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#ポエム

【ポエム】星砂

私がまだ
世界のせの字も知らないくらい
小さな頃に

海辺で拾った
小さな小さな星砂だけが
たった一つの宝物

さらさら貼りつく
無限の砂粒から
私が見つけた

たった一つの宝物

【ポエム】最後の一滴

【ポエム】最後の一滴

こぼれていく
流れていく

君は
あとどれくらい
残っている?

まだ そこにいる?

どれくらい流れてしまえば
君を君と呼べなくなる?

この、最後の一滴だけは
どうかこぼれていかないように

ずっとずっと
ここにいて

君の最後の一滴を
そっと 確かに 手のひらにのせて

【ポエム】やる気

気怠さを
胸の底に押し込めて

いつだってそう
吸った息を、短く吐いた

立ち上がれ
覚悟を決めろ
目を開け

あとは、進むだけ

雑感

その一歩を踏み出そうと足を上げることが
本当に本当にしんどい時ってあるけれど

発破って、そういう時にはとても効く気がする

最近は、意図的に呼吸を速くして、交感神経できるだけ優位にして、指先とか動かせるところから動かして、どうにかこうにか一歩につなげることを

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【ポエム】安寧

雨上がり
立ち上る草いきれ
叢に息づき、土に蠢く
無数の影

日に炙られた 石の上
干からびて 横たわる
無数の亡骸

柔らかな土を掘って
お墓を作る

これでもう熱くないね

【ポエム】夏がまだ夏であった頃

ヒグラシの声が 遠ざかる

夏が 生き急ぐ
声にならない叫びが 急き立てる

ひとつ ひとつ 摘み取って
僕らは 確かに ここにいた

大きな花束を作って
それだけが、僕らの証明だ

寄せては返す 波のふち
砂の城も 砂浜の絵も
今、ここに立っていた 足跡さえも
ぜんぶ ぜんぶ 波の向こう

ツンと鼻を刺す 火薬の匂い
夜を埋めていく 白煙
笑い声と火花が咲く

僕らは 確かに ここにいて

ヒグ

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ハロウィーン 0.始まりの詩

ver.1

その人間/化物に 呪いを
その人間/化物に 祝福を

人も人でないモノも
今宵ばかりは対等に

宴の音は
篝火の明かりは
誰にも等しく訪れる

その姿は 果たして仮か それとも真か
さァ、始まりだ
境の扉が、今、開く!

ver.2

その人間/化物に 輝ける呪いを
その人間/化物に 濁りゆく祝福を

呼び名は確かに異なれど
どちらも等しく『贈り物』
来たる夜のための捧げ物

刮目せ

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【ポエム】眩惑

あたしが あなたに眩んでいる間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

あなたの残像に恋する間に
あなたはもっと先へ行くのでしょう

その姿も声も、幻で、不確かで
何にも触れない この指先が
あなたの背中をかする時

あなたは ただの瓦礫になるのだわ

【ポエム】十六夜

星の光と戯れて
今日も空虚な雲を吐く

遠くで聴こえる歌声に
聞き入った先、水滴の音

髪を撫でるのは そよ風だけ
月はぼやけて溶け落ちて

波紋を残して 兎は飛んだ

【ポエム】月夜に降る

ひとひら ひとひら 舞うように
ひらり ひらり降る 花のひら

そっと 手のひらで受け止めて
そっと 地めんに横たえて
積もる 月夜の花畑

おやすみ おやすみ
頬を撫で 過ぎ行く夜風

星の光は やわらかく
雨上がりの地めんも ふかふかに

ひらり ひらり降る 花のひら
誰にも内緒の 花畑

【ポエム】白き月の光

月が夜だけのものだと
誰が決めた?

闇に生きるものたちが眠りにつき
陽の下で生きるものたちが目覚める前

暁の空の色は
消えていく月の光は

今だけは確かに
私たちに降り注ぐ

【ポエム】始まりの白

吸い込まれるような青はそこにある
照りつける太陽もそこにある

何も変わらない 変わらない 変わらない
そんなわけ、ないだろうが

青はくすんで鮮烈は失われ
太陽は上からも下からも私たちを炙る

原色さえ消えていく世界
すがる魔法さえ廃れてしまって
それでも

雑感

連日暑すぎる日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
眩しくて目が眩んで、空の青さえ見えなくなって、白い光しか瞼の裏には残らなく

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雨夜に祈る

さあ、耳を澄まして聞いてみて
窓の外、何の音が聞こえるかな?

そう、雨の音
今日は、雨の日のお友達のお話です

雨の夜
月明かり
眠れなくて目を覚ましちゃった

さあさあ しとしと
さあさあ しとしと ぽたっ ぽたっ
ひんやり ひんやり 聞こえてくるのは
密やかな ため息のような、雨の音

車の音も 風の音も 聞こえません
なあんにも聞こえません
雨の音が すべてかき消してしまうから

まんまる

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【ポエム】心の底で

約束したんだ
あの日の僕と

何度、空を見上げたって
何度、地に臥したって
何度、忘れてしまったって
何度、足が止まったって
何度、この手が動かなくなったって

思い出してしまったんだ、だから
始めよう、ここから

他の誰でもなく
ただ、僕のためだけに

【ポエム】夢物語

消えていく

寝物語も
夢物語も
全部全部

母さんがくれたわくわくも
貴方がくれたどきどきも
無かったことになっていく

だからまた語ってよ
私のそばで
私の隣で

私が眠るその時まで