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祖父母のように働きながら暮らす

20年前。地元は京都の田舎で、大学進学のため当然のように町を出た。卒業後も、文章を書いて食べていく仕事は地元にはないと、帰っていない。以来、地元から車で2時間離れた場所で暮らしている。

そして40歳を目前にして、ふと思うのだ。これから行こうとしている理想の暮らしは祖父母のそれだな、と。ぬか床やお味噌などの発酵食品、ジャムなどの保存食、羊を飼うこと、複数の仕事をすること、興味を持つものは全て祖父母が昔やっていたことだ。

サラリーマンでなく、田畑の世話をしながら祖母は和裁に地域の婦人会、祖父は山仕事にしめ縄づくり、ゲートボールの審判など、様々な仕事を様々な相手としていた。近所の人と作った野菜をシェアし、婦人会で地元の特産品を調理して売ったお金を地域の活動費にまわしたりして、いま思うと雑妙なコミュニティのバランス、家計のバランス。

就職活動をした頃、自分の仕事について初めて考えた頃にはなかった選択肢が、いま目の前に広がっている気がする。人生の優先順位が変わってきたせいもあるだろうけれど、いままた初めて就職活動をするような気持ちでいる。何に携わっていられたらしあわせか、誰とどんなふうに働けたらしあわせか。

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