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#10:公認会計士試験にチャレンジした話(生活編)

イントロ

#3にて、もはや過去の自分に関する懺悔のような公認会計士試験チャレンジ記事を投稿したところ、そこまでいいねやコメントをいただいたわけではないが、多くの方に読んでいただいた(ビューが多かった)ことが分かった。

動機はさておき、「新卒で入社した会社をやめて公認会計士試験にチャレンジする」(いわゆる「専念」)の実際の生活はどうだったのか、振り返っていきたい。率直に言うとなかなかひどいものである。


新卒で働いた会社の状況

まず、新卒の状況について。
■給与面
低い。今「会社名 平均年収」とGoogle検索しても四捨五入で600万円となる数値が出てきた。当時は新入社員なので正直300万円程度、今考えればよく生活できていたなと思う。
■残業
割としていた。運よく企画部に配置され組織再編関係や、当時まだ草案だったコーポレートガバナンスコードの初期対応を行っていたこともあり、やろうと思えばエンドレスな状況だった。
■入社時、退職タイミング
2014年4月入社の2016年6月退職。2年3か月。あっけないファーストキャリアである。

会計士試験の予備校はLECだったが、授業が始まったのは2015年の夏ごろだった。初めのころは授業は簿記だけなので、試験勉強といっても休日に予備校に行くという程度だった。簿記3級を勉強した知識もあったので、初めは付いていくことにそこまで難しさを感じていなかった。完全に油断。

2015年末頃、#3の記事でも書いたが自分の学習進度が追いついていないことに気づく。先生にも相当遅れているとの指摘を受け、この辺りから午前5時に起きて勉強をするなど、平日の学習時間も取るように。また、働きながらの勉強も限界を感じはじめ、専念が頭を掠める。2016年に入り、専念することを決意した。

住宅事情

専念するに際し、一番の懸念事項は住宅だった。地方出身で、また決して裕福とはいえない家庭の出、実家は激しく田舎に立地しているため、実家に帰るという選択肢がなかった。とはいえ専念した場合に当時市ヶ谷でしていた一人当たり8万円程度のシェアハウスの家賃を払い続ける余裕も感じられなかった。シェアハウスに住んでいたから、家具や電化製品も持っていない。

結論:より安いシェアハウスに移るしかない。

ひつじ不動産で安いシェアハウス探しをした。最終的に西荻窪の小さな一軒家の四畳半の間借りができそうだったため、そこに決定。2015年3月に引っ越すことになった。ひつじ不動産ではおしゃれなおもしろ不動産がたくさん扱われているが、当時の僕はそんなものには目もくれず、ただ「安い順」に並び替えただけだった。

探していた時には分からなかったのだが当該物件は民泊にもなっていて、僕の他に長く住んでいる人もいたものの、短期で宿泊する観光客がほとんどだった。またオーナーがほとんど手入れをしておらず、物件の中は荒れ放題、庭も雑草だらけ、誰もゴミ出しをしない、と激しく荒廃した状況となっていた。ここに目を付けて、普段からの清掃、ゴミ出し、また宿泊客が入れ替わるタイミングでの部屋の掃除と寝具の入れ替えを条件に、家賃の値引きを交渉した。これは完全にwin-winの関係だったらしく成功し、安い時には家賃2万円程度で生活できる時もあった。

また、様々な国から観光客が来るので家の中は英語を使うこととなり、これもよかった。割と長期で滞在していた数人なんかは個人的にも仲良くなり、たまに夜にキッチンで飲み会をしたりした。孤独な専念受験生ながらもうまく息抜きをすることができたと思う。

お金について

住宅の他に、専念にあたり懸念事項は何よりお金、アルバイトをするかどうか、だった。大して給料の高くない会社で、専念を頭が掠めてからは節約するようにしていたがそれでも2016年6月の退職タイミングでは100万円程度しか貯まっていなかった。予備校代、家賃、交通費、と考えると全く余裕がない。そして当時の僕はまだ公認会計士試験を甘くみていた。最終的に週に2回アルバイトをすることに決めた。(余裕があれば間違いなくアルバイトなどせず勉強したほうが良い)

結局アルバイトは2017年3月まで続けた(短答合格が2017年5月)。退職してからはこのアルバイト代と失業保険の受け取りが収入源だった。正直、切り崩されていく預金残高と向き合うというそれだけで精神的な負荷が高く、夜に眠れなくなってしまったり、過去のトラウマが頻度高く蘇るようになってしまったり、精神状況は割と追いやられていたように思える。#3でも書いた通り勉強がなかなかうまくいかなかったこともあり、今思い出してもなかなか暗い時期である。

2017年5月に短答合格した後は、そのまま8月に論文式試験を受け(落ちた)、2018年1月に某監査法人にトレーニーとして入社することになった。論文式試験の後にすぐアルバイトを開始したから収入が完全に途切れたのは5か月程度。今思えばたった5か月か、となるが、当時の体感期間としては本当に長かった。論文式試験直後なんかは、預金残高はほぼ0だった。

総じて

受かるか受からないか分からない不安、周囲の出世状況、目減りしていく預金残高、総じて社会人専念というのは「ただ専念する」以上に色んな角度から圧迫要因が存在していて、それに苦しんだと思える。

もし社会人を経て専念される予定の方がこの投稿を読んでいるのであれば、お金のシミュレーションはなるべくやったほうが良いように思える。僕にとっては、思った以上に自分のメンタルに影響し、集中力や睡眠の質に響いてしまうものだった。お金の準備があればあるほど、専念のための環境が整う。それは間違いのない事実に思える。

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