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■第1話 砂海を征くは鋼の龍-後編■

■SCENE.3■
救出作戦


GM さて、後編です! 君たちは、行方不明船の救難信号をキャッチし、そちらに向かう。少し風は強いが、見通しがよく、障害物も多くない。
ルオ・ウル(GM)「多少外れてはいるが帝国軍の巡回範囲内で、野盗の可能性も低い。――一体何が起こった?」
フェイリン ”飛狐”に搭乗して待機しています!
GM ――と、いう隊長の独白を聞いたかのように、観測手からの報告が上がる。
観測手(GM) 「見つかりました! 当該船です! ……かなり損傷が激しいようですね」
ハイド 「だが、まだ沈没していない。どうやら間に合ったかな」
カナタ 「どうかな……」
観測手(GM) 「無線繋がります!」
行方不明船(GM) 「……こちら……××号……から出られ……ない……」
イロハ(GM) 「こちら"鋼龍"号。貴船の周囲に敵影はありません。一体何が?」
行方不明船(GM) 「 だ、ダメだ! 近づいちゃいけない! 奴らが……!」
ハイド これは……囮か?
GM ――君達と回線が繋がったことに気づいた通信使が、慌てて警告を発した次の瞬間、大きな砂煙が上がり、巨大な”何か”が姿を現す!
行方不明船(GM) 「敵は……人じゃない! 砂蟲だ!」
一同 ファー!? 

■砂蟲……”砂海”に住む巨大生物。体長数m~数十mにも及ぶ巨大なミミズのような生物。口に入るものは何でも喰い、その移動に巻き込まれるだけで船は転覆する危険がある。

フェイリン 「自然の脅威――!」
ユン 「どうりで、レーダーで捕えられなかったわけだ……!」
カナタ 「なんだ。人でないのか」……多少気が抜けたように。
GM がっかりすんなよ、強いんだぞ!
カナタ いや、政治関係のややこしい事じゃないからカナタ的には良くてな?(笑)
GM 体長数十mにも及ぶ巨体が巻き起こす砂の波は、”鋼龍”号を木の葉のように激しく揺らす!
ハイド 「ちぃっ、砂蟲かよ! デカブツの相手はSLIDGEじゃきついぞ!」
カナタ 「見捨てて逃げ帰る選択肢はない。やるしかあるまい」
GM 隊長のセリフとられた。(笑) だが、まさにその通り。
ルオ・ウル(GM)「……ちっ、初陣がこんなことになろうとはな。仕方あるまい。あちらの船もあれ以上はもつまい、こちらに引き寄せるぞ! ……SLIDGE班、30分もたせろ! その間に脱出ルートを確保する!」
ハイド  「よし、出るぞ、お前ら! 友軍の救出だ、喜べ!」
一同 おー!!
GM ――てことで、今回の敵と状況について説明しましょかね。

フェイリン 部位モンスターだー!
GM 決着条件は、前後両方の撃破か3R経過。敗北条件は拠点Uの破壊。APが連動していて、両方倒すまでは死にません。APが0になったらその部位はMPが1/2になり、それ以上喰らったダメージはもう片方に入ります。
一同 ふむふむ。
GM 天候・地形・風向きの影響を受けませんが、代わりに風向きが合致していても、移動する時はかならずMPを消費します。前側の方がステータス的には高いですがAP自体は低く、後側はその逆ですね。
フェイリン 「後部の動きが鈍足。狙い目、しかし……あの形状だと頭部に狙われやすい」
ハイド 「あの口に噛まれたらSLIDGEでも一気に破壊されそうだな」
ユン 「それは”鋼龍”も同じです。ハイドさん、何とかして我々で注意を引きましょう」
ハイド 「ああ母船に食いつかれる事態はやばすぎる」
GM なお、今回は攻撃範囲にいる人を完全にランダムで狙います。船を殴らせたくなければ、周囲をうろちょろして攻撃を分散した方がいいかもね?
フェイリン 了解。「速攻で動きを止める!」
カナタ 「こちらも出る!」

■ROUND4■

初期配置

■4Rめ開始時のIv値
 ユン24➡砂蟲[前]15➡フェイリン・カナタ12➡ハイド7➡砂蟲[後]0

GM 戦況は♠の4。↑方向で特殊効果はなし。
ハイド 悪くない。

※戦況……本作は、2×2+拠点という簡易なマップを使用するが、代わりに毎R開始時にトランプカードを1枚引き、カードのスートに応じた風向きが吹き(風向き方向への【移動】はコストがかからない)、数字に応じた天候や地形に状況が変化する。

GM では、ファストフェイズ。砂蟲[後]からだが……↑に風が吹いてるんじゃもう進むしかないな。Dに【移動】で終わり。
ハイド こちらも攻撃に備える。特になし。
カナタ 前に追いつくにはちょっと遠い……こちらもなし。
フェイリン 私は機体特性でコスト軽減して【セッティング】……出目[4]で+1。

※【セッティング】……1D10を振り、出目に応じてイニシアチブ値を±1~3するファストアクション。

GM 砂蟲[前]……も前に出ない理由がないな。Cに【移動】。
ユン こちらに来てくれるなら手間が省ける。待機です。
GM OK。じゃあ、ファストの最後に【支援攻撃】。

※【支援攻撃】……拠点ユニットからの攻撃。ファストフェイズの終わりに「支援攻撃回数」コのD10を振り、キーナンバーが合致した敵ユニットに対し、合致した出目1つにつき5点のダメージが入る。今回のキーナンバーは、出目[0,1]が砂蟲[前]、[2,3]が砂蟲[後]。

GM 1Rめはユンが振ってちょ。
ユン 了解!

支援攻撃[6D]▶[4,10,1,3,5,4]

ユン 前2発、後1発命中!
GM 地味に痛い!

Round1 ファストフェイズ終了時点での配置


GM
 ……さて、それではユンからメインフェイズ!
ユン まずは【エイミング】を砂蟲[前]に。
 

■【エイミング】……自分よりイニシアチブ値が低い敵に狙いをつけ、R中、その敵に対する命中が+2されるアクション。

GM OK! 攻撃どうぞ!
ユン まずはブレード! 命中して14点!
GM どんどん来い!
ユン 続いてガトリングナックル+【ビートダウン】で……1回クリティカルして29点!
GM トタール43点。……なんかすぐ死にそうだな?(AP:130→87)
ユン ガードのMPを残してエンドです。
 
GM 次はこちら。砂蟲[前]。1Rめくらいはフルで殴っておこうね。噛みつきはユンに。8以下……失敗。
ユン うおおおおお! 小刻みなステップで口の前を横切る!
GM 回避が高いよぉ。体当たりはランダム選択で……船! 命中して24点+《HD[5]》!

※《HD●》……衝撃や熱などにより、搭乗者が直接受けるダメージ。拠点ユニットに対しては通常ダメージとして換算される。

ハイド 【クイックガード】【クイックカバー】で船へのダメージを肩代わり。トータル12+《HD5》
ユン 「ハイドさん!」
ハイド 「なんの、まだまだ!」 ……次からコストはEP支払いにしないとアカンがな。(笑)
 
GM ではこちら終わって、セッティングでイニシアタ値が13になったフェイリンの番だね。
フェイリン 「砂海の生物、その力試させてもらう」 ……砂蟲[後]に【エイミング】 して、ソニックランスで攻撃! 【ダブルアタック】を使って2回命中、58点!
GM 2発でそれかい!?
フェイリン さらにラムアタック!  出目[2,1]でダブルクリティカル~!
GM ぐえええええ!?
ユン フルコンボだドン!
フェイリン ダメージは43で、トータル111点です!
GM AP170から59に。……いきなり2/3削れてるんですけど?
 
フェイリン 「カナタ、追撃を」
カナタ 「了解」 こちらも【エイミング】で後ろを狙う。まずはラムアタックで……出目[2,0]。ダブルクリティカルだな?
GM なんじゃそりゃ!
カナタ ダメージは43。
GM 残り16。一応、MPが残っているから2回【ガード】できて、24点止めれるが……。
カナタ では、アンカーブレードで追撃。14点。
GM 【ガード】して残り12点。
カナタ ならばナックルでとどめだ! 共有LPを1点借りて……1クリティカルして27点。
GM 【ガード】しても15点抜けじゃん。墜ちました!
一同 やりー!
カナタ 「仕留めたぞ」フェイリンにこたえつつ。
フェイリン 「だが、まだ頭部が生きている……!」
カナタ 「あちらを仕留めねば完全には止められんか」と、向き直ったところで終わり。

ハイド じゃ、俺だな。ここは普通に【ロックオン】からのミサイルだ。

※【ロックオン】……彼我の距離と位置を予測し、着弾に時間のかかるタイプの兵装の命中を向上させるファスト/メインアクション。ハイドの装備しているミサイルは、【ロックオン】に成功していると自動追尾によって+15もの高命中となり、かつ命中判定との差分ダメージという強力な武装だ。

ハイド 【ロックオン】は普通に成功。命中は……う、ファンブル寸前。15点しかねえや。
GM ほかになんかある?
ハイド ないね!
GM (データを確認して)ほんとにこれしか兵装ないよこの人……。(AP87→72)
ハイド 攻撃は他の3人に任せて、俺は防御に回るよ。……金が入ったら短距離ミサイルは買いたいけどな。
 
GM じゃあ、最後は砂蟲[後]。残りMPが3しかないからかみつきか体当たりのどっちかしかできんが、かみつきはほぼ当たらんし、体当たりは1/3でほぼ当たらないユンにいく。切ない。
ユン 切ない……!
フェイリン ところで、この砂蟲、後ろ側にも口があるんですか?
カナタ そういえばこっち側にもかみつき攻撃があるな。
GM はっ!?  確かに、よく考えると変だな? ……まぁ、多分ヒレとか脚とかでざっくりやられる攻撃なんだろう、多分。(苦笑)
ハイド まぁ、そんな感じだろね。
GM ともあれ、攻撃はほぼあたらんかみつきはやめて、体当たりの方で。狙いはランダムで……船! ちゃんとデカいの狙ってるな。
ユン 案外賢い!
フェイリン 対抗意識でしょうか?
GM ダメージは23+《HD5》。
ハイド EP支払ってMPに変換。【カバーリング】+【ガード】しておく。
GM 残りリソースはどんだけ?
ハイド AP75、EP30、HP11。EPとHPはかなり削れちまったぜ。
GM それでもすでにこっちのAPの方が低いんだよ。(泣)

■ROUND5■

GM 5Rめ。ここで新たなイベントが開示されます。

 一同 ふむふむ……?
GM 移動コストとダメージの選択肢を迫る……だったんですが。
ユン 
だった?
カナタ ですが?
GM ……ぶっちゃけもういいよ! 負け負け!(一同笑)
ハイド しゃーないね。(笑)
フェイリン 多少、MPを削られても、このRのうちに倒しきれそうです。
GM MPあるからユンの攻撃はギリ耐えるかもだけど、フェイリンの攻撃は耐えられんからそこで倒しきったってことでいいよ! ――君たちの攻撃で致命傷を負った砂蟲は完全に動きを止め、やがて砂に沈んでいく。
フェイリン 「動かない相手はやりやすい」
ユン 「う、うまく囮になれたみたいですね……。はは……」
ハイド 「動きが鈍めで助かったな」
カナタ 「ふぅ……」シートにもたれかかる。
ルオ・ウル(GM)「……これは、予想外だな」
GM 君たちの見事な戦いに、さしものルオ・ウルも目を丸くしてますね。
ルオ・ウル(GM)「老師、君の集めたものたちは思った以上にやるな。正直、期待以上だ」
ラオフー(GM) 「恐れ入ります。……ですが、まだ救出任務が残っておりますよ」
ルオ・ウル(GM)「……わかっている。総員、輸送船の損壊状況を調べ、必要な救助活動をとれ!」
GM てな感じで、”鋼龍”小隊は引き続き救助活動に従事することになるのでした~。
一同 ふぇ~い。


■Epilogue■
凱旋

GM 輸送船の被害状況ですが、砂蟲に体当たりされて結構なダメージを喰らってはいたものの、浅瀬に退避したことでなんとか沈没は免れていたようですね。
ハイド 良かった良かった。
GM ……とはいえ辛うじて沈んでない、て状態だけどね。ま、そこから先は無難に救助活動が進みまして、船を曳航しつつ、君たちは、輸送船が到着する予定だったユバ市に凱旋するのでした。
ユン 任務完了!
カナタ やれやれ、だな。
GM んで、ひと段落ついたところで隊長から労いの言葉がかけられます。
一同 おお~。
ルオ・ウル(GM) 「隊員諸君。想定外の事態もあったが、よく対応してくれた。どうやら私は、君達の力を見くびっていたようだ。諸君の働きは賞賛に値する。各員に交代で3日間の休暇と、特別報酬を約束しよう。
 私は約束を違えない。諸君がこれからも精勤に励むならば、これ以上の待遇を期待してくれて構わん!」……と、割と手放しで褒めてくれます。
ハイド 「おお!さすが隊長!」 休暇にボーナスとはうれしいねえ。
ユン 「はっ、ありがたきお言葉!」 敬礼しつつ”鋒暴"の活躍を認められたことに頬が緩んでいます。
カナタ 「まずまずの結果を出せたようだな」
フェイリン 輸送船を救助できたのはポイントが高かったんでしょうか?
GM それはもちろん。”鋼龍”小隊の被害も最小限で済んだしね。……それも踏まえて、リザルトは少し色をつけてあげましょう。
一同 わーい! 

■Mission1のリザルト
XP:4
SP:2
チーム予算:+20,000(合計35,000)cdt
個別予算:+4,000

フェイリン これは維持費は計算済です?
GM 計算済で+20000。テスト回からの積み立て15000cdtを加えて総計は35000だよ。
ハイド 6000か、ミサイルを買うにはちょっと遠いなぁ。
ユン 僕も今回は貯金かなー。
GM いやいや、まだわからんよ。ここから【幕間イベント】でなんか良いことが起こるかもしんない。

※幕間イベント……本作では、シナリオの合間に各PC、1D100によってランダムに発生する【幕間イベント】に準じ、PC同士やクルーとの交流シーンを演出することができる。【幕間イベント】を行うと、経験値や予算、クルーの雇用など、良いことが起こるぞ!

GM ……じゃ、各自1D100を振って、どんな【幕間イベント】を起こったのか決めましょうね。
一同 はーい!

■ユンの幕間イベント■
[割引]……兵装を割安で導入できる。基本兵装1つを半額で購入可。

ユン 惜しい! サブブースター(15000)が買えない!
GM チーム予算から融通してもらう手もある。
フェイリン チーム予算の使い方次第ですね。
ハイド ストックしてもいいけど、割り振りもあり得る。
GM ま、そこらへんはみんなのインターミッションが終わってから考えましょね。……さて、シーンとしては、やっぱイグチ社の技士さんに労われる感じかな。
イグチ社の技士(GM) 「ユン、やったな! 初陣で"鋒暴"の有用性を証明してくれて、俺たちも鼻が高いぜ!」
ユン 「やはり当初のコンセプトは間違っていなかったことが証明されましたね」
イグチ社の技士(GM) 「帝国軍のメインの運用方針に合ってなかったってだけだからな。性能なら負けてないさ。……おかげで予算も少し降りたし、ブースター強化プランを実装してみるか?」
ユン 「前線での運動性能を高める強化プラン、僕も賛成です」
イグチ社員(GM) 「よし、もう少し予算が降りないかかけあってみる。……ほんと、よくやってくれたぜ。これで"鋒暴"に関わった社の連中も浮かばれる……」
カナタ ……イグチ社の人もやっぱコンペ負けてからいろいろ思うとこあったんだろうな。
イグチ社員(GM) 「おっと、こんなもんで満足しちゃいられねえな! おれたちの"鋒暴"はまだまだ伸びる余地があるんだ! ユン、これからも頼むぜ!」
ユン 「はい!」  PLよりもノリノリで設定広げてくれるGM。(笑)

■フェイリンの幕間イベント■
[慰労]……PC/クルー1名が、労ってくれる。 最大HP+4。

GM フェイリンはやっぱりラオフー?
フェイリン 師父以外と絡みたい感もあるのですが。ルオさんとかイロハさんとか。
GM ふむ……。イロハはちょっと予定があるんだよな。小隊長はまだ一兵卒と直でやり取りする感じではないし……。……うーん、すまない。今回はラオフーで行かせてくれん?
フェイリン 了解です。
ラオフー(GM) 「初陣にしては上出来だったぞ、フェイリン。日頃の功夫が実を結んだな」
GM 普段なかなか褒めてくれないラオフー師父ですが、今日ばかりは特別なようです。
フェイリン 「そうでしょうか……? まだまだ足りないと感じます」少し不満そうな顔を見せます。
ラオフー(GM) 「ふっ……。ここで増長するようなら窘めるつもりだったが、どうやらその心配もなさそうだな。無論、功夫に終わりなどない。戦場では一瞬の油断があっけなく命を奪っていく。……それでも、初めての命のやり取りを無傷で生き残ったことは大きな成果だ」
フェイリン 「命を糧とし、さらなる高みへと至るよう精進します」
ラオフー(GM) うむうむ。ラオーフは満足げに頷くのでした。

■ハイドの幕間イベント■
[評価]……PC/クルー1名が、仕事の出来を評価してくれる。 XP+1。

GM さて、ハイドのターン。ここでイロハさんを出しておきましょう。
ハイド  おや?
イロハ(GM) 「お疲れ様です、ユエ衛長。前線での指揮、お見事でした。……さすが、先の防衛戦に参加した古強者、ですね」
ハイド 「いやいや。軍にしかいるところがなかっただけで」
イロハ(GM) 「その軍の中にも、もう連邦との大規模戦闘を肌で知っている者は少なくなっています。ラオフー副長が強く推挙したのも納得です」
ハイド 「なんと!」 老師に目を付けられてたのか……。
イロハ(GM) 「……実は、編成については少し迷いもあって。前衛タイプの機体が多いでしょう?」
ハイド 「少しばかり偏ってますな。正直、支援機がもう1機くらいあってもよいかと思いますが」
イロハ(GM) 「帝国軍は火砲の開発では連邦軍に一歩遅れているので……まあ、ともあれ」
ハイド 「なんでしょうか?」
イロハ(GM) 「前衛の3人はまだ若いですし、実戦経験があるのは貴官だけでしょう? できるだけフォローしてくれると助かります」
ハイド  「はっ、無論です」
GM ……ではここで、イロハはちょっと言いにくそうにするのですが、意を決したように口を開きます。
イロハ(GM) 「……その、姓で気づいているとは思うんだけど。カザラシ衛士は私の弟なんです」
ハイド  「あ~……。まあ、血縁かとは思っておりました」
イロハ(GM) 「……あまり人付き合いが上手なタイプでもないから、それとなく気を配ってくれると、個人的にありがたいのです」
ハイド 「なるほど。下の者といざこざにならない程度なら。貴族の方々のことはわかりませんが。まあ平民同士うまく抑えるようにします」
GM それを聞くと、イロハさんは少しほっとした顔をしつつ。
イロハ(GM) 「……カナタには、私が口添えした、とは言わないでくださいね」
ハイド 「勿論であります」
イロハ(GM) 「コホン、それではユエ衛長。あらためて、今後の働きに期待します」
GM と、最後だけちょっと上官っぽく〆てシーン終了です。
ハイド 頼まれちまった。
カナタ 心配されていた……。

■カナタの幕間イベント■
[発明]……クルー1名が、兵装を開発した。 基本兵装1つを半額で購入可。

GM おや、ユンと同じ?
フェイリン 発明なので別ですね。ボーナスは同じですけど。
ユン 僕は割引、カナタさんは発明です。……逆の方がそれっぽい気もしますが。(笑)
カナタ ……とすると、俺もイグチ社の人と絡むか?  実は昔の知り合いだったとか。
GM イグチ社員の人、出ずっぱりだな。(笑) しかし、多分、イグチ社の人は"鋒暴"の専属チームみたいなもんだし、君の機体を整備しているのは別の人たちだぜ。
フェイリン 1機体1整備チームなんですか?
GM 20人くらいの整備班に、イグチ社の人がオブザーバーとして参加している感じかな。"鋒暴"は一応、実証実験中の最新鋭機だからね。
カナタ なるほど……では、整備班との交流してみましょうか。
GM おけ。……これまで、身分の差やらなんやらで少し溝があった君と整備班だが、緒戦の活躍によって少し距離が縮まったようだね。「ただのボンボンかと思ったけど、案外やるじゃねーか!」と、平民らしい距離の詰め方をしてきます。
カナタ 「『落ちたカザラシに拾われた野良犬がよくも吠える』 どこからも、そう言われてきたものだが。だったらそれより大きく声を上げるしかない――それが今だった、ということか」
GM 独り言ちてる感じかい?
カナタ ですね。……で、整備兵たちには「託された機体だが、気になったところがある。手を貸してもらえるか」と、淡々とですがこちらからも歩み寄る――と言う感じで。
GM いいんじゃないでしょうか! 

GM さて、リザルトの続きですが、総予算がそれなりにある(35000)なので、余剰分を振り分けすることができます。……ただし、総予算を全部振り分けることはできません。次回の維持費もあるし、個別報酬の意味がなくなってしまうので。
ハイド それはそうだな。
ユン クルー半額のチャンス分は残しておきたいですね。
フェイリン 何か目安はあります?
GM そうだな……このキャンペーンでは、「リザルト終了時点での総予算の半分は、チーム用に使うか、ストックしなければいけない」ということにしましょうか。今回なら、17500まで。
カナタ PC間で金銭の貸し借りってできましたっけ?
GM それはルルブで「個別報酬は現金ではなく、それに相応する経費や労働力を含んでいるため、貸し借りや予算への還元は不可」と明記しているからダメなんだ。
カナタ なるほど。

 相談の結果、12000を分配(各自+3000)し、チーム予算23000を貯蓄することに。

ユン よし、これでサブブースターを購入だ!
カナタ こちらも。半額効果は高い装備を買うのが最適解。 
GM さて、では最後に、軽く事後処理についてのストーリーを語って〆るとしましょう。
一同 は~い!

■Epilogue2■
不穏の種

GM 救出任務終了後、一週間程、"鋼龍"小隊はユバ市に逗留する。小隊長の約束通り、隊員は交代で休暇をもらい、各々羽を伸ばしたり羽目を外したりしているのだが――ハイドとカナタは隊長室に呼ばれる。
ハイド ふむ?
GM そこでは、眉に皺を寄せた隊長と、老虎、イロハが待っています。
ルオ・ウル(GM) 「きたか。ユエ衛長、カザラシ衛士」
ハイド 「はっ」
カナタ  ああ……と、言おうとして、適切でないと呑み込む。
ルオ・ウル(GM) 「前衛隊の先任たる貴様には説明しておいた方が良いと思ってな」
ハイド 厄介ごとが起こった気配がするなあ。
GM ちなみに、カナタについてはルオ家の直参だからいるのが当然って感じだね。
カナタ なるほど。
GM さて、ルオ・ウルは机の上に置かれた麻袋のようなものに視線を向けます。
ルオ・ウル(GM) 「……ユエ衛長、そこにあるのが何かわかるか」
ハイド 「これですか?」中を確認します。
ルオ・ウル(GM) 「……例の輸送船に積まれていた荷物だ。ただし、食料品という名目でな」
GM なんか妙なにおいのする土みたいのが入ってますね。
ハイド 「ん? 土のようですが妙なにおいがしますな。食料品? おかしいですな?」
フェイリン 砂ミミズをおびき寄せる匂い!?
GM はい、御名答。
一同 げえええええ!
ルオ・ウル(GM) 「そいつは、砂蟲の体液が染みた土だ。……砂蟲はそのにおいに呼び寄せられる性質がある」
ハイド 「……となると事故ではなく。謀略の気配がしますな」
ルオ・ウル(GM) 「いや、事故ではあるのだ。輸送中に偶然、積み荷が崩れて土が漏れてしまったそうだ」
カナタ 「それで、砂蟲に襲われた、と」
ルオ・ウル(GM) 「そうだ。……だが、問題は誰が何故、こんなものを、内容を偽って移送しようとしていたか、だ」
カナタ 「それこそが謀略、ということか」
ルオ・ウル(GM) 「その通り。そして、それができたのは軍内部の人間しかありえない」
ハイド 「まあ出入り業者がしてもチェックされるでしょう」
ルオ・ウル(GM) 「どの段階で置き換えられたのかも現時点では不明だ。しかし……」
ハイド&カナタ 「……………?」
ルオ・ウル(GM) 「実を言えばな、私の目的は始めからこれなのだ」
ハイド 「!?」
カナタ 「……あぶり出し、か?」
ルオ・ウル(GM) 「砂蟲の件は想定外だが、ビジョウ軍内部に不穏分子がいる。それは最初からわかっていた。故に――それを探り出し、潰す。それが私の目的だ」
ハイド あちゃー完全に巻き込まれたな、こりゃ。
ルオ・ウル(GM) 「貴君らの腕は見せてもらった。どの道、前衛たる君達には協力してもらわねば、今後の捜査は覚束ないからな。……秘密を共有した以上、ここから先は地獄までつきあってもらうぞ」
ハイド 「了解しました!」 断る余地がねえよ……。
カナタ 「問題ない」
GM 君たちの返事に、ルオ・ウルはニタリと陰湿な笑みを浮かべるのでした――ってとこで、第1話は終了です。お疲れさまでした!
一同 はーい!

To be continued......


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