最終話 Deep Dungeon Daybrake!!-5
◆◆◆Ex-Round4◆◆◆
GM ……ってなわけで、残りボスの体力150点。ただし、このR中に倒しきらないと欠片との融合が完成してゲームオーバー! そんな状態から再開です!
一同 よろしくお願いしまーす!
GM とにかくまずはイニシアチブだ!
イニシアチブの結果は月華[12]→景文[10]→本体[10]→瀬那[3]。
GM ああぁ、ここにきて低い……っ!
瀬那 ファスト、私は特にないです!
GM むぅ、でこちらの番か。【ヘイスト】が使えるが……絶妙なラインで【速攻】【闇の顎】+【サイ・バースト】が使えない!
このコンボ、必要SPは23なのだが、残りSPは19という。
GM 単体に【速攻】したところで瀬那にかばわれて終わりだしなぁ……。
瀬那 悩んでる悩んでる!
GM ……仕方ない。どっちにしろ月華と景文の攻撃を耐えられなかったら終わりだ。ここは生き残る可能性にかけてSPを【応急処置】! ……41点回復。
月華 残り150なら、削り切れる……! 「行くよ、景文!」
景文 「了解」……ここで、亮子のサポートをきって、大先生の【変幻自在】を再利用します。
亮平(GM) 『景文……頼むぞ、ここで決めてくれ!』インカム越しに、亮平からのエール。
景文 「――先生。降魔の呪言の続きを使います」
亮司(GM) 『なに!? だ、だめだ景文! あれは――帰って来れなくなるぞ!?』
GM ……って、ノリ演出しちゃったけど、その設定、初めて聞いたぞ!?(一同笑)
景文 実は、これまでの【完全憑依】は完全ではなく――呪言を最後まで唱えることで、すべての力を解放できるんです……っ!
GM&月華&瀬那 そ、そうだったのか!?
月華 ちなみに、データ的には?
景文 特にいつもと変わらない。(笑)
GM 思わずルールにないデータをあげたくなるが、あげないでおく。(笑)
景文 《わたしはいま 引き金に手をかける。
緋は日に。月は憑きに。此処に己が影を鎖として牢の王国を築かん。
――しかして。
此処に願いの黄金は非ず。災いはかくして人意の影に潜む。
かくして王はその身を捧げ矛盾を問う。
我は棄てられた願望の化身。
――我は矛盾の王。今ここに世界は反転する――!》
瀬那 わー!?
GM うわー、PCを乗っ取って悪魔のRPをしたくなる奴だな、それ。(笑)
月華 けらけら!
GM すげえやりたい気持ちだけど、ここはしない方向でいこう。……長らく封じられていた景文の中の悪魔。それが表に出れば、景文はすさまじい力を得ると同時に景の悪魔に意識を奪われる――そう、亮司は懸念していた。だから、呪言のすべてを唱えることを禁じていたのだ。
景文 ……………。
GM ――しかし、今こうして力を解放した景文は、景文だった。意識を悪魔に奪われることはなく、明確に景文である。
月華 格好いいぞ主人公!
亮子(GM) 「景くん……なの?」おそるおそる尋ねる亮子。
景文 《対象が見えている事。—―接眼。己の影が対象に接している事。—―接地。己の血が影に触れている事—―接続。三つの条件を満たし、呪を紡ぐ言葉をもって我が意を為す。影よ。あれ》
亮司(GM) 『そんな……アレを使えば、確実に景文の意識は消え失せ、悪魔――ニーベルング族に体を奪われるはずだ! なぜ!?」驚きまくる亮司。
亮子(GM) 『……そんなのはどうだっていいでしょ! 景くん、やれるのね? だったら――決めて!!」
景文 戦場に落ちていた鞘を拾い上げて納刀する。「――社長代理の命令だ。行ってきます」……長々とすみません。
瀬那 いいのよ。最終回だもん。
月華 そうそう。……こっちはファストは特にすることないよ。
GM 【後退】はいいのかい?
月華 その余裕ももうないんだ。(苦笑)
GM ほいさ、ではメイン。月華から。
月華 「景文がちょっと無茶してるようだからね。無理にはならないように、祓うとしよう」 まずメイン。【鬼神力】だけ乗せた忍者刀で攻撃。
GM かまん!
月華 ……命中は32。
GM ……回らず、21でぎりぎり中失敗。
月華 ダメージは46。
GM 31抜けで残り119。
月華 では【鬼神力】のみで【速攻】。……命中、37。
GM 安定して高いなぁ。……27で中失敗。
月華 ダメージは42。
GM 27抜けで、残り92。
月華 ……最後のサポート、使わせてもらうね。「おいで、虎!」
虎儿(GM) 「ようやくオイラの出番だな! 任せろ、がるるるるぅ!」
瀬那 姉弟攻撃、きたわね!
月華 変化した虎の背に乗って、最後の攻撃を仕掛ける!
GM 以心伝心、月華の意図を正確に読み取り、【瞬間移動】で本体の死角にジャンプ! 飛び掛かると同時に、背の月華に最適な攻撃機会を与える!
虎儿(GM) 「かましてやるぜええええ!」
月華 ……意気込んだはいいけど、ダイス目は微妙。RP1と、AP6も上乗せして……なんとか34。
GM 反応……惜しい、27と言って普通失敗。
月華 ほっ。通ればok! ……さぁ、こっちできてよぉ!
◆月華の威力判定(9U6[6]+9) → 3,3,22[6,6,6,4],4,2,14[6,6,2],4,4,7[6,1]+9 → 72
瀬那 わー!?
GM 57抜けで、残り35。……これは、終わったか。
月華 虎の一撃から、敵の四肢を切り裂き、景文への流れを作る。……全部これくらい回れば普通に倒せたんだけどな。(苦笑)
虎儿(GM) 「がるるがるぅ! どーだぁ! オイラ達の実力ぅ!」
月華 「上出来だ。……さ、後はあんたの仕事だ。決めてよ、景文」
景文 「ああ、解ってる……!」
GM その次の瞬間、景文は既に走り込んでいた……っ! ってことで、景文のばんだ!
景文 【戦の記憶/アウターハウル/ハンマーナックル】+刀。 これでAP+3されるからAP23になって罰則4……。
GM RPで使えば20に抑えれるから、使っとけば?
景文 じゃあお願いします。
亮子(GM) 「力に呑まれちゃダメ! コントロールするのよ!」
景文 「了解……っ!」
◆景文の〈武器〉判定(5U6[6]+18) → 5,5,11[6,5],2,1+18 → 42
瀬那 回ってる!
月華 悪くない!
GM ……OKなら、判定するぞ……!
◆本体の〈反応〉判定(3U6[6]+16) → 2,4,16[6,6,4]+16 → 38
一同 あぶね~~~~~っ!?
GM ちぃっ……! 防御成功してればワンチャン生き残れたんだが……!
景文 《影を悪魔として顕現化して痛みを遠ざける力をカット。知らない事を知っている事にする影を介した調査能力をカット。誰かの心に干渉し精神的障壁を突破する力をカット。そのほか未確定な力をカット。――居合抜刀、影打・暗転行路――》これで、決める……!
◆景文の威力判定(13U6[6]+19) → 3,4,4,2,10[6,4],4,1,1,2,11[6,5],1,4,4+19 → 70
景文 《幕間にて影は走り物語は続く――》 出来るかもしれない事ではなく。自分に出来るたった一つ事を一度の斬撃に込め……未来に届かせるっ!
GM GPで15点軽減し、55点抜け。残りHP35なので、-20……。戦闘終了だ!
一同 やったーーーーーっ!!
◆◆◆景文の選択◆◆◆
GM ……力を解放した景文の刀が……月華たちに押しやられるようにして飛び込んできた本体を引き裂く……。
本体(GM) 『ぐぞおおおお! なぜだ! なぜお前だけなんでも持ってる!? なぜ俺達には何もない!? なぜ……!?』
GM 霧消していく中で、彼は……彼らは、景文への怨嗟を連ねる。
本体(GM) 『宝を、肉体を、自由を、魂を、すべてを奪われた……!』
月華 「……哀れな奴ら。でも、相容れないよ」
瀬那 「……そうね」
本体(GM) 『奪い返して何が悪い……! 憎しみしかなくて何故悪い……! 俺達と同じなのに……! 俺達の同胞なのに……! なんでお前は全部持ってるんだよぉおおおおおお!?』
一同 「……………」
GM ……どんな事情があろうと。彼らがやったこと、やろうとしていたことの免罪符にはならない。怨念と妄執しかない彼らはこの世にいては――。
景文 「……だったら」
GM んぁ?
景文 「僕とともに来い!」
月華&瀬那 えっ。
GM えっ。
賢明なる読者諸君はお察しのことだろう。
GMは完全に話をまとめる気でいた。
"ニーベルング族"の完全なる消失という形で。
哀れではあっても、怨念の塊でしかない彼らは、この世界、この社会と相容れない存在なのだ。世界中に散らばる彼らの残滓と、景文の戦いはまだまだ始まったばかり――。
――そういう結末を、GMは用意していた。
故に。
上記の「えっ。」はガチの「えっ。」である。
GM ままままま、待ってくれ! 受け入れるのか? 彼らを!? 復讐と称して君達の大事な亮子を攫った彼らを!?
景文 (こくり)
GM&本体(GM) 『なん……だと……!?』
景文 「……僕も昔は、君達と同じだったんだ」
一同 「……………」
景文 「僕と君達の違いは……手を差し伸べる人がいたかどうか、ただそれだけだ」
一同 「……………」
景文 「だから僕は今。同胞に手を差し伸べる」
GM 【憑依体】達は……。しばし、戸惑っていたが……。やがて、導かれるように、我先にと景文の中に入ってくる。
景文の中に、たくさんの憎悪が、怨念が、悔恨が、嫉妬が入り込み、それらは景文の心を蝕んでいく。しかし――。
亮子(GM) 「――景くん! 景くん!!」
月華 ならばこっちも呼び掛ける! 「――景文!」
瀬那 「……景文君!」
GM 押しつぶされそうになる景文を、亮子が。月華が。瀬那が。合津が。千夏が。杜田が。真機奈が。若松が。血華が。虎儿が。宇佐美が。亮司が。亮平が、その名を叫ぶ。「「「「「景文!!」」」」」
景文 ……昔のことを思い出します。「なんであんたはじぶんをつれだしたんだ。なんで? ほおっておけばいいのに。じぶんはあいつらとはちがう」そう言うかつての景文に、亮司は言います。「救いを求める誰かがいて、その手を伸ばせば助かるのなら……やってしまうものなのさ。人ってのは」
瀬那 亮司さん……!
景文 こうも言っていた。「待っている人がいるから。こういった格好もつけられるんだよ」と。……そうか。なら。自分もそれに従って。格好をつけるしかない。そうでしょう? 先生――。
GM ……一つ、聞いてもいいかな?
景文 はい。
GM 君の心に――不安げな声が響く。
???(GM) 『おれたちも……なれるか? おまえみたいに……』
景文 「もう僕は君たちだし……君たちは、僕だ」
GM その答えに満足したように、安心したように、景文の中にあった闇は景文自身の中に溶け込んでいき、やがて一つになる。
……そして、景文はゆっくりと目を覚ます。その目に、心配そうに見つめる亮子の、仲間達の顔が映る。
景文 「……お仕事終わり、ました」 皆に見られて照れ臭そうに。顔をそむける。
GM その言葉に、みなの顔にぱっと笑顔が広がる。亮子が真っ先に抱き着き、ついで月華が瀬那が虎儿が……みんなにもみくちゃにされる景文。
月華 わちゃわちゃ!
瀬那 「おかえり、景文!」
GM その後のことを、今、ここで細かく語るのは野暮というものだろう。……だから、これにて、本当の本当に! 任務完了だ!
一同 っしゃーーーーーっ!!!!
◆◆◆Epilogue◆◆◆
GM ……さて。数日後。NGSの母屋の縁側で、亮平と亮司が将棋を指しつつこんな話をしている。
亮司(GM) 「父さん、あの時のことだけど」
亮平(GM) 「なんだ?」
亮司(GM) 「……なぜ、景文は悪魔に取りこまれなかったんだろう? ……正直に言えば、僕は完全に解放されたアレを人間に制御するのは不可能だと考えていた」
亮平(GM) 「さぁな。真相は解らん。だが……」
亮司(GM) 「だが?」
亮平(GM) 「案外、景文は最初からああだったのかも知れん。……我々は『悪魔』の意識が景文とは別に存在するものと決めつけていたが、実際は、それは景文の精神と分離できるようなものではなく、既に景文という一つの人格だったのではないか?」
亮司(GM) 「……………」
亮平(GM) 「我々は、知らずに『悪魔』を『人』として育てていたのかも知れんな」
亮司(GM) 「……いずれにせよ。土壇場で景文を信じてやれなかった」
亮平(GM) 「人は過ちを犯すものだ。……自分でそう言ってただろう?」
亮司(GM) 「……そうだったね」
亮平(GM) 「……で? またすぐ発つのか?」
亮司(GM) 「慌てて帰ってきたんで、現地でやりかけの調査がいっぱい残ってるんですよ」
亮平(GM) 「まったく。落ち着きのない奴だ。亮子が泣くぞ?」
亮司(GM) 「……大丈夫。亮子には――僕なんかよりもずっと頼れる仲間がいるでしょう? それに、お互い仕事を続けていれば、またすぐ道は交わりますよ――」
GM さて、ここからはみんなのエンディングだ。今回は瀬那→月華→景文の順で……そうだな、半年先位の描写をしてもらおうかな。こうするつもり、位のふわっとした内容でもいいよ。
瀬那 はーい。
GM 季節は春、新学期というところ。瀬那は3年生だったから、順当にいけば大学生になるわけだが。
瀬那 はい。進路は色々考えたんですが、海外に留学することにしました。
景文 おお……!
瀬那 今回の件もあって、もっと本格的に遺物の扱いや知識を学んでこようと思いまして。「そういうわけで、しばらくは会えなくなるわ。……でも、たまにはお土産持って帰ってくるから」
月華 「あの時(2話)みたいな、迷惑なお土産はごめんだよ?」
瀬那 「あ、あらら? 信用ないわね……?」
千夏(GM) 「ふぇーん! 瀬那せんぱいー! GWには絶対あいにいきますからー!」(←金持ち)
GM では、次は月華。
月華 私は……特に変わらない。師父について、修行と修養の毎日。それからもちろん、姉さんが持ってきた仕事も。ただ……。
GM ただ?
月華 今までになかった新しい習慣がそこに追加されたよ。……いわゆる、普通の学校に通うためのお勉強。
瀬那 おおー!?
月華 今までよりも外に出してもよいと判断されたのなら、学校に通うのがよいかなって。基本的なスペックはいいのですが、お受験用の勉強は全くしていないので毎日時間を決めて、少しずつ学んでいっています。
GM えらーい。
月華 受験までに間に合えば、来年からとなるんでしょうかね。
景文 亮子さんと僕が3年生で、1年生ってことになるかな。
月華 勉強で疲れるのか、ちょっと甘いものを食べる量が増えた……そんな感じかな。
GM まあ、戦闘データは大分上限までいったしね。次はそれ以外を伸ばすターンだね。
GM では、最後は景文。
景文 ……これはまだ、ぼんやりと考えているんですが。自分の影に棲まわせた彼らのほかに。自分のように他に拾いこぼされた同胞がまだまだいるだろうから、いずれは先生にひっついて遺跡探索の派遣業を学びたいな、と。
GM おやおや。亮子のことはほったらかしですかぁ?
瀬那 おやおや~?
月華 実際、瀬那が留学するとなるとNGSはメンバー25%減だからねぇ。今すぐ抜けられるのは辛いね。
景文 まぁ、卒業後いずれは、と。……それまではいつも通りの日常という感じです。
GM 亮子は、いずれは旅立つであろう景文を応援しつつ、「でもそのときまではしっかり働いてもらうからね!」と念を押すよ。
景文 亮子には「もちろん」と頷いて返しておく。……いつか旅立つ、その時まで――。
――それから何年か後。NGSのオフィス。一人の女性が手紙を読んでいる。表に「任務報告書」と書かれた生真面目そうな文字、生真面目な内容だが、その文末に短く私信が添えられている。
《僕が僕になっているといったのは。君がいてくれたから。
だからあの時言えなかった言葉を。
僕は君の夢を護る。
それが真宵坂景文のなりたいものだから。
まずは一報。神守町の君へ――》