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妻とのLINEの間違い探し
隣り合う絵を見比べるアレのことじゃありません。
妻は普段たくさん言い間違いをします。かなり多い方だと思います。夕飯前に「今日のゴルフどうする?」とか急にラウンドの話をしかけてくるのなんてまさに日常茶飯事です。出際に玄関で靴を履きながら「いってらっしゃい」とか言ってくるのはもう慣れて驚きすらしません。
ふと気になり、LINEのトーク履歴で「間違」を検索してみました。
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まさかの436もヒットしました(2015年夏以降)。
面白いので、遡りながらお互いの記憶で紐解いてみることにします。なお、妻とは2018年2月に結婚しており、それ以前の彼女は赴任先の徳島で一人暮らしをしていたことだけ先にお伝えしておきます。
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一番古かったのがこちら。何を言い間違えたのかと思ったらどうやら1発目は写真の間違い探しのようです。彼女が徳島に住み始めた頃の、なんてことない洗面所の光景。
写真が一枚しか送られてきておらず直前に「今朝のびっくりしたこと」と書いてあるので、この写真に何かおかしなところがあったのだと思います。わかりますか?ちなみにプチプラがめっちゃ置いてあるのは彼女の趣味であって間違いではありません。
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強烈な間違いです。これで歯磨きしなくてよかったね。
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そうか。消したか。進研ゼミ以下か。
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やっと言い間違いが来たと思ったら、何かと言い間違えたわけでもなくただ架空の固有名詞を繰り出してきました。「お腹すいた」っていうぼくの呑気なつぶやき目掛けて突撃してくる競走馬・ディープブリランテ。スマホのキーボードで何をどう押し間違えたのか本人すらわかっていません。
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これも言い間違いではありませんが、「おはよう」に対して「おはよう」と返すことすらできないのが本当に心配です。彼女曰く「バッグの中で勝手にスマホが動いた」とのことなのですが信じていません。あと「お弁当ものすごく失敗した」って一体何を錬成したのかが気になって仕方がありません。
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やっときたぜ言い間違い。正確には打ち間違い。当時のぼくが既に突っ込んでますが、そんな打ち間違いしますかね。予測変換に出てきたのをそのまま押したってことなのかな。でも予測変換出てくるなら「ニッポンレンタカー」(最後伸ばす)じゃない?
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2016年の秋といえば、ぼくが仕事できつかった時期。難しい案件を抱えて人並みにプレッシャーを感じたのか、突発性難聴になって片耳が聞こえなくなったりしました。通院しながら何とか毎日をやり過ごしていたのに、ちょっとボヤいたら「かわいくない」です。むごい仕打ちです。
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レベルの高い言い間違いが増えてきました。夏休みの旅行前日、スケジュールを話していたときです。「夜ご飯は食べていったほうがいいよね?」って聞きたいのに出てきた言葉は「朝早く行けばいい?」です。夕飯食べるぐらいなら早起きしたいってことだと思います。誠にストイックです。
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また炸裂しました。恒例の読点ストロークです。バッグの中でスマホ自身が勝手に入力したにしては挨拶の雰囲気が出すぎています。コミュ障が満を持して「やあ」と声を掛けてきた感じを装ったってそうはいきません。
直後に送られてきた写真は高知県の後免(ごめん)駅のホーム。この日に出張で高知に行ってたのか、間違えたことを写真で謝っているのか、前後のトーク履歴を見てもわかりませんでした。
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間違いがエグい。
ちなみに先週は、冷え性に効くと聞いたのかバナナにシナモンをかけようとして間違ってクミンをかけたらしいです。そんなところでカレー愛を見せつけなくてもいいんですけどね。
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高度な言い間違いです。過去に打ったフレーズが予測変換で出てくるのは現代に生きる者として理解はしますが、「記憶の内定」という表現はあまりにも形而上的でついていけません。ニーチェの哲学用語でしょうか。「間違えた」と弁明する前に「街」とさり気なく言い間違いを重ねているのも見逃せないポイントです。
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婚姻届の証人欄を妻の両親に書いてもらおうとぼくが郵送に出したところ、そんなのはよくあることだと突然マウントをとられました。この言い回しから察するに、もしかすると妻はバツ1、いやバツ20ぐらいだったのかもしれません。怖くて聞けません。
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結婚して最初の言い間違いです。仕事帰りにLINEを見て「しそ 鶏胸肉」とあったら誰だって買い物を頼まれていると誤解するでしょう。夫婦になったからといってLINEのトークをメモ帳代わりに使わないでほしいです。
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夫婦になったからといってワン切り(死語?)を許したとでも思ったのでしょうか。2分間に3回の頻度で迷惑電話してくるってこれでぼくが病んだら傷害罪が成立するレベルです。このときも妻が言う理由は「バッグの中で勝手にスマホが動いた」でした。誰が信じるというのでしょう。
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自分から電話をかけてきたくせに「ごめんもう電車」と宣う。何をしたいのか理解に苦しみます。仕事に向かう通勤ラッシュの時間を使ってまで繰り返される迷惑電話。夫婦になると電話の嫌がらせが増えるんでしょうか。
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ぼくが仕事から先に帰って夕飯の準備をしていたときの会話です。「レトルトカレーがあるから準備しとくね」と言ったら「ごめんね、ありません」です。それは残念でしたね感が半端ない台詞に何だかイラっとします。
妻は御礼を言うつもりだったのだと弁明していますが、「レトルトカレーはあるよ」と返す意味が不明です。だってぼくはもうレトルトカレーを見つけて準備をしているのです。あなたはどの時空で生きているんですか?
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この日は妻が会社の飲み会でした。ぼくは彼女にどこで飲み会してたか尋ねただけなのに急に「乾杯」と2次会を開始させられました。「東京」も「オアゾ」もカ行から始まる言葉じゃないので、打ち間違える理由がわかりません。わからなすぎて二人で「ぞぞぞ」と混乱しているのがわかります。
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自分は飲み会行くくせに、ぼくが仕事帰りに飲み会に行こうとしたら飲み会なんて行かず食べて笑えと言われました。指示内容が複雑です。
「飲みに行かないで家で食べて笑」と書きたかったのかなと思いますが、最後が「笑」なのが意味深すぎて怖いです。ていうか会話をよく見たらぼく金曜に飲み会なんて予定してないじゃないですか。すべて間違っています。
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今度こそちゃんとした買い物のお願いかと思ったら「お風呂の片栗粉」を買ってこいという、前代未聞の借り物競走に駆り出されました。湯船につかってぼくがリラックスしている間に全身をべっとべとにさせようという魂胆だったのかもしれません。嫌がらせの発想が次元を超えています。
そして買ってきてほしいものが結局重曹だけだったというのが謎です。「お風呂の片栗粉」と打ったのは何の間違いだったんでしょうか。
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駅で電車に呪縛をかける老人と遭遇したそうです。
そう。こういうのを言い間違え(打ち間違え)と呼ぶのです。
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436は多すぎるのでダイジェストでお送りしました。3,000字を超えそうなのでここらでやめておきます。
この1年間はぼくもほとんど在宅勤務になったので、妻とLINEをする機会も減りました。とはいっても言い間違えはなくならないですし、上に書いたのは2019年11月までの記録。秘蔵の言い間違いがまだたくさん眠っています。
一緒にいる時間が増えたということは、リアルな言い間違いに遭遇する場面が増えたということでもあります。それもまたいつか書きたいな。あ、3,000字超えた。