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京都スナップ紀行 2日め(2025/1/25)
1日めの記事はこちら
叡電にゆられて詩仙堂へ
2日目はまず朝イチで、詩仙堂丈山寺へ向かいます。
これもTwitterのフォロワーさんからおすすめいただき、人気のスポットだけど朝なら人が少なかったと聞いて旅程に組み込みました。
出町柳から叡山電車へ乗り換え。
なんとなく観光列車っぽいイメージを抱いていたのですが、路面電車のようにこぢんまりとして、暮らしに根付いた風情があってよかった。
旅行先はこういうローカル線とか路面電車とか乗りたくなるよね。
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駅から坂道を15分ほど歩いて、門前に到着。
朝イチには少し遅れましたが、観光客の姿もなく至って静か。いい感じです。入場料を払って、まずは順路通りに屋内を見学。
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緋毛氈の座敷から臨むのは、毛氈に負けないくらい整然と整えられた白砂の庭。情報量を少なく抑え、かといって無機質てもない白をぼうっと眺めていると、自然と心が静かに落ち着いていきます。精神的デトックスの感。
目を閉じたらそのまま眠りに落ちてしまいそう……。
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……と、いけないいけない。
忘我の境地から意識を戻し、玄関へ戻って靴を取って裏口を出て、白砂の庭の外周に展開された庭園へ向かいます。
こちらのお庭は打って変わって情報量が多い。
山の斜面に沿って広がっているから地形が起伏に富んでいて見飽きません。段を登り降りするたび視点が変わるし、いろんな草花が植わっているので、季節が巡るごとに表情が変わって詩想も湧いてきそうです。
時おり木々のざわめきと鹿威しの音が聴こえるのがとても心地よく、贅沢な時間を味わわせていただきました。
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もうしばらくお庭を堪能したかったのですが、残念ながら次の予定が迫っているため、後ろ髪引かれつつ退出です。
修学院離宮で京都を見わたす
詩仙堂を出て住宅街の中をひたすら歩くこと20分。
見学予定時間ギリギリに修学院離宮へ到着!
修学院離宮は、後水尾上皇によって江戸時代初期に造営された離宮です。
こちらの上離宮を描いた 東山魁夷「緑潤う」を昨年山種美術館で見て、しっとりと涼やかな画面にとても心惹かれたので、あの景色をぜひ見てみたい! と思っていました。
修学院離宮は、行幸時の宿泊所となった寿月観のある下離宮、後水尾上皇の皇女光子内親王や女御の東福門院が住まった屋敷を移築した中離宮、川をせき止めて造った巨大な浴龍池とそれを囲む庭園、それを見下ろす庵・隣雲亭を備えた上離宮の三所から成り、それぞれがトの字状の松並木道で繋がっています。
今回申し込んだ見学ツアーでは、係員さんの案内を聞きながら80分間かけて下・中・上と巡って行きます。無料なのに手厚い。
メンバーは20人くらいいたのかな、他言語対応の音声ガイドを持っている外国人の方もちらほらいらっしゃいました。
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中離宮の建物は女性の住まいだったからか、室内装飾が比較的華やか。
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ちゃんと破れ目も描かれていて芸コマ!
少々息を切らしながら、棚田を突っ切る松並木を通って上離宮へ。上皇はここを輿で上がっていたんだよな……と思うと、担ぎ手の苦労が偲ばれます。狭いし急だし大変だよこれ。
ようやく最上段の隣雲亭にたどり着き、振り返るとこの景色。
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これだ! 「緑潤う」と同じアングル!
薄い木の杭で縁取られた池が整然として美しい。
でも植えられた松は形も大きさも配置間隔も適度にランダム性があって、人工的になりすぎないバランスになっている。眺めてるだけで心が静かになっていくような景色に、めちゃくちゃ感動してしまった。
隣雲亭の縁側もセンスが光っていました。
漆喰の白い床に、一つ・二つ・三つと組み合わせた石を配置した一二三石。赤青白の配色も相まってとてもモダンだ~! この柄のハンカチとかあったら欲しいな。
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隣雲亭は標高150mほどの場所にあり、京都市内を一望できます。この日はよく晴れたおかげで大阪まで見通せました。
敷地内の各御茶屋と松並木以外は広い棚田も展開されていて、献上するお米を作っていたようです。近景では領民たちが働き、遠景には京の街が広がる。治めていた世界を一望できるようデザインしたのかもしれないな。
隣雲亭を離れ、係員さんに連れられて池をぐるりと巡っていきます。
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この日も若い職人さん方が丁寧に剪定されていました
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80分の見学コースを予定通り終え、解散。
大満足で門を出ると、いい具合にお腹が空いてきました。お昼にはまだちょっと早いけど、朝から歩き通しだったからね、仕方ない!
門前の通りに「お食事処」の幟を見つけて迷わず飛び込みます。
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鶏南蛮や衣笠丼も心惹かれたけれど、京都らしくにしんそばをチョイス。
でっかい身欠きにしんを奥歯で噛み締め、もちゃっと柔らかめのお蕎麦をずるり。あったかくて甘いおつゆにホッとします。生き返る……。
だし巻きは想像していた倍はデカくてびっくり!
絹豆腐のような滑らかさで、ちょっとお行儀悪いけどおつゆにくぐらせて少し温めて、がぶりと齧るとつるりと喉を通る。うん美味しい。
すっかり満腹、大満足でお店をあとにしました。
今宮神社とあぶり餅
腹ごなしに修学院駅の周辺までぶらぶら歩き、そこから20分ほどバスに揺られて今宮神社へ。この旅で初めて乗るバスは観光客らしい人もおらず空いていて、普通に座れて拍子抜け。これがオフシーズンか……!
今宮神社といえば、名物あぶり餅。以前「新日本風土記」で見て、京都に行くなら絶対食べてみたい! と思っていたんですね。でもまずは参拝から。
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次に参拝するときまで栞として取っておくようにとのこと
参拝を終えて、いよいよあぶり餅。
あぶり餅やさんは門前に2店舗ありますが、今回は 本家・根元かざりやさんに並びました。すでに何人か並んではいましたが、すぐに順番が回ってきた。
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席に通されると、すぐに大きな急須で淹れたてのお茶を持ってきてくれます。ありがてえ……飲みながら焼き上がりを待ち、10分ほどで到着。
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めっっちゃ美味しい!!
とろんと柔らかなお餅とまったり甘じょっぱい白味噌のタレがよく合う! そしてお味噌の香りと焦げの香ばしさに炭の匂いが入り混じってなんともかぐわしく、ちょっとびっくりするほど美味しかった。
後半になってくるとだんだんと口内にしょっぱさが溜まってくるんだけど、そこにお茶が合うんですよねえ…… いやー、たまりませんな。ごちそうさまでした!
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北野天満宮の初天神で初混雑
お腹も気持ちも満たされ、参道をぶらぶら歩いて北野天満宮行きのバスに乗りこみます。
今度も普通に座れて「京都のバスは混んでるって聞いていたけど、思ってたほどじゃなかったな〜」と油断としたのもつかの間、金閣寺最寄りの停留所に着くとドッと人が乗り込んできて、車内は日本語と中国語と英語の入り混じった話し声でいっぱいに。
一瞬でオーバーツーリズムの現状をわからされてしまった。
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北野天満宮では毎月25日が縁日で、骨董市が開かれるというのでそれを目当てにやってきました。まあ当然のごとく大賑わい。参拝は早々に諦め、古道具やハンドメイド品、美味しそうなテキ屋の出店を眺めながら参道を歩くに留める。楽しかった!
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京都御苑をひたすら歩く
楽しかったけれど、人混みを抜けるとドッと疲れが湧いてきて、もう駅に向かうか……とバスに乗り込むも、しばらく乗っていたら窓の外に京都御苑が見えたので「せっかくだし中を通っていこう!」と気まぐれを起こして降りてしまった。
木立を抜けて御所の脇に出ると、学校のグラウンド並の幅の、落ち葉一枚、草一本見当たらないきれいな砂利敷の道がどこまでもどこまでも続いていて、思わずため息が出てしまった。
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今出川通り側の門から入ったので、真っすぐ行けば丸太町通に抜けるよね~と軽い気持ちで歩き始めたら、もう歩いても歩いても終りが見えなくて正直ちょっと後悔した。ずっと同じ壁が続くしよ……。
平安時代のスケール感すげえや。通勤するのも一苦労だよねこれ。
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京都・最後の晩餐
御苑を抜ける頃にはもうヘトヘトで、新幹線の時間にはまだ早いけどもういいや! と京都駅に向かったものの、ホテルから送った荷物やネット注文していたお土産&夕食の回収のために駅ナカを更に延々さまよい歩く羽目に。
初見のターミナル駅の手強さよ。時間に余裕もっておいてよかった……。
京都最後の晩餐は、 いづ重の押し寿司&いなり寿司 と かの有名な出町ふたばの豆餅。新幹線内でいただき、大満足の旅の締めくくりといたしました。
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さすがに2つは家族の分です
恐れていた混雑にあまり悩まされることもなく、京都らしいものを目でも舌でも身体でも味わって、2日間楽しく過ごすことができたけれど、
「やっぱり祇園にも行きたかったな、ライカストアもあるし」「おすすめしてもらったお寺もお店もまだまだあるし」「京博も京セラもいつか行きたい!」「次はカフェ2~3店は巡りたいな モーニングも是非」「鳩居堂の便箋やっぱり買っておくんだった」「一乗寺には面白い書店がたくさんあるらしい」「新福菜館のチャーハンうまそ~!!」
等々、まだまだ気になる事物が絶えません。
一度「京都に行った」って実績解除したい! と思って組んだ旅行だったのに、帰ったそばから「また行きたい!」って気持ちが湧いてくる、本当に魅力あふれる街でした。だからこそあんなに人が集まるんだろうな……。
と、ついいつまでも続けてしまいそうなのでこのへんで。
最後までお読みいただきありがとうございました。