対立する要素が生み出す均衡の妙
POESIES ショップデザインストーリー
モードやラグジュアリーな洋服に、朽ちた空間のコントラスト。POESIES(ポエジー)をデザインする上で、ひとつ大きなテーマとなったアイデア。
相反する要素から生まれる、美しさ。
僕の中でそういった美意識を持つ原点になったのは、やはりマルタン・マルジェラの存在が大きかったのだと思います。
INSPIRATION
今から20年近く前、勤めていたセレクトショップの代表(でありDessin de Modeのデザイナー)から譲り受けた品。当時マルタン・マルジェラを取り扱うにあたり、「これを見てマルタンの空気感を肌で感じなさい」というメッセージだったのかもしれません。
この希少なブックレットには、インディペンデントで最もエキサイティングだった時代のマルタン・マルジェラの全てが集約されていました。
ファッションに本来求められるべき、華やかで贅沢なものと180度反対の場所に、全く違う価値観があることに気付かされた瞬間。
僕がヴィンテージの洋服やインテリア、古い建物などに惹かれるようになったのは、この頃からだと思います。
また、冒頭で触れた「相反する要素から生まれる、美しさ」。
近年で直接的なインスピレーションを受けたのは、ルーシー&ルーク・メイヤー夫婦によるジル・サンダーのヴィジュアル・イメージ。
オリヴィエ・ケルヴェルヌ、リナ・シェイニウス、マリオ・ソレンティらが撮影した、ラグジュアリーでシックな洋服と、無造作な背景のコントラストがとても美しく、いつも見惚れていました。
POESIES
物件を探していく中で、築60年ほどの倉庫のような、とても雰囲気のある建物に出会いました。
その建物のムードを生かし、上品な洋服とのコントラストをショップデザインとして表現できないか、と設計士の間宮洋一さんに相談したのがPOESIESのデザインの始まりでした。
それからというもの、僕が考えるイメージのヴィジュアルを、夜な夜な間宮さんに送り続けました(とても迷惑だったと思います苦笑)。
そんな中で間宮さんから頂いたアイデアが、壁を「塗る」のではなく、逆に今ある塗装を「研磨」して、荒さを出しながら建物を元の状態に近づけるというものでした。加えて重厚感のあるファサード、鍵、照明器具、床などもそのまま使用し、建物の歴史を最大限に尊重する仕事に徹してくれました。
間宮さん、アシスタントの大場さんによる研磨の様子。
POESIESのデザインには「数年に渡りお店を進化させる」というコンセプトが隠れています。
建物の歴史を尊重した元の姿から、数年に渡りデザインを加えていくというアイデアです。
下地処理の状態で止まっている壁が一部ありますが、そのストーリーをそれは表現しています。
完成であり、未完成である今の空間を楽しんで頂けましたら幸いです。
土日は僕もちょくちょく遊びに行っておりますので、皆さま是非お待ちしております。
先日発表しましたPOESIESオープンのプレスリリースですが、媒体にも取り上げて頂き、お客様に認知して頂くきっかけとなりました。
FASHIONSNAP.COM様、QUI TOKYO様、セブツー様など誠にありがとうございました。
INSTAGLAM
【ショップ情報】
POESIES(ポエジー)
東京都渋谷区幡ヶ谷2-1-3高橋ビル1F
OPEN 12:00
CLOSE 19:00
Close Wednesday
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