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【小西洋之参議院議員インタビュー〔中〕】安倍政権とは何だったのか 小西議員が語るアベノミクス・安保法制の問題点 そして「憲法クイズ」の真実とは

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▹安保法制の問題は“憲法違反”と“立法事実”

小西さんは行政監視で注目されてきた印象があるのですが、その中でもやはり1番有名なのは安保法制です。安倍内閣の当時の安全保障政策について法手続きと内容のどういった点を問題だと考えていたのか、改めて教えてください。

小西
 
安保法制について、私は大きく2つの問題を指摘してたんですね。1つは法解釈ですらない明確な憲法違反。もう1つは、いわゆる立法事実である政策的な必要性と合理性、正当性がないんじゃないのかっていうことですね。

 例えば、集団的自衛権について取り上げると、集団的自衛権っていうのは憲法9条において完全な憲法違反なんですね。かつて、9条の解釈では集団的自衛権は無理ですというのが歴代政府の答弁であり解釈だったんです。それをもう論理では勝てないので、昭和47年政府見解っていう政府の9条解釈の文書の「外国の武力攻撃」という文言を「日本に対する外国の武力攻撃」の意味だけではなく「同盟国に対する外国の武力攻撃」の意味にも読めると曲解して、集団的自衛権行使を容認する「9条解釈の基本的な論理」が書かれてるという嘘をついたんですね。そして、その虚偽の「基本的な論理」に基づいて集団的自衛権行使を容認する武力行使の新三要件を定めて(7.1閣議決定)、その文言をそのまま使って法律の条文を作って、国会で強行採決をしたという、世界の民主主義の歴史でも例がないような空前絶後の暴挙であり、絶対の憲法違反なんです。

 昭和47年政府見解は当時の吉國さんという内閣法制局長官たちが作って国会に提出したものなのですが、提出要求をされた参議院決算委員会で吉國長官は集団的自衛権は限定的なものも含めて絶対の憲法違反と繰り返し答弁しているのです。昭和47年政府見解はその前後の多数の政府見解と同様に集団的自衛権は絶対にできないと言っているものに過ぎないんですね。安保国会では、この理由で安保法制は違憲であると濱田邦夫元最高裁判事や宮﨑礼壹元内閣法制局長官にも証言をして頂きました。

 ただ、それだけじゃなくて、集団的自衛権がなんで政策的な正当性がないのかっていうことなんですけども。当時、安倍総理は、日本がアメリカを守る集団的自衛権は日本のための集団的自衛権であり、集団的自衛権をやらないと日米同盟が崩壊する、毀損するっていうようなことを言ってたんですが、私は日本が米国のために集団的自衛権をやらなくても日米同盟は崩壊や毀損はしないと思うんですね。

 いざという時に米国を守らなければ、日米同盟ってもたないんじゃないかって思うかもしれないんですけど、実はそうじゃなくて、この日米同盟は日本だけでなく、アメリカにとっても世界で最重要の2国間の同盟関係であるというのが、日本政府の公式見解です。これは、歴代3人の外務大臣が国会で答弁していて、今の上川外相も答弁されてます。つまり、日米同盟に基づく在日米軍基地がないと、インド太平洋地域でアメリカは軍事力のプレゼンスを持てない。在日米軍基地がないと、超大国でいれなくなるわけです。これって誰でも地球儀を回してみれば常識的に分かることなんですよ。安倍総理は「集団的自衛権が必要な3つの理由」で、アメリカ軍の船を自衛隊が守んなきゃいけない時があるんだと言ってますけど、アメリカの船を守らなかったら日米同盟が本当に崩壊するのか、在日米軍基地がなくなるのかということを常識で考えないといけないわけです。すると、崩壊しない、しようがないわけですよ。

 もう1つは、これは目からうろこの話しだと思いますが、日本は憲法9条において集団的自衛権は違憲なので米国のために集団的自衛権を行使しなくていいという内容を日米安保条約の第3条で日本とアメリカ両国で結んでいます。すなわち、集団的自衛権は日本国憲法において違憲だから日本はできないだけじゃなくて、アメリカとの関係でする責任を持ってないわけです。アメリカが仮にそれを求めるなら日米安保条約第3条の変更を日本に求めないといけませんが、そのことを求めたことは1回もないわけです。安保法制の集団的自衛権をアメリカに頼まれてやったんですかって私が聞いたら、「アメリカには一切頼まれてません、日本の判断だけでやってます」と国会で答弁しています。現にアメリカ政府から頼まれてないです。安倍総理の歪んだ存念と、それに便乗したいろんな政治勢力によって安保法制はできてしまっている。そういう政策的な必要性、合理性からすると、集団的自衛権の立法事実は認められないし、よって集団的自衛権はいらない。

 むしろ、集団的自衛権でアメリカを守ったら必ず日本が攻撃されます。これは、安保法制が強行採決されてから6年も経った後に、私が外交委員会筆頭理事として政治力を発揮してようやく政府から答弁させることができたんですが、「政府が容認した集団的自衛権を発動すれば、その相手国から日本が反撃を受けて、自衛隊員に死傷者が出て、かつ日本国民にも大規模な被害が生じうる」と。当たり前でしょ、このことを初めて政府は答弁したんですね。

 集団的自衛権っていうのは、日本を守る武力行使じゃないんで、あくまで同盟国などの密接な関係国を守るための武力行使というのが国際法上の定義です。当然日本を守るための武力行使、個別的自衛権、これは私は必要だと思いますし、9条でも合憲だと思いますよ。ただ、限定的な集団的自衛権って言い方であれ、アメリカを守る、その実質を有するものをやる政策的な必要性、合理性、正当性っていうのは認められない。むしろそれをやったら反撃を受けて日本国民が殺されてしまうという凄まじいデメリットがあるわけですね。

 そういうものを認めていいのか議論するのが政治家の役割ですよね。そういうことを国民に対して説明もしないのに、今の政治でリーダーシップを取ることはできないですよ。玉木さんとか、前原さんとか。当時の民主党の党見解で集団的自衛権の行使容認は、昭和47年政府見解の「外国の武力攻撃」の文言の曲解による「9条解釈の基本的な論理」のねつ造による法解釈ですらない不正行為だから絶対の憲法違反ということになってます。それを当時の民主党にいた玉木さんや前原さんは今どうお考えになってるんですかと。この法解釈ですらない不正行為による武力行使の戦争で自衛隊員を、国民を殺すことを見て見ぬふりをするんですかと。

 かつ、そのことによって、さっき申し上げたように、霞ヶ関の法の支配、更には議院内閣制そのものが今、崩壊してるんですけども、9条ですらこんなことができるんだったら、他の憲法の条文、法律なんでもありだろとなっちゃったわけですよ。黒川検事の定年延長とか日本学術会議会員の任命拒否とか、臨時国会の召集義務違反とか、全部そうです。そういう政治を改める、 国民のために日本に当たり前の民主主義や法の支配を再生させるつもりはあるのかってことが、今の野党のリーダーに問われてるんですね。それはうちの立憲民主党の代表でもそうです。

 このところ立憲民主は、現実的な安全保障がどうのこうのと主張しています。私は立憲民主党の安保PTのコアメンバーの1人なのですが、安保PT会長の玄葉(光一郎)さんに、「誤解を受けるので、現実的な安全保障って言うのやめましょう。政治家になってから現実的でない安全保障を考えたことなんか一度もないです」とも伝えてます。民主党時代の安保法制の集団的自衛権は憲法違反という議論では、さっきの立法事実論もちゃんと分析してるんですよ。だから、政策論的にも必要性や合理性がないっていうのでやってるんで、現実的な安全保障、自民党よりもよっぽど考えてるじゃないですかってことを言ってるんですけど。

 こうした憲法問題や安全保障の本質について正面から語らないような人たちに、今後の野党政治や日本の政治のリーダーシップを取る資格、私はないと思いますね。玉木代表は衆議院の憲法審査会で9条の第2項削除をやるとか言ってますけど、9条の改憲を言う前に、法解釈ですらない不正行為によって破壊されてる9条を、法規範を国民に取り戻すのが、憲法尊重擁護義務を持つ玉木代表の法的な責務、法的な義務ですけどね。これは、岸田総理の目の前で衆参の議会法制局長に答弁してもらってることなんですが、憲法審査会は改憲のための委員会であるだけではなくて、国会法の定めによって憲法違反を調査審議するための委員会でもあるんですよ。しかし、玉木さんはそういう憲法尊重擁護義務とか国会法の法的な義務をちっとも果たしてない、ご自分の政治的利害のために改憲を利用するという政治家が絶対にやってはいけないことをやってしまっている、非常にけしからん人だと思いますけどね。

▹強行採決に対抗しようとした結果、佐藤正久議員と…

安保法制は議席が多い自民党が強行採決によって可決することになります。その強行採決を巡って、参院の平和安全法制特別委員会で小西さんと自民党の佐藤正久参議院議員がもみ合いになった際の写真が有名ですが、あれはどういった状況でああいう風になったんでしょうか?

小西
 
さっき申し上げたように、私は安保法制について、それがなぜ憲法に違反するかを論証した国会議員なんですね。要するに、今まで条文変えない限りできない、絶対の憲法違反だった集団的自衛権を安倍政権は合憲だって言い始めたわけですね。じゃあ、その合憲の理由って具体的にどういうものですかっていうことを国会議員として追及して、国会で初めて答弁させたのが私なんです。

 9条は憲法の条文の中で戦後1番議論されているのですが、政府の言ってることは一貫してて、同じ政府見解が何十個とあって、国会答弁もみんな一緒なんです、法治国家なのですから。しかし、安倍政権は「昭和47年の政府見解だけは、集団的自衛権が合憲と読み取れる基本的な論理が書いてあるんです」と。では「これ前後の政府見解にはそうした基本的な論理が書いてあるのか、それが読み取れるものがあるのか」と聞くと、それはないと。じゃあ「国会答弁あるんですか」と聞いたら、これもないと。ただ、47年見解だけには「基本的な論理」が書いているというのが彼らの見解で、じゃあなんでそう読めるのって聞いたら、先ほどの「外国の武力攻撃っていう言葉が誰に対するものか書いてない」というのが、彼らの合憲の根拠でした。

 私はそういう法解釈ですらない不正行為が彼らの合憲の主張、根拠であるという事実関係を初めて国会で横畠内閣法制局長官に答弁させて、かつそれが論理的に絶対の憲法違反であることを論証した国会議員です。更に、その論証と並行して、集団的自衛権という法制度を作ることは政策的な必要性と合理性、つまり立法事実がないということを論証したわけです。それは同時に、国民の皆さんがこれ(=集団的自衛権)によって死んでしまうことになるわけですよ。自衛隊員が絶対の憲法違反の戦争の武力発動によって出動して死ぬことになるわけです。

 その自衛隊員や国民が死ぬことになってしまう法律が目の前で強行採決されようとしてる時に、ただ反対だと声を上げるだけではなくて、あらゆる手段でそれを止めなきゃいけないっていう国会議員の使命感から採決を阻止しようとしたのです。あの当時、佐藤さんが指揮した自民党と公明党の国会議員が、強行採決の読み上げ原稿を読んでる委員長を守る「人間かまくら」に格納しました。ただそのかまくらの上が空いてたんで、上から委員長の読み上げ原稿を取りに行って、それを佐藤さんからパンチで排除されたっていうのが、あの時の実態なんですね。

 なんでそこまで頑張ろうとしたかというと、ちょうどあの後、3連休だったんですよ。当時国会の周りに多くの市民の皆さんが来てくださって、憲法違反の強行採決に反対する声が響き渡ってたんですよね。3連休だったらそういう運動を全国的に仕掛けられる。しかもその委員会の強行採決の前に、濱田邦夫先生という元最高裁判事が国会に特別参考人で呼ばれたんです。私が当時の民主党を代表して事前説明に行って、「昭和47年見解の曲解による論理のねつ造で集団的自衛権をやろうとしてるんです」と。そしたら濱田先生は「こんなめちゃくちゃなことなんですか、ぜひ証言します」とおっしゃってくれて、国会で「(同盟国に対する外国の武力攻撃は)読みたい人がそういう風に読んでるだけで、裁判所では通用しない、憲法違反です」という陳述をしていただいたわけです。ところが、その中央公聴会の元最高裁判事の陳述から、1回も委員会を開かずに、開いたと思ったらその瞬間強行採決をやってきたんですね。

 そこで元最高裁判事が憲法違反であると陳述してくださったことを大きな世論にして、3連休でこの憲法違反の強行採決を止めるという戦略で、委員長の読み上げ原稿を取りに行ったんですね。なので、熱いハートで体を張りましたが頭は冷静にやっているんですね。ちなみに衆議院では宮﨑礼壹先生っていう元内閣法制局長官が、やはり同じ理由で憲法違反だっていう風に言ってくださったんです。だから本当は論争ではもう勝負はあったんですけどね。ただ、我々野党がそうしたことをしっかりまだその後も追及できてないんで、今こういう政治が続いちゃってますけど。それを変えないといけないですね。

▹安倍政権の問題と「憲法クイズ」の真実

安保法制を含めて安倍政権は色々な問題があったと思うんですが、今振り返って、安倍政権はどういった政権だったと評価をされてますか。

小西
 
安倍政権というのは、行った政策の点と、政治のあり方の双方において、戦後、日本だけじゃなくて、世界の民主主義においても例がないような、あってはならない政治権力だったっていう風に思いますね。 

 政策面で一例を挙げると、アベノミクスは世界中のまともな 、先進国だけじゃなくグローバルサウスも含めて、世界中の中央銀行が絶対やってはいけないって言われてることをやりました。それは政府が予算を編成するにあたって、事実上その政府が発行する国債を日銀に買わせることで、これを財政ファイナンスって言うんですね。異次元の金融緩和の実質っていうのは事実上の財政ファイナンスであり、そのことによって日本の財政赤字は、天文学的な規模に膨れ上がりました。

 かつ問題なのは日銀なんですね。今の円安は、実は日銀が中央銀行として機能し得なくなったことによって生じていて、アメリカが利上げするなら日本も利上げすればいいんですけど、できないんですね。利上げをすると、日銀が抱える債務が膨れ上がって、日銀が債務超過の銀行になってしまう。そうした瞬間に、日本の通貨である円を発行し円の信用を担保している中央銀行が債務超過として体をなしてないとなって円の価値が暴落する、つまりハイパーインフレが起きる危険があるんですよね。日本は今後、日銀に対する信用不安や円の暴落、ハイパーインフレをいかに回避して、国民の皆さんの生活、特に、年金生活者の生活、あるいは企業経済を守るのかということに陥っています。

 これは安倍総理によるアベノミクスがまさに日本国民に対して押し付けた恐ろしい有事ですよね。本当に国民、国家のことを考えるんだったらそんなこと、こんな暴政はしないですよ。安倍総理っていうのは、本当の意味で国民や国家のことを考えてる人ではなかったし、そうしたことについて合理的、論理的な思考ができる人ではなかったのです。先ほど申し上げたような法解釈ですらない憲法違反などによって、法の支配や民主主義を破壊したのも安倍総理がそうした根本原理、普遍原理を理解できる人ではなかったからです。

 かつて私が安倍総理に予算委員会でした質問で、憲法クイズ、国会クイズとか今でも言われてるものがあります。それは今私が申し上げた、安倍総理が国民や国家のことを本質的に考えていない政治家である、その実相を暴く歴史的な質疑だったんですが、それは何かというと、安倍総理が憲法13条を知って政治を行っているか、知らないんだったら政治家として勉強しようとしたことがあるか、という質問なんですね。

 憲法13条っていうのは、安倍総理の政府あるいは私のような国会議員、国会がなぜ存在するのか、その理由を書いてる条文なんです。日本国憲法って103の条文があるんですが、他の102の条文はすべてたった1つの中核条文である憲法13条の価値を実現するためだけに存在するんです。これは小西説ではなくて、まともな憲法の教科書には全部そう書いてある。憲法は価値の体系であり論理体系なので、一番根幹の価値は何かっていうものを立てないと作れないわけですよね。憲法13条が定めているのは、「すべて国民は個人として尊重される」という「 個人の尊厳の尊重」です。すべて我々国民1人1人違う人だけど、1人1人誰からも否定されない人格的な価値、尊厳をもってると。それを尊重し、最大限に守るために我々は国民代表である国会議員を選び国会をつくり、その下の議員内閣制で政府が存在する。

 つまり、安倍総理が何のために存在するかっていうと、憲法13条が命じている国民の個人の尊厳を守るためにいるわけです。ところが、その個人の尊厳の尊重が書かれた条文は何か聞いても答えられない。個人の尊厳を人権として守るために13条に規定されている包括的人権規定である「幸福追求権」が何条にあるのか答えられないっていうのは、もう日本国憲法の下の政治家であることが許されない人ですよ。 かつ、芦部信喜さんという憲法学ぶ人は誰でも知ってる学者さんの名前でも知らないと。

 実は、安倍総理は私の質疑の前に憲法13条を破壊する2012年の自民党憲法草案について、何ものにもとらわれずに清らかな水が流れるように新しい憲法を考えたと憲法13条を全く理解していないと思われる答弁をしていたんですね。日本という社会の中で、国民の皆さん一人一人の個人の尊厳尊重がこの世で1番、大事な価値だというのは、日本国民の血と汗と涙の歴史、人類の人権獲得、自由獲得の歴史の下に勝ち取られたものなんですよね。それについて全く理解もしないし、 勉強しようともしてないような人が政治を行っていること自体が、国民にとって凄まじい脅威であり、恐ろしいことなんですよってことを戦略的に明らかにしようとしたのが憲法13条の文言とその条文を答えさせる質疑だったんですね。

 現に私のその時の証明は、残念ですけど、正しかった。その後に、安倍総理はさまざまな暴政を行ったり、恐ろしい憲法違反を行っている。ちなみに憲法13条って、憲法9条において個別的自衛権が合憲であり、同時に集団的自衛権が違憲であることを導く、たった1つの憲法の根拠条文なんです。その憲法13条を知らなかったというのは、実は安倍総理は憲法9条の政府解釈を全く理解していなかったっていうことなんですけどね。当時の私はそこまで気づきませんでしたけど、それぐらい安倍総理っていうのは、もう異次元の恐ろしい政治家だったんですね。

 まさに国民の皆さんが主権者である理由、その根拠が、全ての国民が個人の尊厳を尊重されるという、そういう価値が憲法にあるからなので。だから、私のあの時の質問が、「憲法クイズ」ではなくて、日本国民の皆さんのために行われた国会の歴史において最も重要な質問だったっていうことが日本社会で認識される時に、安倍政権の過ちの本質が認識される時がようやく訪れるんだろうなっていうのは思ってはいますけど。 そうなるように頑張んなきゃいけないですね。 

▹野党議員のSNS運用はどうあるべき? 信念にもとづく発信は簡単ではない

つづいてSNS関係についてお伺いしたいんですけれども、野党の政治家は炎上しがちであり、ネット対策が弱いと言われることが多いと思います。ただ小西さんはかつて炎上をする時期もあったかと思うんですが、今では引き続き根強い人気も獲得して、Twitterでも定期的にバズってるという風に変わっていったのかなと思うんですが、

小西
 
あ、そういうふうに見ていただいているんですね。それは、昨年の春に衆議院の憲法審査会の「毎週開催」を批判した時のことですかね。あれは、衆議院の自民、維新、公明、国民民主が2021年の立憲が負けた総選挙以降、改憲のために憲法審の「毎週開催」を行い、その中で国会議員の任期延長を押し進めていたんですね。大災害や戦争などの時に衆議院選挙ができずに、二院制の下で国会が開会できず法律や予算などができないと困るという主張です。しかし、そんなことは憲法制定時にきちんと議論されていて憲法54条の参議院緊急集会で対応することになっているんですね。ところが、改憲派はこの緊急集会が邪魔なので「大災害などでは使えない平時の制度」、「開催期間も70日間限定」などの暴論を主張し続けていたんですね。

 これに対して、参院憲法審の筆頭幹事であった私が戦略を描いて、意図的に参院憲法審で緊急集会を議題にして、正しい緊急集会の立法事実や戦前の権力濫用阻止という制度の根本趣旨などを論戦して、その結果、衆参の改憲派で維新を除いて緊急集会についての見解を分裂させました。そして、ちょうど今、自民党の改憲実現本部のワーキング取りまとめで参院自民党の主張で衆院の「平時の制度」などの暴論を否定する見解が書かれるに至っているんですね。

 マスコミがこうした私の発言の真意や、その後に参院立憲の仲間と成し遂げてきた法の支配と民主主義を守る実績を報道できていないので、真実が伝わらないんですね。

小西さんから見て必要なSNS対策ってどんなものでしょうか。

 私は、集団的自衛権の憲法違反をはじめとして、政府の重大な憲法違反、法律違反を、かつて霞が関の官僚としてそうした専門的な訓練を受けた自分の責務だと思って追及し、それが違憲、違法であると論証することを妥協なく行ってきた国会議員なんですね。そうしたことについては国会でも当然取り上げるし、Twitterなどでも発信していくわけですけども。

 これは同時に、やっぱりその追及をしている相手の政治権力ですね。政府やそれを生み出している自民党、あるいはそういう人たちを応援したいメディアから攻撃の対象になるわけです。ただ、攻撃対象になることを分かりながら、信念に基づいて発信するのは、実ははっきり言って簡単なことじゃない。相手に付け入る隙を与えないような論理的な発信を常にやらないといけないんですよね。かつ、向こうはあらゆる手段を使って攻撃しようとしてくるので、攻撃を跳ね返せるだけの政治力も持ちながら、ときには気迫で示しながら闘っていかないと、政治活動はできないと実感をしています。

 もちろん、そうしたTwitter等の発信を議員になって14年あまりやり続ける中で、 私もSNSの使い方といった技術的な面での経験が蓄積されてはきますので、まず相手に不当な攻撃を許さない、あるいは自身の政治的な地位を危うくするような炎上を生じさせない配慮というのは日々やっています。目立ちたいから発信をしているとかでは全くないんですね。日本の民主主義と法の支配を守り、正しい政策を守って実現するのは国会議員の責務そのものです。それをやらないんだったら私が国会議員やってる意味ないので、すぐやめないといけませんので。そうした信念でやらせていただいているんですけどね。

下編に続く…

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