円盤小話~「殺しのドレス」ソフト版吹き替えの追録~(おまけつき)

 「殺しのドレス」ソフト版吹き替えは、ソニー盤アルティメット・エディションDVDの段階で追録がなされている。

 「殺しのドレス」は1998年の初版DVD発売の際に、日本語吹き替えが作成されている。いわゆる「ソフト版吹き替え」である。ナンシー・アレン=日野由利加、マイケル・ケイン=銀河万丈というメンツ。

ビーム盤初版DVD:劇場公開版
ユニバーサル盤スペシャル・エディションDVD:劇場公開版/完全版
(選択して再生可)
ソニー盤アルティメット・エディションDVD:完全版
20世紀FOX版DVD:完全版(ソニー盤ディスク1の廉価盤と思われる)
ニューライン盤Blu-ray:完全版

 この音源が後のDVDやBlu-rayにも収録され続けたのだが、気になる点が一点。本作は「劇場公開版」「完全版」が存在しており、ソフトによってどちらを収録しているかが異なる。ソフト版吹き替えが制作された初版DVDは劇場公開版ベース。しかし後発のDVDやBlu-rayは完全版なのだ。ということは、ソフト版吹き替えでは、完全版に対応しないシーンがあったりとか、吹き替えが欠落してしまうシーンがあるのではないか?

 …ということで、もう最初に結論を書いてしまったが、ソフト版吹き替えはソニー盤DVD発売の際に、完全版に合わせる形で追録されている

ビーム盤初版DVD:劇場公開版 + ソフト版吹き替え(オリジナル)

ユニバーサル盤スペシャル・エディションDVD:劇場公開版/完全版 + ソフト版吹き替え(オリジナル)
完全版を再生した場合、完全版追加シーンは原語+日本語字幕での対応となる。このことはパッケージ裏下部に記載があるほか、注意書きの小さい紙が封入されている。

ソニー盤アルティメット・エディションDVD/20世紀FOX盤DVD:完全版 + ソフト版吹き替え(追録版)

ニューライン盤Blu-ray:完全版 + ソフト版吹き替え(追録版)
 ソフト版吹き替えのほか、TBS版吹き替え(金内吉男ケイン)、テレ朝版吹き替え(羽佐間道夫ケイン)も収録されている。

 具体的な追録箇所は終盤、ナンシー・アレンがマイケル・ケインのオフィスを訪れ彼を誘惑する場面。下記である。

ソフト版吹き替え(オリジナル)
彼はドアを閉めて、鍵をかける
そしてカミソリを出す
"傷つけないから大丈夫"
そしてそれから
やることを話し出す
私の大好きなのを
"服を脱げ"と命令され私はそうする
目はカミソリに釘付け
男は下着を脱ぎ
私を無理矢理うつ伏せにさせる
そして後ろに跪いて
冷たいカミソリの刃を当てる

ソフト版吹き替え(追録版)※太字部分が追録
彼はドアを閉めて、鍵をかける
そしてカミソリを出す
"傷つけないから大丈夫"
そしてそれから
やることを話し出す
それがどんなに気に入るか
彼が話してるとき
気がついたわ
ズボンの前の膨らみに
そして
"服を脱げ"と命令され私はそうする
目はカミソリに釘付け
男は下着を脱ぎ
私を無理矢理
うつ伏せにさせる
あたしの足を広げ
そして後ろに跪いて
冷たいカミソリの刃を当てる

 上記太字部分が追録個所。元々劇場版に存在するシーンも含めて追録されている。よくよく聞いてみるとテンションの違いなどがわかるだろう。

 実を言うと、ソニーのアルティメット・エディション版は吹き替えについて結構力を注いでいた節がある。「夕陽のガンマン」「ブルーサンダー」の新録もしかりだが、例えば「カジュアリティーズ」「ティアーズ・オブ・ザ・サン」。これは通常版より長尺のバージョンが収録されているが、追加シーン分の追録がなされている。しかも両方とも長尺版自体がUE盤以外に収録されていないため、このDVDでしか見ることができない。気になる方は是非買ってみよう。

余談
 ユニバーサル盤スペシャル・エディションは劇場版/完全版の両方が収録されているが、完全版で復活したセリフに合わせて、字幕翻訳を変えている部分がある。芸コマ。(なお吹き替えは変更なし)

劇場版
どうして そう脱ぎたがる?
ズボンの前が ふくらんでるからよ
分かってんだから

完全版
どうして そう脱ぎたがる?
そこの太いモノが 堅くなってる
分かってんだから

 個人的には、スペシャル・エディションDVD(本編Verとオリジナルソフト版吹替)とニューライン盤Blu-ray(吹替Verと特典)を購入しておくのがベターと考える。


おまけ:「時をかける少女」「セーラー服と機関銃」の縮刷パンフレット差分

 角川発売の「4K Scanning Blu-ray」シリーズには特典として縮刷パンフが付属していたが、事情で一部ページが削除されている。たまたま「時をかける少女」と「セーラー服と機関銃」のパンフレットを持っているので、削除されている部分をここで紹介する。

時をかける少女

  • 全編:写真番号を削除(載っているスチールの一部に番号が記載されており、この番号つきのスチールは通信販売で購入が可能だった。)

  • 6ページ目:劇中歌「愛のためいき」の歌詞を削除

  • 9、10ページ目:まるっと削除。角川春樹「私と智世の不思議な遭遇」。

  • 11、12ページ目:まるっと削除。「智世に夢中。」(原田知世出演作「セーラー服と機関銃」「ねらわれた学園」(ともにテレビドラマ版)、ラジオ「ヤングパラダイス」の紹介)

  • 13ページ目:原田知世の来歴内からミュージカル「あしながおじさん」の記載のみ削除

  • 17ページ目:まるっと削除。PILOT「ペイントマーカー」の広告(時を"描"ける少女…)。

  • 18ページ目:まるっと削除。松任谷由実によるコメント、並びに主題歌「時をかける少女」の歌詞

  • 19、20ページ目:まるっと削除。「初めてのミュージカル。がんばります。」(前述の「あしながおじさん」の記事)

  • 29ページ目:発行・構成クレジット・定価記載、ならびに前述のスチール通信販売の広告。

  • 30ページ目:まるっと削除。原田知世のシングル「時をかける少女」の広告

  • 裏表紙:まるっと削除。角川書店の広告(原作者、筒井康隆の文庫本)

セーラー服と機関銃

  • 7、8ページ目:まるっと削除。主題歌「セーラー服と機関銃」と「あたりまえの虹」の歌詞、来生たかおのプロフィール、音楽担当の星勝の紹介、阿久悠によるコメント。

  • 9ページ目:薬師丸ひろ子のサイン部分のみ削除。

  • 12ページ目:石原真理子によるコメント部分をスチール画像に差し替え、並びに「翔んだカップル」のスチールを削除

  • 17ページ目:下部の角川春樹・多賀英典によるコメントを、キャスト・スタッフ一覧に差し替え。

  • 18、19ページ目:このページは切り取ってカードサイズのカレンダー(裏は薬師丸ひろ子のブロマイド)になる仕組みだがまるっと削除。なお上記のキャスト・スタッフ一覧はもともとこのページの余白にあったもの。

  • 21ページ目:まるっと削除。キティレコードの広告(本作のサントラ、主題歌シングル、「夢の途中」(来生たかおによる主題歌のカヴァー)などが記載)。

  • 裏表紙:まるっと削除。角川文庫の広告を削除

 なお、英Arrow盤Blu-rayの特典「Original Press Kit」はパンフレットの8ページ目まで(と裏表紙)をスライドショー形式で収録している。9ページ以降は全カット。

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