市民のすずき NO.6 「玉木政治への総括、なぜ、批判されるのか!?」
【合流も大詰め】
立憲民主党と国民民主党との合流は大詰めを向かえている。現時点の国民民主党で、(立憲民主と国民民主の)合流新党に合流を決めた議員は、原口一博議員(国対委員長)、泉健太議員(政調会長)、小沢一郎議員、奥野総一郎議員、(平野博文幹事長)などで、その他、国民民主党の長野県連、静岡県連の議員らが17日に、合流新党への参加を表明した。一方、玉木新党への参加を表明しているのは、岸本周平議員(選対委員長)、山尾志桜里議員、前原誠司議員などである。また、労働組合が強い愛知県連では、意見の集約に成功せず、個別の判断となった地域もあった。
19日には国民民主党の両院議員総会が開催され、分党(解党)される見通しで、合流新党結成と玉木新党結成がなされる情勢である。
国民民主党の小沢一郎議員は、合流へのインタビューで次のように述べている。「これでまとまって選挙やったら絶対勝つよ。絶対次の総選挙の後は我々の政権だよ。間違いない。それだけ国民は期待しているんだよ。逆に今の政治にうんざりしている。私はそう確信している」(引用 https://news.yahoo.co.jp/articles/cda5e05a53558131719ebdc584290c405c1f1758)としている。
【筋が通らない】
2019年1月28日、イトシア前で玉木雄一郎国民民主党代表と当時、自由党共同代表であった小沢一郎議員は合同演説会を行い、国民民主党と自由党の統一会派に向けた意気込みを述べ、玉木代表は「今回の小沢代表の自由党との、この統一会派は、新しい政治を作っていくための第一歩です!皆さん。・・・皆さんの力を結集して、本当に国民のための、国民の生活が第一の、もう一度そんな政治を作るために、私たち力を合わせて頑張って行きますので、私たち国民民主党、自由党にご期待を頂きたいと思います。必ず変えていきます!」(動画 https://youtu.be/2N2dHYg_GLk)と宣言し、2016年4月26日、国民民主党と自由党の両党の合流が実現する。
(写真・記事 https://www.dpfp.or.jp/article/201426)
一方、今回の立憲民主党との合流協議では、突如玉木代表が合流での実務に取り組む平野博文幹事長、泉健太政調会長の交渉の決定内容への不満、役員会での合流否定の多さを受けた玉木代表は、今月11日に記者会見を開き、「解党」や「分党」の表現を用い、党としての決断を速やかな(19日)両院議員総会の開催で行うとしている。
記者会見のツイート https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/1293106494980808705?s=19
しかし、石川ともひろ元衆院議員のブログ(https://mypage.mag2.com/ui/view/magazine/162395538?share=1)によるとそもそも、「玉木代表の主張は「政策のすり合わせができていないと駄目だ」ということであったが、国民民主党内で憲法や消費税減税問題で意見集約をしたことはない。 党内で合意できないことを「両党合流のハードル」にするということは、最初から合流する気がなかったと思われても…」となり、消費税や憲法によって、合流できないという話は筋の通らないものとなる。
また、立憲民主党との合流に際して、玉木代表は「自民党が立派だと思うことは1つある。自民党は、10のうち1個でも一致したら、その1個の一致でまとまる。野党は、10のうち、9つまで一致するが、最後の1つが違うことをめぐって、一生懸命争う。これだといつまでたってもまとまらない」(引用 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/8516.html)と語っていたが、正に今の玉木代表こそ、「最後の1つが違うことをめぐって、一生懸命争う。」その姿勢そのものではないだろうか。かつて、自らが批判していた姿勢を取る玉木代表は、改めて筋が通っていないと批判されるべきである。
【党名をめぐって】
党名をめぐって、立憲側の熱心な支持者の反感の中、立憲の枝野代表は小沢一郎議員への要望により、党名を投票で決める考えを受け入れることが今月7日に明らかになった。
「党名投票」立憲が一転受け入れ伝える 玉木氏さらに注文も 合流なお不透明 - 毎日新聞 https://mainichi.jp/articles/20200807/k00/00m/010/245000c
それまで、慎重な考えを崩さなかった枝野代表の英断とも言えるが、更に、要求を足そうとする玉木代表の行動が信じがたいのは言うまでもない。
【1月も頓挫した合流】
今年1月の合流の破談が、実は、「党首会談」によって、起こっていることを確認する必要がある。
立憲と国民、16日にも党首会談 合流協議入り確認へ - 毎日新聞 https://mainichi.jp/senkyo/articles/20191214/k00/00m/010/275000c
この党首会談後、21日には、合流協議が見送りとなっている。問題となったことは、「党名」や「改革中道」の明記などであった。また、3月23日には、原口一博国対委員長、奥野総一郎国対委員長代行の記者会見が行われ、合流のハードルが「参院」となっていることが明らかにされた。(参考 14分17秒ぐらいから https://youtu.be/if0yBNswAGw)
今月17日に連合の相原事務局長を含めた党首会談がなされていたが、内容は明らかにされていない。(https://news.yahoo.co.jp/articles/6b41143640ff5d4184f39f2dd69e7cbfaedf008b)
【玉木雄一郎議員って何者?】
国民民主党の玉木雄一郎代表は、2009年に当選した小沢チルドレン世代の議員で、今年11年目で当選4回の若手の野党議員である。経験こそ、浅いと目されているものの、野党第二党の党首である。
また、故大平正芳元首相の親族でも知られ、香川2区の選挙区で当選を果たし続けている。
私的に玉木議員に注目した時期は、ちょうど新聞を大量に読み始めた2016年の夏で、民主党政権の「子ども手当」政策の検証の手がかりとなる2016年8月の年次経済報告(https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/index_pdf.html)に目を通し、個人消費についての資料(1 力強さを欠く個人消費の構造的要因https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je16/pdf/p01021.pdf)を受けて、ブログにて、「建設国債」をヒントに「こども国債」の提唱(https://ameblo.jp/tamakiyuichiro/entry-12190880911.html)をしている頃である。これらを取りまとめた政策を元に、同年の9月の民進党代表選の出馬を決めている。
玉木代表がどんな政治家なのかはアメブロを見ることを推奨する。(https://ameblo.jp/tamakiyuichiro/archive-201609.html)
【消えた50億!無駄遣いか?】
平成30年の国民民主党の収支が記載された表が一部で話題となった。
(元ツイート https://twitter.com/sirataki_kokkai/status/1293519999336767488?s=19)
今月に入ってからも、国民民主党の支持率は1%以下が続き、泡沫政党と化している。加えて、約50億の支出をしながらだった故に、いくら宣伝に資金を使おうとも、支持率は伸びないことが明白となった。
国民民主党の篠原孝議員(長野1区)のブログ(今この時点で野党統合以外の選択肢はありえず-羽田元総理の教え・大同小異に従うべし https://blogos.com/outline/431110/)では、この無駄遣いが指摘され、支持率1%が10%に上がることはないとした上で、「TVコマーシャル(映画館にも同じものが流されていた)、新聞を使った全面広告、各戸配布ビラ、都市部での広告トラックと膨大な金を注ぎ込んでPRしたが、支持率が上がることは一切なかった。」と国民民主党の広告宣伝が批判されている。
また、同党の長野県連の合流新党参加の決断の裏には、故羽田孜元首相の教え「感情的対立を超えて大同団結し、政権交代に近づく」が根付いていたのではないかと考えられる。どんな政策や広告で宣伝するよりも、野党議員が感情的対立を乗り越えて行くことこそが、支持アップへの近道だと考えられる。合流新党への結集もそういったものである必要があるのではないだろうか。
【#玉クラ 政局】
ある玉木雄一郎議員の支持者と思われる政治クラスタが津村啓介議員に対して、「平和ボケ」とレッテルを貼り、「モテない男子学生」に例え、中傷したツイートを見付け、また、それに「いいね」「リツイート」する一群を発見したため異常さを感じた。案の定、その違和感は日を待たずして記事となっていた。
「老害」連呼?国民・玉木代表の支持者はどこへ向かうのか?①|チョコレートサイダー通信 https://note.com/chocolat_psyder/n/na992bda67649
この小沢一郎議員、菅直人議員を「老害」とする「民主党」への最大の侮辱とも言える記事を書き、その記事に「いいね」「リツイート」していた集団こそが「#玉クラ」であった。しかも、「#玉クラ」の中身は、国民民主党の学生部や維新の支持者の一部が含まれ、その一人に支持の優先度を尋ねたところ、「民民>維新>自民>立憲」の順序で、立憲が政権を取るぐらいだったら、自民党政権の方がマシと考えているのだとも分かった。
小沢議員や菅議員の実績をまともに評価せず、「老害」と表記したこの感性はどこから来るのか疑問であったし、両議員の支持者の怒りを買ったことは言うまでもない。
また、「#玉クラ」の一部が、玉木代表が言い出し、平野幹事長、泉政調会長が進めてきたこれまでの立憲との合流プロセスを批判するような要望書を書いて代表宛に提出したことも、にわかに信じがたい行動である。(参考 https://twitter.com/chocolat_psyder/status/1291926971048275971?s=19)
「#玉クラ」の暴走は止まることを知らず、合流新党に参加を表明した議員を袋叩きにする様子は、最早、言葉も無い。(参考 https://twitter.com/sokuno2/status/1293178374228041739?s=19)
個人的にはお近づきになりたくないと強く思ったし、集団リンチをする傾向(セクト的である)や他人へのリスペクトの欠如などから、将来の政治の担い手になることが非常に恐ろしくも感じた。仮に、玉木新党に「#玉クラ」が流れてくれるのであれば、立憲支持の良識ある学生が合流新党の学生部を運営することに期待する。もし、そうでなければ、将来的にも何か協力し合っていく気にはなれないというのが率直な感想である。
【玉木新党に何が出来る?】
玉木新党の組む先は、自民なのだろうかと、玉木代表の新型コロナ対策のツイートを見る度に思わざるを得ない。しかし、それを前原誠司議員が許すのか甚だ疑問で、玉木代表のやろうとしていることは無理筋だと考えている。はっきり言って、〝絵に描いた餅〟にしかなっていないし、何を期待して良いかも分からない。一方で、チャンネル桜や虎ノ門ニュースの視聴者と見られる人々が玉木代表のツイートを絶賛していて、その視聴者の思惑が何なのか想像には難くないが、野党分断を望んでいることは言うまでもないだろう。(https://twitter.com/tamakiyuichiro/status/1295148034276208640?s=19)
また、消費税減税、憲法改正の話を玉木新党のような小規模政党が動かせるのか、しかも、新型コロナ対策という政府が早急に取り組むべき仕事を政権を取らずにどのように実現させる気でいるのかも分からない。
つまり、無力な政党にしかならないという見方をしている。仮に、れいわ新選組と組むとなれば、「消費税」に関して譲歩しない合流新党と徹底的争うこととなり、共倒れを招くことは言うまでもないし、維新と組むとなれば、共産党との連携から合流新党と敵対することになる。
玉木新党ができたとしても、支持率はこれまで通り上がらないし、これまでよりもジリ貧になることが予想される。果たして、どれぐらいの議員が参加するのか見物である。
【政権交代に消費税減税は必要か?】
率直に、必要がないと考えられる。本当に消費税減税を国民が求めていたら、政権はとっくにひっくり返っているという見方だ。しかし、現実はそうじゃないし、だから、「減税だー、減税だー!」と叫んでいても世論とはズレているのだなとしか感じない。「新規」を求めるなら尚更、消費税減税だけでは胡散臭いと気付くべき。多数派が消費税減税を「どうしても」と望んでないという見方である。自民、公明、立憲の票を足したらどうなるでしょう。減税派よりも圧倒的多数だということが分かる。また、投票に来ない層も同様で、現状でも仕方がない。だからこそ、消費税減税派が世論を加熱させないカラクリも働いているのだと思う。
消費税減税派は、投票に来ない層を「消費税について考えたことがない人たち」で、「熱弁すればなんとかなる連中だ」と思っている節がどこかにある。それだから、消費税減税と言えば、何とかなると考えている節があると見ている。それこそ、#玉クラ の安易なところでもあるし、山本太郎さんにも同様のことが言える。
しかし、自民党の重鎮が「消費税減税はあり得ない」と一言、言うだけで政策の「素人」は「そうかも知れない…」と思うもの。そして、両方の意見を聞き比べる。それで、「分かんない」となるのが有権者の心理ではないのだろうか。
(参考 消費税増税「賛成」47%、内閣支持横ばい 本社調査: 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37046310Y8A021C1000000/)
【新自由主義がもたらした病理】
巷では、国債はインフレ率を守ってどんどん発行して皆に配れとの発想が流行っている。また、国債は借金という政府見解を否定し、国債について問い直す機会が生まれている。その一方で、過剰な消費税減税の趣向も生まれ、今日の野党分断の要因ともなっている。しかも、れいわ新選組に関しては、「仁義無き戦い」を表明し、最新の情報では、50の選挙区に候補者を立てる姿勢も辞さないでいる。(https://news.yahoo.co.jp/articles/c7c726e872786d869f8a6261dd072cf48958c110/images/000)
しかし、議会制民主主義の理念に則れば、政策を実現できるのは、政党、その組織である。これに不服で、数の力で解決させようというのがれいわ新選組の論理で、これから、合流新党と戦うことになるのは言うまでもないだろう。もし、これで共倒れが起きて、政権交代に失敗でもすれば、国民の悲劇である。一方、これでも構わないというのが、れいわ新選組の考え方だから、非常に困ったものだと感じる。
「#玉クラ」も立憲嫌いが酷いが、故羽田孜元首相の考えから学ばなくてはならないだろう。
結局のところ、〝大きな連帯〟よりも、〝小さな連帯〟にあるアイデンティティを重視するあまり、〝大きな連帯〟になれず、力を成さない、過激な手段を取るしかなくなるのが新自由主義の病理で、これは、セクト的、またはファシズム的な傾向もあると考えられる。新自由主義には、セクトやファシズムと違い、多様性を許容する性質があるが、この多様性にある個々のアイデンティティを守ろうとする余り、〝小さな連帯〟に陥り、社会の分断へと至ることは言うまでもないだろう。
国民国家と向き合い、〝大きな連帯〟の目指す先が何か構想することが今の政治に求められているのではないかと考えている。
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