大木彩乃25th Anniversary Live
じっくり25年かけて、この場に巡り着いたような感覚。
口からCD音源、という表現が世の中にありますが、口と指から
CD音源、といったクオリティの音でした。
それ以外にも感じる所があり、個人視点でざっと総括してみます。
思い起こせば1999年、当日ご執心だった岩男潤子さんのライブにて、
岩ちゃん歌上手いよね〜…と、ファン仲間と語っていた所、その中の一人が、
「もっと上手い人がいる」
と私だけに貸してくれたのが、彩乃さんの1stアルバムでした。
なるほど確かに上手い。パワフルさは無いけど、透き通った歌声。
…そんな出来事がフラッシュバックしたのが、アルバム収録曲の
「メリーゴーラウンド」、弾き語りバージョンになってるとはいえ
記憶を呼び覚ますくらい、原曲のイメージそのままの音、そして歌声。
ライブは彩乃さんの世界を切り取って次々と見せていくかのように
激しく盛り上がる事もなく、淡々と続いていきます。
(表情が見えない席で見ていたからかもしれませんが)
客席は、聞き入ってる人が多い印象。
一緒に世界観に浸るスタイルが、彩乃さんのライブの楽しみ方として
スタンダードなのかもしれません。
特定の音域で、共鳴しながらブワーッと広がるように聞こえる
歌声は、生でもそのまま感じ取る事ができました。
途中で挟み込まれるMCは、彩乃さんに対して抱いていたイメージの
答え合わせをするように、思い出語りを聞いていました。
3枚目のアルバムから、急激に内面世界へと向かっていったような
印象があり、インディーズになってからリリースされたミニアルバムでは
ちょっと心配になるほどダークな世界観になっていたので、もしかして
音楽に没入すると、音楽に蝕まれてしまう人なのかなぁ…と思ってました。
現在は楽しく音楽活動できているようで、よかったです。
その楽しい音楽に導いてくれた存在と思しき存在が、今回の
ゲストであるバンド、ふれでりっひ書院の3人。
後半1曲目では、弦がたくさんあるギターを持って登場した山田さん
とのデュオ、「彩乃さんじゃなくてお前が歌うんかーい」と
心の中でツッコミを入れたメインボーカルを担当した後、前半で
個々にチラホラ登場していたアコーディオンのクラモトさんと、
ドラムの中島さんも合流、山田さんはベースに持ち替えて、
バンド編成へと変わります。
うおー!みんな演奏しながら歌えちゃう人達なのね!
2人以上で歌うハモりが気持ちいい!
目から耳から楽しめるテクニカルなセッションです。
アンコールでは、25周年おめでとうケーキを中島さん山田さんから
サプライズで手渡されて嬉しそうな様子の彩乃さん。
その間、クラモトさんと彩乃さんはアンドゥトロワを演奏しており
ケーキを渡し終えた2人は、演奏中の曲に途中参加して、シームレスに
演奏に混ざっていきます。
まるで神々の遊びを見ているような気分。
驚いたエピソードは、養蜂家を名乗れる程ハチミツ作りのスキルを
身につけた彩乃さんが、オオスズメバチを退治する話のさなか口にした
「ピアノを弾いて丸くなった指先」というフレーズ。
えっ、ピアノって弾くと指先が摩耗していくの?
一体、今までどれだけ弾いて来たのでしょう…
気付けば25年間、ふんわりと音楽活動を追い続けてきた彩乃さんの
ライブを、どこか懐かしく楽しみました。
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