下関大和町郵便局長を11年間ではありましたが誠心誠意務めてきました。あるタイミングの中で決断をして廃止とし、7年間は局舎スペースは店晒し状態になっていました。
その間、テナント利用したいという問い合わせが2件程度あったものの不調に終わった事があります。もしそのどちらかが成立していたら、現在よりもリスクを懸けて映画館を開設していたかと問われればかなり微妙だったと思います。
先日、こけら落としに上映した工藤将亮監督作品『遠いところ』について、様々お力添えいただいた一般社団法人コミュニティシネマセンターの事務局の岩崎さんに御礼のご連絡を差し上げた際に、他館の経営の現状をいくつか上げておられた中で映画上映単体でやりくりするのは相当至難の業で、何らか副業をもたれているケースもあるとお話しされていました。一番は家賃・光熱費のランニングコストと収益のバランスに苦慮されているのは容易に想像に難くありません。
“シネマポスト”は旧郵便局舎からの全体が居住局舎で構成されたビル建造物であり、オーナーは父ですので家賃を発生させているとは言え、ハイリスクな状況にはない点で非常に恵まれています。加えてJR下関駅から大人の足で徒歩9分以内で来れる地域環境も重要な要素でした。北九州小倉からの山陽本線上りの最終駅は下関で18分で移動できる距離にあります。もし下関市でも乗換を要するエリアに映画館となれば一手間がかかります。それが軽減されるため商圏に北九州市は可能だと考えられます。
そこで私が長らく懸念していた問題がありました。駐車場です。
地方が車社会である点を前提にして、今どき駐車場がない店舗に人は足を運ぶのだろうかという考えが映画館開設に実は一番躊躇した問題でした。
シネマポストの応援団長と勝手に呼ばさせていただいている下関市内で洋食屋を営んでいる『洋食桜』のオーナーのシバタニさんから、
「そんなことで悩まないでください、まず映画館を作った後で、考えてもらっていいんですよ。来たい人はどんな方法でも来ますから」
つまりは鶏が先か卵が先かで悩んでいた事に気付かされたのです。
このシバタニさんは事あるごとに私のケツを叩いていつも背中を押してくれた方です。
人の支えや励まし、環境的な幸運といった部分、そのすべての状況に感謝の念を忘れてはいけません。
ただ夜の大和町はまさに帳(とばり)が下りるという言い方しかない漆黒世界でお客様にはご不便をおかけして申し訳ない気持ちにあります。
県道沿いにこのシネマポストは建っており管轄は県庁ですので、今後外灯についての折衝はなんらか必要だと考えています。
とにもかくにもこれまでどおり一歩一歩積み重ねていきながら改善を図っていきたいと思う次第です。
『漁港口の映画館 シネマポスト』は先日のtysテレビ山口のリポートが文字情報としてヤフーニュースにも掲載される等、少しづつ水面に投げた小石からの波紋のように徐々に広がっていっているように感じています。
まるで眼中外の映画を知ってみることも密かな楽しみに変化する可能性があると私は考えます。
そんなミニシアター、ぜひ一度足をお運びください。
【シネマポスト・インフォメーション】
今月27日まではホン・サンス監督最新作『小説家の映画』をお送りしています。
詳しくは『漁港口の映画館 シネマポスト』ホームページをご覧ください。
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