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失敗★蓮ストール 25-Ⅲ-if
【 雨宮蓮へのインストールに失敗しました! 】
♯夢小説 ♯ペルソナ5ロイヤル ♯女主 ♯成り代わり ♯微改変✕ ♯オリジナル混合中!
夢主は周回プレイ記憶者です。
\前回までのあらすじァ!!/
7/11、放課後は真と勉強する。
その晩。
三島から呼び出しを受けた蓮。彼はもはや、怪盗団の敵を過激に排除し、我欲のために怪盗団の力を振るおうとまでする態度になっていた。
不気味な笑顔を見せる彼に、蓮はそのことを怪盗団に相談することができなかった。
7/12、試験前日。
唐突に芳澤ちゃんから謝られる。それは何も知らない三島に、蓮は女だと意気揚々と語ったことが、彼に大きなショックを与えたという内容だった…。
放課後、祐介の絵を手伝うために井の頭公園へ。
ちゃぷ、と水の臭いが跳ねる。
自然の元で配合された、汚い水だ。祐介は重量制限に引っかからなかったスケッチブックを開き、鉛筆を手に取る。
「今日は助かった。漕ぎながらじゃスケッチできんからな」
「なぜボートに?」
俺が任されたのは漕ぎ手の役割だ。祐介のためなら構わないが━━公園の湖面。そこを揺らぐ俺と祐介の2人。湖やその上の物を描きたいなら、陸地からでも構わないはず。
「決まっている。そこにモチーフの予感があるからだ! 協力…すなわちオールを頼むぞ」
「任された」
ボート貸し出し受付での、やる気満々ではしゃぐ祐介に対して、落ち着けと制する俺…受付の微妙にヒケた目が思い出される。しかし彼の前では常識など風前の灯火。
よし……と。
「 ……見て見て! 鴨だよ〜。カワイイ〜!」 「ハハ、そんなはしゃぐなって。落っこちるぞ〜 」
「…………! よし…これだ」
「…彼らが気になるのか?」
祐介が声の方に顔を上げる。そちらに、男女がボートに乗っている。祐介は2人がよく見えるように座り直す。
「この間は心の一面として『欲望』を描いた。だがそれだけでは、心の深淵には辿り着けなかった… そこで、心を構成他の要素を描く。それは、男女の燃え上がる情熱……!」
どやあ……!
なるほど、そのモチーフをボート上に見出すならモデルを間近で見なければ詳細にわからないな。
「そう、今度のテーマは、ズバリ『愛』! 愛だ! 愛なのだ!」
「ふむ…よし、やってみよう。何事もトライだ」
「ああ、俺からも頼む。俺が描いている間、ボートが揺れないよう、波とは逆方向に小刻みに動かしてくれ」
俺が笑いかけて頷くと、祐介も頷き返して、スケッチブックに早速鉛筆を滑らせ始める。俺も俺のすべきことをしよう。器用さ4をナメる…あれ?4だっけ?5だっけ?
「…………クフフフフ、 いいぞ……そのアングル、いいッ! はにかんだ横顔…濡れた瞳…抑えきれぬ情熱が…見えるッ!」
んふふふ(鉄面皮崩壊)
「聖書で言うアダムとイヴ…仏教の愛別離苦…出会った時から定められた別れ…そう…万物は愛に始まり愛に終わる……」
「かわいいなあ……」
「まさに…愛こそ人の心! フフ、描ける、描けるぞ……!」
(脳内ムスカ口調再生)(cv.杉田)
もう、考えてること全部口に出ちゃってるぞ。作業しながら一人言出ちゃうタイプの祐介は仕方ないなあ。周囲へのことを考えずひたすら己の欲望に奔放…
「この絵は誰もが認めるに違いない! 入選は確実…! …ああ、いや、そんなことを気にしてどうする……!」
祐介は皇帝、いや暴君でもいい…この皇子のしたいこと全部させたい……
「動かないでもらえるか!!」
パシャッ、と隣のボートからの水が顔にかかる。
突然隣のボートから大声を出されて、驚いた青年のオールが跳ねたのだ。
ごしごし
「さっきのアングルだ! あの横顔だ! もう一度、あっちを向くんだ!」
「な、なんだ!? 意味わかんねえ!」
幸い、スケッチブックには水はかからなかったようだが、眼鏡には水がかかったし、動揺した青年のオールを漕ぐ手が止まり、そのためにボートが揺らいで波がこちらに来る。急いで眼鏡を外して拭う。
「これが完成すれば、君達は芸術界の新たな神話…まさにアダムとイヴになれる。喜んでいい。君達の美しき愛は後世まで残るんだ……!」
うろたえた様子の男女のボートからの波を制御すべく、こっちもオールを手に取る。
「つーか、それ…絵を描いてんのか?」
「え!? 私たちをモデルに?」
「小舟に揺られる仲睦まじい男女…染まる頬、はにかむ視線……、まさに俺が描きたかった『愛』そのものだ!」
「『愛』……?」
…男女が、怪訝そうな顔をして、互いの顔を見合う。首を傾げる。
「……まあ、愛っちゃ…愛…も、なくはない、けど… キモいけど……」
「家族愛ってやつならな。これ、妹。……だから俺は嫌だって言ったんだ。こんなのに乗るの、バカップルだけだぞ」
「東京来たら乗るのが夢だったのー! 私だって、お兄ちゃんとなんか乗りたくなかったから!」
男性の方が、素っ気ない仕草で女性を指差す。そして男女…もとい兄妹はぶつくさ言い合い始めた。
←ボート相乗り中の180男性
←ボート相乗り中の170男性(世間の目)
「家族愛、だと……? つまり抑えきれぬ情熱など、俺の勝手な幻想…先入観に囚われ、本質を見誤ったとは……」
「愛の形も色々、ということだな」
自分らとか……
「愛とは、広く…そして深いのだな。自分の見識の狭さを思い知らされた。恋愛と家族愛…同じ風景でも見る人次第でまるで別物というわけか」
スケッチブックを、祐介が膝に置く。そして彼が身を乗り出し、ボートが揺らぎ、慌ててオールを掴み直す俺に、楽しそうに目を細める。
「見る人次第…それこそが、心…なのかもしれないな。蓮、俺はひとつ学んだ気がする……!」
「そうか、良かったな、祐介。ふふ」
祐介の艶のいい髪を梳くと、彼はわずかに顔を赤らめて微笑み、俺の手に己の手を添える。…なんだ、撫でて褒めてほしいのか? いいぞ。
「……あれ? ボートに乗るのはバカップル? ってことは、お二人ってひょっとして……」
「おい、やめろよ。都会には色んな人がいるんだよ」
「ほほう、そこ詳しく……」
「…………?」
おっと、そこを誤解されるのはいけないなあ。
「すみません、公式の許可取ってください」
「公式!?」
「現状だとプラスですが、クソデカ矢印を受けていまして」
「クソデカ矢印!!?」
「それを向けてくれるのがカワイイなあってところが公式の見解なので」
「カワイイの見解!?!?!?」
「後はご自由に作ってください、どうぞ」(慈母神の微笑み)
ボートの女性、東京に沈没。
というか今、眼鏡外してるから俺の抑えきれないイケメンフェイスが世にさらされてるんだった。夏コミに俺たちをモデルにした一次創作同人誌が出たら、ワンチャンBL業界のアダムとアダムにry
「何のことだ? プラス…? 矢印……?」
「どうする? 絵の続き、描くか?」
「ん? ああ、今日はここまでにする。蓮、俺を岸に運んでくれ」
兄妹に大きな何かを与えて、井の頭の湖を去っていく美男子2人であった━━。
怪盗業のための、予告状の下書きを見せてもらう。おやっと思ったのは怪盗マークだ。何回も何度も、竜司が最初に描いたマークを練習している。
「正体をバレないよう、ではない。今回は“ほのめかす”のだ。間違った、見解にな。そうだ、今日のボートで更に良い方にデザインが進みそうだぞ。クククククク……!」
「信じているぞ、祐介」
「むろん、期待に応える…俺に取っても満足いく出来の物を作る!」
ピピピピ…
「祐介か? もしもし、帰ったか?」
『ああ、今着いたところだ。協力感謝する。しかし、俺もまだまだ未熟だな。「愛」ひとつ取っても俺は何もわかっていなかった。一歩前進したとはいえ、この調子では、前途多難なのは目に見えている。俺が「心」を知る日はいつだ? 知ったとして本当に描けるのか…とな』
「とにかく描くんだろう?」
『ああ、俺にはそれしかない。無心で描き続けることで何か見えてくるものもあるはずだ』
「いつでも…とは言えないが、また手を貸してほしい時は協力する」
『フフ…蓮は頼もしいな。今日は有意義な時間だった。蓮のオール捌きも見事だったぞ。次の機会…俺も閃くのを楽しみにしている』
「ああ━━じゃあ、おやすみ」
ファミレスで杏と竜司と追い込み。
「俺、質問答えらんないけど…お前は進んでる?」
「普段より進んでる」
「赤点寸前のニンゲンを前にすると、危機感が生まれるな?」
無言で睨むな。モナと竜司はお互いを焚き付けるのが上手いな。
「『主旨』って何よ〜……! はぁぁ…体力尽きた……」
と言う彼女のために甘味を頼もうとしたら、「いーや。今は止めてるから」と返された。代わりに、ボタンが強く押され、
「チキンステーキください! ……ダイエット中のお肉はね、低脂質、高タンパク」
食べるんじゃん?
「クソッ…俺勇者の試練行ってくるわ……」
「ドリンク飲み残しはマナー違反だぞ」
そう言って試練Lv4に手を伸ばした俺の手を、がっしと竜司が掴む…緊張した顔で。
「いや……ここで杏に怒られるくらい…なら……俺は…全部飲んでから……行くぜ」
「私に怒られるって何」
「そもそも、試験勉強中に勇者の試練を始」
2人が言い終わる前に、竜司が思い切りグラスを口の中に流し込む。そして「オホッ…ケホッ! ウッ…ウグッ…ンンンンッ……!!」みたいに咳き込みながら、どうにか完飲する。少し目を回しながら飲み終わった勇者を見て、
「「きたない」」
「間接キスされグフッよりマシゴホッオホゲホ……」
モルガナは「チキンステーキ…」と虚無に向かって呟いていた。
「もうこんな時間か…ぼちぼち帰ってやんねえと……。さて、今日の晩飯を考えねえとな…食材は何が残ってたっけな?」
ファミレスから帰ると佐倉さんがそんなことをぼやいていた。ルブランマスターはルブラン以外のことがたいそう忙しい。
第二マジカルセブンビルとは何なのか……。
もはや一ヶ月近く経っていることに驚きを隠せない。『BAR・にゅぅカマー』の扉を叩いた。
「あら……変わったお嬢ちゃんじゃない。また来たの? いらっしゃい」
立派な肩幅と横幅から出る安心感すらある艶っぽい声に、カウンターにうつ伏せになっていた女性が顔を上げた。
「こんな所に出入りして、食べられちゃっても知らないわよ」
「食後です。嘘です」
狩人と猟犬に食われかけた友人を腹に収めて救出したあの日がもはや懐かしい。
俺はカウンター席の、女性の隣に座る。(非常に滑らかな動き)
「あれれ? グラスが無い…おかわり頼んだっけ? 今日は何杯飲んだ? てゆーか今、何時? まいっか? いや、良くない?」
ぼんやりした目と、ほんのり赤く染まった頬、ゆらゆらの手つきと、ふらつく体。手の範囲から押し出されたグラスを取って、彼女の前に置く。「お、あんがと」と言って溶けた氷を啜った彼女は、はたと気付いたらしく俺の方を見て目を丸くして、
「あれっ、キミ、男装の美少女じゃん!!」
フワアアッと陽気に酒臭い笑顔になる。
エスカルゴ・ララさんに会釈すると、ため息をつきつつ、未成年が夜にこんな店に来ていることには言及しないことに決めたらしい。
相変わらず、水中ゴーグルのような色合いの頭に上げたサングラスと、濃い化粧が印象的な女性だ。丸いボブのショートヘア、肩掛けの一眼レフ、安物っぽいロゴの描かれた黒いシャツ。
大宅一子━━『金城潤矢』の名を探し当てさせてくれた新聞記者である。
「ひっさしぶりー!! カネシロってやつと何もなかった? トラブってない? 怪盗団が引っ捕らえてくれたらしいけど?」
「その節はありがとうございました。お陰様で何事もなく(大嘘)」
「っしゃ! 感動の再会に乾杯!」
とグラスを傾けた彼女だったが、
「ちょっとララちゃん、コレ、水じゃないのぉ? ボッタクリだ、ボッタクリ! 特集でスッパ抜いてやんよ!」
「それ俺のグラスです」
もはやどれが目の前で何が何のグラスかも区別がついていないらしい。ララさんが苦笑しながら、改めて俺の分の烏龍茶を出してくれる。
「今日はどーした? まさか新しい怪盗ネタとかぁ? あ、それとも…おねーさんから大人のミ・リョ・ク、学びたくなった〜?」
「怪盗ネタです」
「マジ? わざわざ怪盗ネタ持ってきたの?」
鉄面皮を崩し、ニコリと笑って答える。
「そりゃありがたい…会社で怪盗団の番記者にされちったし。いやー助かる助かる、これで仕事も捗るわぁ」
「子供を利用する気?」
少し陰鬱そうに、ララさんが大宅さんに一言断りを入れる。
「堅いこと言いっこナシでしょ? この子ら、大人の耳には届かないネタ持ってるし。それに大事なのは…『第三者のソースがある』ってとこ」
「アンタねえ……」
「で、条件は?」
酔っていながらも、さすが女記者。ただ俺が駄弁りに来たわけではないとわかっている。
「今度は誰の情報が欲しい? それとも単なる小遣い稼ぎ?」
「色々聞いてると、秘密を漏らしたくなるもので。互いに有効活用です」
「は……?」
飄々と言った俺を、彼女はポカンと見つめる。そして、アハハハとおかしそうに笑い出した。
「ラッキ〜! カモがネギ背負ってきた〜! これで仕事が楽できる、空いた時間で旅行でもすっかねー……、んなワケないだろ?」
……さすが伊達に新宿に入り浸る女やってない。ちょっと今の睨みはピリッと背筋に来た。
「言いなよ、何が狙い? キミが金城のこと聞きに来た直後、ヤツが捕まった。無関係とは言わせないよ。匂うな、キミは……」
「別に…怪盗団の信者Aだ。アルファ」
怪しまれるならそれでいい。烏龍茶で唇を湿らす。
「信…者? 怪盗団の……?」
ふうん。
少し驚いた様子で相槌を打った大宅さんが、「あっは!」とまた愉快そうに笑う。
「なるほどねえ…熱烈な怪盗団のファンかぁ〜」
「ちょっと、ダメだかんね? 旅行のために子供を使うなんて……」
「旅行? ああ、ウソウソ。空いた時間で調べたい事件あんの。会社には内緒の独自取材」
アンタまさか、とララさんが呟くのを遮るように、
「じゃあさ、こうしようよぉ!」
大宅さんが大声を上げる。
「キミは、アタシに怪盗団のネタをタレコミする。アタシは、そのネタを元に怪盗団の記事を書く。キミの、大好きな、怪盗団の、ね。そんな取引でOK?」
ニシシと笑って大宅さんが俺の鼻先をつっつく。俺はその指先を人差し指、中指で挟む。
「いい記事を頼む」
「書く書く、ネタ次第だけどね━━おし、決まりっ」
ウーン、と大宅さんが椅子の上で伸びをする。バーカウンターの席に、背もたれはついているが腰程度の低さで、酔っ払いの背中を支えるには不安定でしかない。しかし、大宅さんの体幹は今やはっきりしている。
「怪盗団が喜ぶ広報してやるから、ビビッドなネタじゃんじゃん頼むぞ?」
『怪盗団番記事記者』を名乗る、
その奥で別の事件を調べる女性、
大宅一子。
【悪魔】コープの相手だ。
「あ、この事は誰にも言うなよ? 高校生とか使ってんのバレるとマズいし。それじゃララちゃ〜ん! 取引成立のお祝〜い! アタシのボトル出してよ! グラス2つちょうだ〜い!」
わーい!
………… …………
「…ちょうだ〜い! って! …………、 ……うわ、無言の圧すげえ」
「話が長くなりそうですので、お代発生してもいいので何か飲みたいです」
ララさんが手を上げた俺の方だけ見ると、少し離れた棚の方に背を向ける。
「わーかったよ! 高校生には飲ませないってば」
「よろしくお願いします、大宅さん」
「アハー、固いな少年少女。何ならいっちゃんって呼んでもいいよ?」
バシンと背中を叩かれた。
「しょ、少年少女? い、いっちゃん……?」
「えー、嫌なら呼び方考えてよお」
と、いかにもダル絡みっぽく俺に顔を寄せる。化粧が顔につきそうだ。
「あー、えーと、蓮くん…とか、蓮ちゃん、とか? い、いっちゃんは、もう少しお近付きになって…から」
親近バグに合わせるメーターを、どうにか調整する。
「おっ、お近付き〜! その響きいいねえ! よろしくぅ、蓮ちゃん!」
「……お嬢ちゃん、ラムネ好き?」
ララさんが話しかけてきたと思ったら、なぜラムネ。
「ビー玉が入ってて、」
「キュッポンって抜くやつ大好きです」
「夏に向けて入荷しといて正解っぽいわね」
子供時代はロマン。あたしも炭酸飲みたーい! と大宅さんがジタジタする。
しばらく話して、大宅さんがトイレに籠もっている間にララさんに取り計らってもらって、にゅぅカマーを出た。
ネオンサインの上から降ってきたモルガナから、
「酒くせぇ」
とコメントをいただいたが、これも怪盗団のためである。
☆★ To be continued!! ★☆