日本アカデミー賞とはなんなのか?
日本アカデミー賞の受賞作品や俳優が発表され、自分のYouTubeでも最優秀作品や俳優の予想をした。
(https://www.youtube.com/watch?v=POoM_8GLdu0)
もっとも個人的な予想であって、予想そのものを楽しんでいる部分もあるのである程度エンタメ的なものでもある。
一方で日本アカデミー賞そのものを否定する人もいれば、忖度も含めて出来レースという人もいる。個人的には出来レースまでは行かないにしても忖度レースはあると思う。それは過去の受賞作を見れば「そう思われても仕方ない」年度が何度もある。
そもそも日本アカデミー賞はアメリカのアカデミー賞(映画芸術科学アカデミー)をなぞって作られ、アメリカのアカデミー賞からオフィシャルの許諾を得ているもので、1978年(昭和53年)から開催されているもの。
一応選考基準も明確に提示されており、
・劇場公開を目的に製作された、40分以上の劇場用劇映画及びアニメーション作品
・東京地区に於ける商業映画劇場にて有料で2週間以上映画館のみで公開された作品。
・東京地区の同一劇場で1日3回以上、かつ2週間以上継続し上映された作品。
ほか
となっているが、これが今の選考基準としていかがなものか?という部分はある。結局はビッグバジェット作品であったりある一定の規模の配給会社が担当しないと選考基準に達しない作品も多々あるためだ。特にテレビメディアが関わった作品とそうではない作品とでは世間的な認知度は大きな違いがある。
観客動員につながるPR展開でいうと、TV各局が関わった作品のほうが認知されやすいには周知の事実でもある。それを考えるとこの映画の大賞ノミネートを見ても大手配給会社が関わった作品が多くなるのは当然であるし、それに対してミニシアター系などがほぼノミネートされていない現実を観ると
「日本アカデミー賞に意味はない」
という人の意見もある意味正しいといえる。
ちなみにアカデミー会員になり年会費を払えば主要な映画館での鑑賞はフリーパスになるといったメリットが大きいため、一般人の映画マニアだと手が出るほど欲しいものだがアカデミー会員資格は
「日本アカデミー賞協会の会員は現在も含め映画事業に継続して 3 年以上従事し、当協会で定めた運営・実行委員、または賛助法人の推薦を受けた者とする。」
となっており、映画好きなだけでは無理なのであるw
一方、業界人というかノミネートどころか受賞者から辛辣なコメントがでたこともある。
2020年には樹木希林さんが
「日本アカデミー賞が早く本当に権威のある賞になってほしい」
といった発言をするなど、受賞作品への忖度があるのは公然と言われても仕方ない雰囲気はある。
このことからも日本アカデミー賞の権威性はあまりないといえる。
その一方で、1年間に映画を1本ないし2本。多くても数本しか見ない人たちへの「映画を知ってもらう」「話題としてのネタ」といった「映画のPRネタ」としては最適かつ最大級ともいえる。
日本テレビ系列のワイドショーはもとより各種スポーツ新聞での誌面取り上げ。そして各局でのTVでの映画OA時の受賞作といった文言の利用的効果を考えると日本アカデミー賞そのものの存在価値はある一定数あるといえる。
また俳優や監督。脚本家にとっても、多くの人に名前を知って貰える機会になっているのは事実。ノミネートはもとより最優秀賞を受賞することでのネームバリューの広がりは大きな物があるのは間違いない
それゆえに変わる映画賞や各種メディアが取り上げるようなイベントがない限り、日本アカデミー賞の立ち位置が変わることはないのだと思う。
ただし、日本アカデミー賞も変わるべきポイントは山のようにある。
ノミネート作品の選考基準の見直しやビックバジェット映画以外の作品を見つけるための努力。さらには持ち回り感が強く出てしまう最優秀賞の選考方法の見直しや、アカデミー会員以外の投票システムの構築(いまの話題賞の見直しを含む)。さらには一部の熱狂的なファンによる多重投票ができないようにするなども含めてやるべきことは山のようにある。
映画館で鑑賞できる本数は1年では限界があるのは当然。
出来得る限り公平性を打ち出さない限り、日本アカデミー賞が映画マニアから軽く見られてしまうのは仕方ないことだと思う。
その一方で映画通の業界人による批判はもとより、そういった
「そんなビッグバジェット映画は低俗だ」と言わんばかりの映画批評の人たちも問題の一つではないかと思う一面もある。
先日の映画芸樹が発表したベスト10とワースト10などがその最たるものだしキネマ旬報のだすベスト10などもその傾向がある。
そもそも大衆のエンターテイメントである映画というものに高位な権威は必要ないかもしれないが、エンターテイメントの中心でなくなってしまったいまだからこそ、ほんとうの意味での
「多くの人に愛され、多くの人に知ってもらいたい映画」
が広く知れ渡るための賞であり、イベントになるようになってもらいたい。さらに2021年の「ミッドナイトスワン」のときのように、ビッグバジェット映画以外の素晴らしい映画をもっとすくいあげ、広める機会にしてもらいたい。
それが映画へのチャレンジをしている、まだ知られていない多くの映画人の励みにもなる可能性でもあるのだ。
個人的に「日本アカデミー賞」は
・普段映画を観ない人のためのエンターテイメントショウ
であり
・映画に尽力した監督や俳優のための謝恩会
として否定的というかマイナスイメージではなくプラスイメージとして捉えているが、この考え方も賛否あるとは思う
ただ、日本アカデミー賞の結果、映画館へ足を運ぶ人が増えるのであれば、いくらでも喜んで楽しませてもらおうと思う。
昨年は「ドライブ・マイ・カー」の受賞後は映画館が満席になることもあった。もちろんアメリカアカデミー賞ノミネートの効果もあったのかもしれないが、(ドライブ・マイ・カーが個人的2021年・年間ベスト1映画であったのもあるが)映画館に人が多くあつまったことはなによりも嬉しい一面でもあった。
日本アカデミー賞の価値や権威性はさておき、映画好きとして、
映画館で映画上映をしてもらい続けるためにも、話題として否定的になるのではなくプラス的な一面も思慮してあげるのも必要では無いかと思う
それ以上に日本アカデミー賞のさまざまな改善を期待したいが……。