Bloodborne 考察の最初に
Bloodborneは獣狩りの夜の物語です。
DARK SOULSでは火のない(消えかかった)世界に火を灯しましたがBloodborneでは獣狩りの夜に灯りを点けました。
電気もガスもない時代、人がコントロールできる光って火くらいですよね。火を使えることが人間と人間以外の生物を隔てているとも言います。「光」を得ること、得る手段は所謂ソウルシリーズに共通するテーマとなっているように思います(鬼仏見出は置いておく)。
またBloodborneといえば「啓蒙」です。「啓蒙」とは、「蒙(無知蒙昧の蒙。物事に暗いこと)」を「啓(ひら)く」こと。
プレイヤーが未知の暗い夜のフィールドに灯りを灯していくことも一種の啓蒙活動ではないでしょうか。さらに啓蒙を調べるとこんなものを見つけました。
カントは『啓蒙とは何か』(1784)で次のように定義している。
(引用)啓蒙とは何か。それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでることだ。(中略)こうして啓蒙の標語とでもいうものがあるとすれば、それは「知る勇気をもて(サペーレ・アウデ)」だ。すなわち「自分の理性を使う勇気をもて」ということだ。<カント/木田元訳『永遠平和のために/啓蒙とは何か』2006 光文社古典新訳文庫 p.10>
「知る勇気をもて」。まさにBloodborneの攻略には勇気が要りました。 しかし、時に人間の好奇心は破滅に繋がります。
だが、人々は注意せよ
君たちは弱く、また幼い
ー 教区長 エミーリア
「幼い」とは「未成年の状態」を想起させるワードですね。この他にも「知らなくてよいものは知らなくてよい」、「知らなければよかった」、「知ったら殺す」的なセリフや記載が、Bloodborneにはたくさんたくさん出てきますね。
カントのいう「知る勇気」とクトゥルフの「SAN値」を掛け合わせる。これが宮崎Dの作った「ゴシックホラーがコズミックホラーに侵食される」入り口だと思います。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、私はBloodborneが大好きです。Bloodborneが大好きなのですが、結局どんな話なの?となるととても困ってしまいます。DARK SOULSもそうですが、一口に設定や物語を語るのがこんなに難しいゲームってありますでしょうか。というか、製作者以外で明確に答えられる人いるんですかね?
とはいえ、悪夢の内に秘密を感じ、それを知らずにいられない…私ももう、ビルゲンワースの立派な末裔というわけで、あくまで私の中でのBloodborneとして、大筋で整合性の取れた筋書きがあります。
このnoteは、そんな私の妄想を考察と銘打ち、だらだらと書き連ねます。自分の脳内でまとまりきらなかった情報の整理でもありますが、マリア様に殺されるまでぼちぼちやって参りたいと思います。…愚かな好奇を、忘れるようなね。