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「波紋」(荻上直子監督2022)筒井真理子を見よ!

萩上直子監督の凄みが出た

萩上直子監督の映画には
『かもめ食堂』2006年、『めがね』2007年、 『トイレット』2010年、
『川っぺりムコリッタ』2022年など、
美味しいご飯と、心に傷を負った人がほんのり治癒していく様を描いた作品に癒されます。


この鮭のおにぎりが最高に美味しそう



これは蟹だっけ、イセエビだっけ?

「波紋」にはほぼほっこりはナシ。
そうですよね、主演が筒井真理子だもの。

東電事故はこうして人々に影響をもたらした

この物語の根底には、東日本大震災で起きた「東京電力福島原発事故」があります。

「東京電力福島原発事故」と長ったらしく書くのは、自分が福島県に住んでいて、事故が起こるまで原発がどの町にあるのかわからなかったから。

そして、福島の原発で作られていた電気は、関東にすべて送電されていたことを知らなかったから。

自戒を込めて、また、特に関東の人に理解してほしくて
きちんと「東京電力福島原発事故」と書くことにしています。

放射能が怖くて一人で逃げたクズ夫

こういうことをさせると、本当にうまい光石研。
九州に大学に入学し、そのまま就職してした一人息子に磯村優斗。
筒井真理子が演じる依子は一人でスーパーのパートをしながら暮らしています。
更年期、カスハラ客、好奇心満々な隣近所、
新興宗教に入信しているけれど、なんとなくクラブ活動というかエステ感覚というか、まあお金はちゃんと取られているけれどはまりきってはいないような、不思議なもやもや浮遊感のある日常です。
夫がいなくなって、庭は枯山水になります。
これも不気味ですね。

そして夫が帰ってくる

がんになったから助けてくれ、
おやじの遺産で高額治療させてくれ、
なんというクズなんでしょう。
何のために放射能から逃げたんでしょうね、かわいそうだけどちょっと笑いたくなります。

そこに息子も帰ってくる

愛する息子が久しぶりに帰ってきたと思ったら、予告もなく恋人を連れてきます。
ああ、これはキツイ。
子供を産んだことないけど、これは可哀そう、酷い。
男親にはわからないかもしれません。
息子もこういう時とても無神経なものです。

彼女は耳が不自由で、手話と口の動きで言葉を理解します。
このシーンは中盤のピークと言えるかもしれません。

この息子の恋人役を演じたのは、津田 絵理奈さん。
生まれつき難聴で、手話やろうの番組に出演していたようです。
しかしこの演技。
耳が聞こえない、若くてかわいい、遠慮がない、そしてこの発言。
依子の総合的完全敗北です。

ここまで書いたのにあとは見てほしい

荻上直子監督の手腕としか言いようがない、
「痛快爽快・絶望エンターテインメント」というキャッチフレーズが本当にぴったりな作品です。
ここまでネタバレしちゃいましたが、それを押してみてほしい。
全然楽しめるはず。
ラストシーンも素晴らしいのです、本当に。
筒井真理子さんありがとう!

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