり複雑になることが予想される。人口が同じくらいの琴似・二十四軒まちづくりセンターが1区であれば、同名の住居表示区域が管轄区域であるため、分かりやすい区割りになる。
☄豊平区
新たに分割対象となるであろうと予測する豊平区。平岸・南平岸・中の島の各連合町内会が1区に編入されると考える。この連合町内会は元々、一つであったが、南平岸と中の島がそれぞれ独立した経緯を持つ。この平岸地域は1区の中央区・南区、それぞれと接続しており、地域間の結びつきも充分だろう。
☄厚別区
厚別南地区が3区に移ると予測する。この地域は現3区の白石区・清田区にそれぞれ接している。
将来予想図
1区 462,332人 1.688倍
2区 474,465人 1.732倍
3区 470,840人 1.719倍
4区 338,914人 1.237倍
5区 469,775人 1.715倍
6区 479,670人 1.751倍 現行
7区 361,804人 1.321倍 移設
8区 411,214人 1.501倍 現行
9区 442,694人 1.616倍 現行
10区 323,616人 1.181倍 現行
11区 502,190人 1.833倍
12区 452,779人 1.653倍
現行2つある分割自治体はいずれも解消される。一方で、釧路振興局は釧路市・白糠郡とその他で分割される。
3選挙区ある道東を1減とし、5選挙区ある道央を1増とする北海道7区移設案。今回の区割り改定ではこのような大規模な区割り改定にはならないと思うが、今後 現7区を含む道東の人口が減少し、道央が増加するであろう将来、道央地域の選挙区をどんなに細かく分割しても一票の格差2倍超えることになる。5年後もしくは10年後の区割り改定では、このような選挙区になるのではないか。
新1区は旧来の1区から南区を除いた形。東西線・函館本線で接続し、旧琴似町が跨る地域でもある。
新2区は現2区から北区を除き白石区を3区から編入。函館本線で接続する。
新3区は現3区から白石区を除き南区を1区から編入。旧豊平市域にほぼ一致する。
新4区は旧来4区に一致。
新5区は現5区から石狩郡市を除いた形。厚別区を軸に函館本線・千歳線とそれぞれ石狩振興局内を接続する。
新7区は旧来2区から北区、現5区から石狩郡市を編入。学園都市線で接続する。