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日本の年齢別人口推移(1920-2070)

 今回の記事では、国立社会保障・人口問題研究所のデータを用いて1920年から2070年迄の「日本の総人口」と「年齢別人口割合」を整理しました。

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1. データとグラフ

日本の総人口(1920-2070)推移グラフ
  • 総人口のグラフによれば、人口カーブは「1920-80年の増加期」「1980-2025年の停滞期」「2025年の減少期」の3ステージに分かれる。

  • 1920年の人口は56百万人、1980年までは10年毎に10百万人ずつ増加し、1980年には117百万人となる。

  • 一方、2005年前後で128百万人でピークアウトし、30年かけて10百万人減少し、2035年には1980年と同水準の117百万人まで減少

  • 2035年以降は10年毎に8百万人ずつ減少し、2056年に100百万人を割る

年齢別人口割合(1920-2070)推移グラフ
  • 年齢別人口割合のグラフによれば、老年人口(=65歳以上の人口)は1920年時点では5%程度であったが、1960年から増加しはじめて、足元2025年時点では30%まで増加する。その後、5年毎に1%ずつ増加

  • 一方、老年人口の増加分25%は15歳未満の年少人口(=15歳未満の人口)で調整される。つまり、年少人口は1920年で36%であったが、25%減の2025年時点は11%となる。その後、10%程度で収束

  • 生産年齢人口(=15歳~64歳迄の人口)は1920年に60%、1990年のバブル崩壊頃に70%でピークアウト。足元2025年は1920年と同じ水準の60%まで減少。その後、5年毎に1%ずつ減少

2. 分析

 年少人口は絶対値で見ると1980年の28百万人でピークアウト。1990年には22百万人まで減少している。
割合で見ると、戦前では約35%が年少人口を占めていたが、その後減少に転じる。この減少分は生産年齢人口が吸収する。
生産年齢人口の割合は1920年で60%であったが、バブル崩壊1990年に70%でピークアウト。絶対値では1995年の87百万人でピークアウトする。
1990~1995年が日本の人口割合の端境期となっている。昨今騒がれて久しい「少子高齢化」の内、「少子化」という言葉も、まさにこの端境期の1992年に刊行された経済企画庁の『国民生活白書』にて使用され始めた。

 人口に関連して、直近では、2024年4月下旬、人口戦略会議が『全国744の自治体が消滅可能都市に該当する可能性あり』としてプレースリリースを行った。
消滅可能都市とは2020年からの20年で20~39歳の女性人口が50%以上減少する基礎自治体(=市町村)を指す。基礎自治体数は1,718市町村である為、40%強がこれに該当する。

 この「少子高齢化」であるが、問題は総人口の減少ではなく、国内経済へのインパクトとなる。
日本総研 藻谷浩介氏の『デフレの正体』によれば、消費の主体である生産年齢人口の激減、貯蓄傾向にある老年人口の増加により、国内消費が停滞し、マネーの循環が滞ることで、景気が悪化することが問題であると説明される。

 この老年人口であるが、2025年に30%に至り、以降5年毎に1%ずつ増加する。総人口が減少に転じる中、老年人口割合だけが増加しており、2025年の老年人口37百万人以降、2070年で34百万人と人口を維持する。
一方、消費の主体である生産年齢人口は1995年の87百万人から2070年には45百万人まで減少する。
これでは国内消費が喚起されないわけである。

 少子化対策を今後いくら実施したところで、総人口が減少する中では、その効果は限定的と言える。もちろん、少子化対策が重要であることは変わらない。
ただし、景気回復を第一義とする場合、少子化対策以上に、生産年齢人口が激減する環境下で、いかに消費を喚起させるかが重要になってくるだろう。

3. 参照したデータ

  1. 国立社会保障・人口問題研究所、日本の将来推計人口(2023年推計)、出生死亡中位推計値

  2. e-Stat、人口推計(2020年版)、年齢(各歳)、男女別人口-総人口、日本人人口(2000年~2020年)

  3. 国立社会保障・人口問題研究所、人口統計資料集(2014年版)、表2-5 年齢(3区分)別人口および増加率:1884~2012年

参照した生データ、加工データ、グラフ画像データは以下Google Driveにて公開しております。自由にご活用ください。


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