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個展が決まってからすること
前回は、個展を開くと決める前にすることをいろいろと書いた。
今回は、いざ個展が決まってから、個展当日までにすることを書いてみようと思う。
作品に関しては、当日までに揃えて当たり前という前提なので、今回は割愛する。
ただ、作品の揃え方については幾つかパターンがあるかと思う。
1年以上先に開催日を設定していて、そこへ向かって制作をするパターン。
もう作品があって、いつでもできるというパターン。私は今回はこのパターンだった。
そのため、個展当日まではそのほかの準備に費やすことになった。
また、挙げていく項目の順番は、人それぞれ、またはギャラリーから「いつまでに」というタイミングもあるので、あくまでも準備することと思ってもらいたい。
・配布物の作成
配布物にも様々ある。
まずはDM、すべて自分で作るのか、ギャラリーに写真を渡すだけでしてもらえるところもあるようだ。
私は、写真からレイアウトすべて自分で行った。
ただ、失敗したのは印刷にかけるまで、誰にも見せていなかったことだ。
完成原稿ができたら、一度誰か信頼している人や、知識のある人に見てもらった方がいい。
自分では気づかない部分を指摘してくれる。
また、配布するのはDMだけではない。
名刺も配る場合がある。
この名刺については2種類作成しておく。
誰に配ってもいい名刺と、決まった人にだけ配る名刺。
誰に配ってもいい名刺とは、今の時代であればインスタグラムやその他SNSなどのリンクを乗せたQRコードと、名前と読み仮名だけのもの。
これを芳名帳の辺りに置いておいて自由に取れるようにしておく。
決まった人にだけ配る名刺には、上記のSNSのリンク、メールアドレスを乗せたQRコードを付けて、名前と読み仮名に加えて、電話番号などを書いておく。
これは作品を購入してくれた人や、後日連絡を取りたいと言ってくれる人、向こうから名刺をくれた人に渡すために作っておく。
凝ったデザインでなくても、それがあるだけで開催中のやり取りはスムーズになる。
・作品にまつわる周辺物
ややこしい言い回しになったが、平面作品の場合だと額物。
立体物や、陶器などの場合は、作品台になる。
私は、小さい木彫を作っているので、それぞれの作品用に黒いアクリル板を用意した。
ものによって正方形、長方形、サイズ、いろいろ用意する。
また、壁面用の作品棚と、会場中央に置く展示台も自分で用意した。
ギャラリーにも棚板や展示台はあったのだが、自分のイメージとして、無垢の板の上に乗せたいというのがあったので、自分で制作することとなった。
・展示のイメージをざっくりと決めておく
これは後から聞いた話で、どう展示するかを考えずに当日相談する人がたまにいるようだ。
ある程度、どうするのかは決めておいた方がいいだろう。
ただ、あらゆる問題が起きるのも事実で、決めた通りにならないこともあることも心の隅に留めておくべきだろう。
私の場合は、照明が作品に対して足りないということが起きた。
もともと、テカテカに照明を当てるつもりはなかったので、作品と作品の間に照明を当てることで、数の問題はクリアできた。
・作品が売れた場合の事を考えておく
作品を売る場合は、少なからず考えておいた方がいい。
平面作品の場合は梱包をどうするか、どういうサインをするか。
平面の梱包くらいであればしてくれるギャラリーもあるようだ。
私のような小さい木彫であれば、どういう入れ物に入れてどこにサインをするか。
個展期間中に全ての作品分を持っていく必要はないが、3つ分くらいは持って行ってもいいだろう。
または、自宅に用意しておいて、必要分持っていくか。
購入してもらった人には連絡先の入った名刺も渡しておくのがいいだろう。
また、これは聞いた話だが、おおよそは個展が終わってからのお渡し、というパターンだが、まれにどうしてもその日に欲しいという人もいるらしい。
特に海外からの旅行客の場合、個展最終日までに帰国する人はそういうケースがあるらしい。
そういった場合に備えて、作品は何点か多めに持っていくのがいいだろう。
・作品についての説明
これはわざわざコンセプトなどを張り出せというのではなく、自分の中できちんと説明できるようにしておくということ。
案外と来場者はいろいろな質問を投げかけてくる。
もちろん、素材についての質問や、どういうモチーフを選んでいるのかなど、簡単な質問も多い。
ただ、まれに圧迫面接のような質問が飛んでくる場合もある。
その中にはトンチンカンな質問も含まれるが、その場合は適当に濁しておけばそれでいいと思う。
なんにせよ、ただ漠然と作っただけでは、自分はもちろんのこと、見る側としても困ることは覚えておいた方がいい。
と、いうことで、実際に個展をするにあたってしてきたこと、するべきだったことをまとめてみた。
展示自体は、準備が8割だということがよくよく解った。
実際、搬入して展示してしまえば、会期中にすることは微調整程度でしかない。
次回は、会期中の話を書いていくことにする。