映画版『AKIRA』各キャラクターの行動原理と生死についての考察
『アキラ』という前々から気になっていた映画を友人に激推しされて観た。所々にジブリと松本大洋の 雰囲気を感じた。
「さんをつけろよデコ助野郎!」のシーンだけは過去に見た事があって、金田かデコ助のどちらかがアキラと思い込んでいたので、どっちもアキラじゃなくて、草生えた。
核のメッセージはなんだったのか
鉄雄はどこへ行ったのか
最後の「ボク、テツオ」は何を意味しているのか
疑問は残ったが、めちゃくちゃ面白かった。
しかし、何が面白かったのかと訊かれるとイマイチわからない。ので、考えてみる事にした。
まず、一通り観終わって疑問に感じたのが、主要キャラクターの行動原理がよくわからないという事だった。おそらく映画内でも明確には説明されていない。
そこで2周目は各主要キャラクターの重要そうなシーンを飛ばし飛ばしで観直してみた。すると、どのキャラクターもかなり一貫した行動原理を持っている事に気づいた。
そしてそれを
『最終的に物語内で生き残ったかどうか』と照らし合わせると、ある面白い法則に気がついた。
それは
『純粋に誰かのために動いているキャラクターだけが最後に生き残っている』という事である。
一 人一人見ていく。
ネズ
生死:死
彼は主要キャラクターではないが、次の『竜』というキャラクターの行動原理を考える上で重要な登場人物だ。
ネズは初登場シーンでは一見、竜にこの世界の事や『アキラ』が秘める可能性について教える良き指導者のように映る。しかし、大佐がクーデーターを起こした際に本性を表す。
ネズ は自分と金の事しか考えない人間だったのだ。金と賞状のようなものを出来るだけ多く鞄に詰め、裏切られたという妄想に駆られ部下の竜を銃で撃ち逃亡。持病で死亡。
竜
僕が鑑賞一周目で最も行動原理が読めないと感じたのが、この男だった。
彼のチームが何をしようとしたのか
なぜタカシ(26号)を連れ出そうとしたのか
最初全く分からなかった。しかし、先のネズとの関係性を見ていると、ある行動原理が見えてきた。
それはネズのためだけに動いているという事。
彼がネズを慕っている事は、ネズをネズ様と読んでいる事やネズの初登場シーンで素直にネズの教えを拝聴している事、大佐がクーデータを起こした時に律儀に作戦失敗の報告をネズにしに来る事などからあきらかだ。
しかしそのように慕っていたネズから裏切りの疑惑をかけられ撃たれてしまう。彼は最後の命を振り絞り何かを探して街を彷徨い歩く。路地で横たわるネズには目もくれずに何かを探している。彼は何を見ようとしていたのか。
それはネズが希望だと語っていた『アキラ教』の人々である。鉄雄を通してアキラの復活が実現した。そこにネズが語っていた希望は本当にあるのか...
しかし、竜が最後に見たものはアキラ教徒の暴動であった。彼は間違いなく真面目で忠誠心の高い人間である。しかし、彼の行動原理は『盲信』であり、それは 暴徒化したアキラ教徒とさして変わらないものであった。
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