思い出の街と湖の夕べ(2024/12/8)
茨城県近代美術館の夭折の天才画家「中村 彝」REMEMBERプロジェクトに寄付した返礼品として、現在開催中の「没後100年中村彝展―アトリエから世界へ」の招待券をいただいたので、水戸へ小旅行に行ってきました。
※写真はX-T50とxf27mmで撮影しています。
水戸へ
ここ数年、冬に家族で水戸へドライブしてあんこう鍋を食べるのが定番になっていたのですが(ていうかそれを見越して返礼品を選択したんですが)、今年はどうにも予定がまとまらず、電車で一人旅と相成りました。
かつて歩いた道を撮る
水戸駅からバスに揺られて20分、茨城大学前に到着。
水戸には大学時代にしばらく住んでいたけれど、家族旅行では大学周辺まで足を伸ばすことができなかったので、これを機に母校の周辺を撮り歩こうと決めていたのです。
卒業して10年以上経っているから、様変わりしているかなあと思いきや、意外なほど変わらない印象でホッとしました。
もちろん、サークルの先輩がバイトしていた大学前の本屋がめちゃくちゃ立派になっていたり、お世話になったリサイクルショップが閉店していたり、見慣れない新しいお店がオープンしていたり、ちょこちょこと変化はあるけどね。
と、歩くうちにお目当てのお店、I-N キッチン水戸店 に到着。
よくあるインネパ系カレー店ですが、わたしにとっては思い出深いお店です。
この近くのコンビニで会計待ちをしていた時に、一緒に列に並んでいた店員さんがカタコトの日本語で開店チラシを渡してくださって、それから通うようになったんですよね……当初ガラガラだったのに味のよさと丁寧な接客でみるみる人気店になって。懐かしい!
日本人向けのマイルドな味付けのカレー、甘くて薄くてコシのあるナン、甘いドレッシングのサラダにやわらかジューシーなチキンティッカ! レモン入りのお冷!
これこれこれですよ! あの頃と変わらない味で嬉しくなっちゃった。シークカバブは少し柔らかくなったかな?
中村彝展、そして千波湖の夕べ
すっかりお腹も気持ちも満たされてバスに乗り、南町から徒歩で千波湖へ。陸橋から見下ろす千波湖まーじでいい眺めですね。
中村彝展、いい展覧会でした。
レンブラント、ルノワール、セザンヌ等々の西洋画家を、当時の限られた資料から必死に学んで自分のものにしていった軌跡がよく理解できたし、本人や友人たちの言葉があちこち印象的に引用されていて、情熱的で純な人柄も伝わってきた。
絵のモチーフになった家具なども展示されていて、絶筆となった「静物」と見比べられるんですよ。小物も同じようにセッティングされていて、「ああ、かつての彝と同じものをいま見てるんだ」って実感が感じられてよかった。
あと、相馬俊子の肖像が8点並んだところは壮観だったなあ……作風の変化がもよくわかったし、絵の中の俊子が、最初は自信と信頼に満ちた視線をまっすぐに画家に向けているのに、だんだんと視線が逸れて筆致の強さも薄れていくのに、二人の関係の変化を感じてちょっと切なかった。
常設展は、菱田春草や橋本雅邦等茨城ゆかりの画家の他、彝が影響を受けたルノワールや彝が模写をしたシスレーの作品、彝の盟友・中原悌二郎の彫刻や彝の死に顔を描いた素描など、展覧会に関連する作品も多かった。こちらも必見ですね。
企画展~常設展と眺めて外へ出てみると、日が傾き始めており中庭の紅葉を美しく照らしておりました。まだ15時なのに!
館の裏手に回ると、復元された彝のアトリエがひっそりと。
以前見学したことがあるので今回はスルーしましたが、中に入るとボランティアさんが丁寧に説明してくれます。
企画展~常設展、アトリエもじっくり見るなら3時間は欲しいところ。
対岸のバス停まで遊歩道を進んで駅までバスで向かうつもりが、道を間違えた上に歩道橋が工事中でたどり着けず……仕方ない! 駅まで歩くか! と諦めて桜川沿いを進むうち、だんだんと日が暮れてきて、あたり一面ピンクゴールドに染まっていくじゃないですか。
嬉しくて夢中でシャッター切っちゃった。
何が幸いするかわからないね。
ようよう駅にたどり着き、駅ナカのサザコーヒーでお土産のカップオンとテイクアウトのクリスマスブレンドを買って、帰途についたのでした。
いい一日だったな。