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わたしのカメラ遍歴

noteのカメラ界隈でよく見かける「カメラ遍歴」という記事。書き手の写真へのスタンスが見てとれて、好きなんですよねえ。見かけるとつい読んじゃう。

なので自分も一丁書いてみるかと筆を執ったら、楽しくてついつい長くなっちゃった。暇な時にでも読んでやってください。

もともと写真は嫌いだった

カメラ趣味を始める前は、写真が嫌いでした。
容姿にコンプレックスがあるから自分が写る機会はなるべく避けていたし、綺麗でもなんでもない写真が「思い出」や「記録」として手元に積み上がっていくこともなんだか鬱陶しくて、卒アルもプリクラも記念写真も処分していたくらいです。

なので、ガラケーやスマホを持つようになってもカメラ機能はメモや連絡用途にしか使っていませんでした。

きっかけはプロ野球

そんなわたしがなぜ写真を撮るようになったかというとプロ野球にドはまりしたのがきっかけでした。

当時、Twitterでプロ野球ファン仲間を多くフォローしていたのですが、客席から超望遠レンズで撮られた選手の写真が試合ごとにTLに大量に流れてくるんですね。

報道写真ではあまり取り上げられない、ベンチや塁上でのちょっとした仕草や表情を魅力的に切り抜いていて、自分もあんな風に撮ってみたい! と憧れるようになりました。

「さっそく一眼レフ買っちゃうぜ〜!」と意気込んでいたわたしを「ちょっと待て」と押し留めた父が押し入れから引っ張り出してきたのが、Nikon D70
そこからわたしのカメラ遍歴が始まったのです。

挫折、そしてスナップの楽しさを知る

……が、結局野球撮影は向いていないとわかってすぐやめてしまいました

インプレー中もそうでないときも、選手の次の瞬間の動きを予想しながらずっと見つめ続け、シャッターチャンスを逃さず捉える熱意がまったく持てなかったのです。たまにしか来れない球場、スタグルも食べたいし応援歌も歌いたいじゃない?

自分の撮った写真と、同じ試合で他の方の写真を見比べて、機材の性能差以上に選手を観る視点や熱量の違いを思い知りました。
スポーツを撮られる方って本当にすごい。

でも、そこで写真自体をやめようとは思わなかった。
練習のために週末に公園に繰り出しては風景や猫を撮り歩くうちに、こちらの方が楽しくなってきてしまったのです。

D70(2015/12~)

当時撮った写真をflickrからサルベージしてきました。

2015/12/27(SIGMA APO 70-300mm F4-5.6 DG MACRO)

自画自賛ですけど、今見てもなかなか雰囲気ありますね。サラッと淡い色味がいい。こういうショットが気軽に自分で撮れちゃうんだからそりゃ楽しい。夢中になっちゃいますよ。

思えば、望遠撮影からカメラ趣味に入っていけたのは良かったな~と思う。自分の目と違う景色、スマホカメラじゃ得られない画がわかりやすく新鮮だったもんな。

2016/7/10(Ai AF Zoom Nikkor 35-135mm F3.5-4.5)

D7100(2016/8~)

カメラの楽しさは十分わかったし、そろそろ借り物じゃない自分のカメラが欲しいな! なんかグリップも加水分解で溶けてきたし……と思っていたところ、野球ファン仲間からD7100を安く譲っていただきました。

2017/1/1(AF-S DX NIKKOR 55-200mm f/4-5.6G ED VR II)

なんかぐっと鮮明な写りになりましたね。
動体撮影に長けた機種ですが、上記の通りわたしはあまり活かすことができず、もっぱら猫やスナップばかり撮っていました。

望遠だけじゃなく、標準単焦点でのスナップの楽しさを覚えたのもこの頃でしたね。

2016/9/18撮影(AF-S DX NIKKOR 55-200mm f/4-5.6G ED VR II)
野球選手を撮った写真もギリ残ってた
2017/1/22(AF-S DX NIKKOR 18-140mm f/3.5-5.6G ED VR)
2019/7/15(AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G)

ミラーレスと軽い失望の日々

Z50(2019/12~)

いいカメラだけどさすがに大きさと重さが辛くなってきたなあ……と思っていたところにZ50が発売されました。
ニコンのミラーレスAPS-C機がついに登場ということで、待ってましたとボーナス片手に飛びつきました!

D7100からふた回りほど小さくなったボディにダイヤルやボタンをぎゅぎゅっと収めた凝縮感がたまらなくかわいくて! 手に吸い付くような大きなグリップも握るたびに心地よくて、愛着が湧きましたねえ。

◀D7100  Z50▶

左右の視力さが大きい上に乱視、しかも利き目が左という、ファインダーを覗くのがしんどい視力だったので、常にライブビューで撮れるのは超ありがたかったですね。露出もWBもリアルタイムで確認できるし、今まで苦労していたのはなんだったんだ!と。

……でも、そうやって喜べていたのはほんの束の間。
これまで、だいたい望遠ズームか単焦点で写真を撮ってきていたので、キットの標準ズームが使いづらくて仕方ない。
つまらない写真を量産してしまってへこみました。

2020/10/24(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR)
2020/1/16(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR)

でも当時のZ単焦点はデカくてお高いSレンズばかりで、Z50-200も普段持ち歩くには大きい。
ロードマップに薄型単焦点が2本あるから近い内に出るだろう!と楽観していたら結局2年近く待つことに……目算が甘かった。

いえね、「APS-Cユーザーはライト層や初心者だろうからキットレンズがあれば十分でしょ」という姿勢はわかります。このキットレンズもちゃんと綺麗に写りますし。ニコンの事業規模を考えたら、主力のフルサイズに注力するのが正解です。

でも、レンズ拡充は遅々として進まず、出てくるボディは外装だけ変えたマイナーチェンジという状況に、「ああ、ニコンにとってのAPS-Cってオマケみたいな存在なんだな……」とわたしは感じてしまったし、それまで自分の中にあったニコンへの愛着が薄れていくのは止められませんでした。

2020/10/25(NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR)
比較的マシな出来の写真も貼っておく
2021/10/23(NIKKOR Z 40mm f/2)
待望の薄型単焦点、出てきた時は嬉しかったなあ
2021/11/6(NIKKOR Z 40mm f/2)

そうやって小さな失望を繰り返しているうちに、「今までずっとニコンを使い続けていたけれど、ニコンにこだわる理由ってあまりないのでは?」と思い始めました。

わたしは「シャッターを切ると、普段の視界と違う美しい『画』が切り出されるのが楽しい」からこそカメラで写真を撮っている。

それに対して、ニコンは印象よりもリアルに即した色再現がウリ。特にZになってからは、光学性能を追求し水のように癖なくクリアにと志向しているわけで……わたしがカメラに求める楽しさって、実はニコンとあまりマッチしてなかったんじゃないか? ……と、他マウントへの移行を考えるようになったのです。

決別、そして富士フイルムとの出会い

そんなわたしが、APS-Cを主力とし「撮って出しで魅力的な写り」をウリにした富士フイルムに行き着くのは必然でした

ネットで調べて「エッこれわたしにピッタリなんじゃない……?」と思っていたところ、折よく近場のキタムラで開催されていたXシリーズ体験会で、XF35mmF1.4Rのとろけるようなボケと、フィルムシミュレーション(以下FS)の繊細な色味にガツンと衝撃を受け、乗り換えを決意。

見た目が好みのX-T30と迷ったものの、店員さんの「今買うならX-S10一択でしょ!」の言葉に乗せられ、X-S10とXF35mmF1.4Rをセットで購入したのでした。

X-S10(2022/3~)

実際、その選択は大正解でした。
これまで使ってきたカメラと同じPASMダイヤル式だったから操作もわかりやすかったし、ボディ内手ぶれ補正にもかなり助けられました。拡大したら微妙にブレてる……がだいぶ減ったし、夕方や室内での打率も上がった。

2022/5/4(XF35mmF1.4 R)

左肩ダイヤルでFSを簡単に切り替えられるのも、さすが力を入れてるだけあってUIも工夫されてんなあ~と感心したものです。(後々、FSを切り替えながら撮るのはあまり主流でないと知ってびっくりした)

XF35mmF1.4Rも、神レンズと言われるだけあって何撮っても雰囲気よく写って、写真撮る楽しさを思い出しましたね。
このコンパクトさと価格(当時新品5.4万でした)でF1.4の世界が楽しめるのはすごいよ。金属鏡筒の高級感ある質感と絞りリング操作の楽しさもたまらなかった。

2022/7/15(XF35mmF1.4 R)

だんだん使っていくうちに画角の狭さが気になってXF23mmF1.4Rに移行していったんですが、富士フイルムの大口径単焦点の選択肢の多さも嬉しかったなあ。

2022/10/29(XF35mmF1.4 R)
2024/3/22(XF23mmF1.4 R)

X-T50(2024/6~)

その後、発売と同時にX-T50に乗り換えて今に至ります。
X-S10に満足していたものの、X-T系のクラシカルスタイルに憧れもあったし、2年使って「やっぱりわたし、バリアングル液晶のことどうしても好きになれない!」と痛感しちゃったので……。

スペックの割に値段が高いとか、これならX-T5でいいじゃんとか言われがちな機種ですけど、わたしに撮っては最良の愛機です🥰
「小さい=チープ・軽い・低機能・低価格」となりがちなところ、小型だけど高機能、質感もデザインもいい機種を出してくれるの、手の小さい人間にとって本当〜に嬉しいのだ。見た目もかわいいし手に馴染むし。

最近では、近い焦点距離の単焦点を複数本使い分けたり、ずっと苦手意識のあったMFレンズ(NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC)に手を出したりと、どんどん趣味の世界に入って、楽しいカメラライフを送ってます。

2024/8/23(XF27mmF2.8 R WR)
2024/8/13(NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC)
2024/12/22(NOKTON 23mm F1.2 Aspherical SC)
2024/12/15(XF23mmF2 R WR)

振り返って思うこと

こうして振り返って思うのは、実際にやって/触ってみて「思てたんと違う」と思うことが結構多かったなということ。おかげで時間的にも金銭的にも遠回りの多い遍歴でした。
ただ、撮り続けていくうちにだんだんと「自分は何が楽しくて写真を撮っているのか」がわかってきて、前述のようなギャップが減ってきた。
うむ、亀の歩みでも進歩はしているのだな。

あ、そうそう。最初に「写真が『思い出』や『記録』として手元に積み上がっていくこと」が嫌いと書いたけど、これだけさんざん写真を撮り続けてきた今でも、そこは変わってないんですよね。
どこかに行った・誰と会った・こんなことをしたって証拠を残すために、記念として写真を撮るって行為は今でも苦手。

思うのは、自分で「いいな」と思える画を撮り続けて、それが結果的に自分の軌跡として残っていくのが理想かなということ。今ではそれがわりと実現できていると思うので、これからものんびりとカメラ遍歴を重ねていけたらいいな~と思います。

長々とお読みいただきありがとうございました🙇