地球滅亡:アルマゲドン
【一口レビュー】
アルマゲドン
ストーリー:世界一勇敢なハゲが、巨大隕石から地球を救う。
・納得の感動…+5
・ストーリーが荒削り(中盤の盛り上がりがイマイチ)…-10
・WE WIN, GRACIE!(勝ったぞグレース)…+10
・ドワナ… +15
評価:20/30
僕の友達は薬中が宇宙でマシンガンをブッ放すシーンが大好きです。
【総評】
この映画はラストシーン極フリ映画である。
私がアルマゲドンを初めて見たのは小学四年生の時。
金曜ロードショーで見た。
映画の内容についての理解はぼんやりとしていたが、ラストシーンで号泣したことは今でも鮮明に思い出せる。
そして大学生の夏季休暇。
あまりに暇を持て余した時。
タマタマGEOで見つけてしまったアルマゲドン。
レンタルしてすぐ視聴。
しかし視聴し始めて60分くらい立って私は思った。
「こんなにストーリー展開が大雑把だったけ?」
小学生の時、記憶に焼き付いた映画を大人になってみると子供の時よりも理解が深まりさらに面白く観れる。
映画においてこれほど素晴らしい経験はないと私は思う。
この現象が最も色濃く現れる作品がジブリ映画。
特にもののけ姫や風の谷のナウシカなどが該当するだろう。
このため私はこの現象をジブリ効果(GE)と呼んでいる。
しかしながらアルマゲドンは、GEをもつ作品には該当しない。
むしろGEとは真逆。
大人になって改めてみるとストーリーの欠陥や雑な場面転換等が理解できるようになり、自分が名作だと思っていた作品に対して疑念が生じる。
私は大学生の夏季休業中に体験したこの現象をアルマゲドン効果(AE)と呼ぶことにした。
ここまで聞くと何故評価が20/30なのか疑問に思われる方も多いだろう。
理由はAEを受けた状態でも私はラストシーンで盛大に泣いてしまったからだ。
【一口レビュー】の加点は全てラストシーンに関与している。
つまりこの映画はやや煩雑なストーリー展開の結末であるラストシーンが何よりも素晴らしく、このラストシーンだけで人々を感動させるポテンシャルを持つのだ。
そしてラストは是非とも娘をもつ親父として見てほしい。
故に、一言でアルマゲドンをまとめるなら
涙不可避のラストシーン極フリ映画である。
【主要な登場人物】
・主人公:ハリー・スタンパー
役: ブルース・ウィリス
世界一勇敢な漢兼最高のパパ。
範馬勇次郎もビックリの肩書である。
漢の価値は髪の毛ではなく、その生き様にあることを証明した最初の人物。(また髪の話してる…)
・ハリーの娘:グレース・スタンパー
役:リヴ・タイラー
アンハサウェイ似。
ハリーが男手一つで育てた。
そんな娘がいたら、手元からはなしたくないのはよくわかる。
ハリーにA.J.と付き合うことを反対されて反抗的な態度をとる。
息子に反抗されると喜ぶ親父もいる。
しかし世の中の親父が最も恐れるのは、娘に嫌われることであろう。
しかし親父は娘に嫌われても、娘に最高の人生を歩んでもらいたいのだ。
・グレイスの恋人:A・J・フロスト
役:ベン・アフレック
やや軽薄だが、根暗な男よりは全然いい。
グレイスに対してエグめの下ネタをぶっ込んでくる。
いろんな意味でハリーの息子。
・NASAの司令塔:ダン・トルーマン
役:ビリー・ボブ・ソーントン
彼の作戦と手腕で地球は救われる。
スペースシャトルのパイロットが夢であったが足に障害があるので地上勤務となる。
地球からハリーたちをサポートする役回り。
誰がなんと言おうと彼はハリー達と共に闘ったクルーの一員である。
・スペースシャトルのパイロット:ウィリアム・シャープ
役:ウィリアム・フィクナー
本作で一番すこ。
ラストでは軍人ではなく、人として、父親として家族を救うため命令に背いてハリーに協力する。
軍人としては失格かもしれないが、彼もまた最高のパパであり漢である。
娘が2人いる。
・薬中サイコ:ロックハウンド
役:スティーヴ・ブシェミ
スタンパ―オイルの天才地質学者。
四六時中遊び倒してるので地球が滅亡しても思い残すことがない。
このため宇宙に行ってもずっと悪ふざけをする。
しかしあらゆる場面でその悪ふざけやセリフまあわしが秀逸である。
・スペースシャトルの副操縦士:ジェニファー・ワッツ
役:ジェシカ・スティーン
めちゃタイプ。
オスカー「なぁなぁ、ワッツって結構イイ女だよな」
ベア「わかる」
ロックハウンド「わかる」
視聴中ワイ「わかる」
【詳細レビュー】
【①テキサス州が降ってきた】
≪要約≫
この映画の導入は宇宙から始まる。
一様、SF映画だからね・・・
NASAの宇宙オペレーション中に大量の流星群が降り注いでスペースシャトルが大破する。
そして降り注いだ流星群が派手にNYの街並みを破壊する。
このシーンでは松田聖子がカメオ出演している。
混乱の最中、とある天体マニアの夫婦がテキサス州並みにでかく、地球に衝突する可能性が高い小惑星を発見する。
この夫婦の会話は非常にコミカルですこ。
―電話にて―
NASA職員「混乱を避けるため小惑星については他言無用でお願いします」
夫「俺も元海兵隊だわかってる」
夫「ただ、小惑星を発見した奴に命名権があるんだよな?」
NASA職員「はい、そうです」
夫「それなら妻のドティの名前を使ってくれ」
妻「トゥクン…♡」
夫「誰も逃げられない執念深い性悪女、この小惑星にぴったりだ」
妻(中指)
≪解説≫
水を差すようで悪いがこの映画では宇宙でも大爆発がバンバン起きる。
しかし宇宙空間には大気がないので音が伝播しない。
そして爆薬の性質にもよるが基本的に地球のような大爆発は酸素が存在しないので起こらない。
スペース映画では音・爆発に関しては細かく注意を払って製作されることが多いが、アルマゲドンは宇宙でバンバン爆発が起きる。
このような点に作りこみの甘さがあると感じた。
まぁ1998年公開の映画だから仕方ないとも思える。
随所に爆発で誤魔化すような演出がみられるのがたまに傷。
金がかかった大味USA映画の典型例である。
【②打開策】
≪要約≫
NASAは打開策を検討するがなかなか良い案がが出ない。
しかしある男が現実的な打開策を提案する。
それが世界一頭の良い男ロナルド・クインシー博士である。
世界一頭の良い男という、世界一頭の悪そうな呼び方すこ。
その打開案とは小惑星に穴を掘って核爆弾を埋め込んで爆発させるという案。
この際に話す爆竹のくだりはプレゼンテーションを行うサラリーマン必見。
この穴を掘るために白羽の矢が立ったのが、地球上に掘れない場所はないと石油業界で有名なハリー・スタンパ―だったのだ。
そのころハリーは台湾近郊の海洋で石油の採掘を行っていた。
そして部下のA.J.が自分の娘と寝ていたことを知り、ショットガンでA.J.に制裁を加えるのだった。
≪解説≫
ここまでの出来事が映画冒頭20分である。
非常にテンポが良く見やすいと思う。
しかしながら世界一頭の良い男が穴掘って爆弾埋めるという案を提案するのはどうかと思う。
天才ゆえに考え方がシンプルなのか…
世界一の頭脳集団であるNASAはもっと優秀では?
と考えてしまった。
また世界一頭の良い男の見せ場はこのシーンのみ。
この後もチョクチョク登場するが完全にこの打開策を提案するだけの存在になってしまっているのが残念。
【③訓練】
≪要約≫
クインシー博士は小惑星に穴をあけるドリルを調達することはできたが、それをうまく使いこなせていなかった。
そのドリルはハリーが設計したもので、博士はハリーにドリルの使い方を指導してほしいと依頼。
しかしハリーは素人には使いこなせないと考え、自分たちが小惑星に行き穴をあけるしかないと判断。
ハリーは自分の部下をかき集めて小惑星に穴をあけるため、宇宙遊泳の訓練に望む。
≪解説≫
最初クインシー博士はドリルの使い方を教わるためだけにハリーを呼んだ。
しかし責任者であるトルーマンは作中では明言されていないものの、元々ハリー達を宇宙に送る心づもりだったと思う。
明確な根拠はないが、ハリーが宇宙に行くことを決意したときのトルーマンの表情からそれが分かった。
ハリー達は宇宙に関しては素人なので、NASAは彼らの訓練を急ピッチで行った。
だが訓練期間が18日間というのは短すぎるような気がする。
やはりリアリティを求めると設定や脚本の粗が目立つ。
訓練シーンに関してはハリーの部下たちが悪ふざけしてる印象しかないが普通に面白い。
【④それぞれの決意】
≪要約≫
18日間の訓練を一通り終えて、出発前日にハリーは部下たちに外出許可を与えるようトルーマンに打診する。
当然、隕石の衝突は世界的な混乱を避けるためにトップシークレット。
トールマンや政府関係者は、この事情を知る者に外出許可をあたえるなど無理であると言った。
しかしハリーは外出許可の申請を譲らなかった。
結局、外出許可の申請は受理された。
部下たちはそれぞれ思うがままに休暇を過ごし決意を固めた。
≪解説≫
このシーンではハリー達が地球を救う前日に何をするのかが描かれている。
ある者は女と酒。
ある者は恋人と。
ある者は離婚した嫁と子供に会いに。
ある者は娘との会話を。
愛する者のために地球を救う決意を固めるシーンである。
ちなみに酒と女は大方予測がつくが独り身の者達である。
まぁここに関して愛する自分の日常を護るために決意を固めたともとれる。
一方で終末において心の隙間を埋めるのは愛である、といった独身男への当てつけ感もある。(結婚したい)
★ロックハウンドは当然女遊びをしていた。
(これが原因でもめ事を起こし、出発前にも関わらず逮捕される。)
しかし女遊びの資金を調達する際も顔色が優れず、いつも明るくちゃらんぽらんなロックハウンドらしくなかった。
これに関しては天才が故にこの作戦の成功率が極めて低いことを一番理解していることが原因ではないか。
ロックハウンドの奇行・暴走はこの後も続くが、それは作戦の成功が難しくなったときにみられる。
天才が故に目の前の置かれた状況に希望を見いだせない。
それがロックハウンドの奇行や暴走につながっているのでは?
と、私は鑑賞中に感じた。
【⑤グレースとA.J.】
A.J.は休暇をグレースと二人で過ごす。
そしてA.J.はアニマルクラッカーをグレースの体に沿わせて彼女を誘う。
A.J.「アニマルクラッカーのドキュメンタリーをお届けします」
「チーターがガゼルを追ってやってきた」
「ガゼルは今決断を迫られています」
「北に行けばこんもりと盛り上がった丘が(乳)、そして南には生い茂る密林の中に洞窟があります(膣)」
「ガゼルは男にとって最も重要な選択を迫られています」
「続きはまた来週」
(AJとグレイスの熱いキス)
グレイス「ねぇ…世界にもどこかで私たちと同じことしている人たちがいるのかな」
≪解説≫
いるわけねぇだろ
*
このシーンは互いを愛し合う男女が世界中には多くいる。
この幸せを護るためにA.J.は地中を救うのだ。
といったことを伝えたいのは理解できる。
ただ、そんな癖の強い下ネタ彼女にかましてる男はいるだろうか
いや、いないだろう(反語)
*
【⑥トルーマンとハリー】
≪要約≫
ハリーは出発前にトルーマンとサシで話す。
元々トルーマンはNASAのパイロットとして働きたかった。
その夢は今でも諦めていないが、彼の足には障害があった。
トルーマン
「私は同期でNASAに入局して宇宙飛行士になったもののフルネームを未だに全て記憶している。」
「パイロットになるのが私の夢だ。」
「しかし配属されたのは技術部だった。」
トルーマン
「君たちの共にミッションワッペンをつけて宇宙行けたらどんなに幸せだろう。」
ハリー「こんな仕事喜んでやるのは、おまえくらいだな。」
「代われるもんなら代わってもらいたいよ。」
トルーマン「…明日の成功を祈っている。」
≪解説≫
トルーマンの気持ちはとても良くわかる気がする。
同期でNASAに入って宇宙飛行士になったもののフルネームを全て記憶しているのは、羨望、悔しさ、嫉妬が原因ではないか。
自分の欲しいものを手に入れた人が羨ましくてしたかない。
人間とは悲しくもそういうものである。
私も大学受験を終えて自分より偏差値の高い大学に入学した部活の同期の名前をフルネームでいえる。(学歴コンプ)
皆さんにも同じような経験はあるのではないか。
トルーマンは非常に感情移入しやすいキャラクター背景だと思う。
そしてこの会話はラストシーンの伏線にもなる。
【⑦宇宙へ】
≪要約≫
小惑星が近づき破片が地球に降りそそぎ、各国に被害が出はじめる。
これによってついに全世界に終末が近づきつつあることが知られてしまう。
そして大統領の世界に向けた演説と共にハリー達は宇宙に飛び立つのである。
≪解説≫
この映画における盛り上がりポイントの一つ。
大統領の演説はアメリカの戦争に対する姿勢を肯定するなど内容に関して賛否両論ある。
しかしながら大統領の演説と映像のコンビネーションは高揚感が凄い。
(インディペンデンスデイ並感)
ハリーと部下が横一列にならびスペースシャトルに乗り込むシーンはクソシビレル。
【⑧トラブル】
≪要約≫
すんなりと小惑星を爆破できるはずはない。
色々なトラブルをハリー達を襲う。
なかでも着地地点がずれて掘削の難しい酸化鉄の地盤に着地してしまったことが熱い展開につながる。
スペースシャトルパイロットのシャープ大佐はハリー達を訓練の時から見ていた。
そして内心、ハリー達のことを全く信頼していなかった。
なぜなら長年訓練を積んできた彼のプライドが、ド素人であるハリー達に最重要ミッションを行わせることを許さなかったから。
酸化鉄の地盤は掘削が難しいので予定が大幅に遅延。
このままでは地球に小惑星が衝突してしまう。
その状況でシャープ大佐のハリー達に対する不満が爆発。
「君たちのような奴らに地球の命運を託したのはNASA始まって以来、最大の失敗だ!!!」とハリー達に吐き捨てる。
そしてシャープ大佐はハリー達の知らない第二案を実行に移す。
それは核爆弾の地表での爆破である。
クインシー博士の解説通り、地中で爆破しないと意味をなさない。
しかし何もしないよりはマシという考えの元、核爆弾の起爆権限を地球にいる大統領に譲渡し、掘削が大幅に遅延していることから地表での起爆が決定された。
第二案に関しては地質学・爆破のプロであるハリー達に言わせても全くの無意味。
このためハリー達は反発する。
シャープ大佐はアメリカ空軍の軍人なので命令は絶対。
更にその命令はアメリカ軍最高司令官である大統領からのもの。
大統領令が発令され、核爆弾のスイッチが地上からリモートでONになりカウントダウンが開始される。
これにハリーは激怒。
核爆弾のリモート起爆装置を破壊しようとする。
シャープ大佐は大統領令を遂行するため、本来作戦には不要な銃を使ってリモート起爆装置を破壊しようとするハリー達を脅し、これを阻止する。
しかし一瞬のスキをついてハリーがシャープ大佐から銃を奪って彼を組み伏せる。
その間にも核爆弾のカウントダウンはどんどん進む。
核爆弾のマニュアル操作に関して熟知しているのは、アメリカ空軍直属のシャープ大佐だけ。
つまり地球からのリモート起爆を止められるのはシャープ大佐だけだ。
その状況でハリーはシャープ大佐に諭すように問いかける。
ハリー「お前はここに何をしに来た」
シャープ大佐「任務を果たし爆破を見届けるため」
ハリー「…目の前の状況をよく考えろ、16万㎞彼方の人間の言いなりになってどうする」
「俺たちがやらなきゃみんな死ぬ」
「あいつらはここに助けに来ちゃくれないぞ…」
ハリー「俺は地球で30年間穴を掘ってきた、そして目標の深さに到達できなかったことは一度だってない」
「今度だって何が何でも掘ってみせる」
ハリー「でも一人じゃ無理だ」
「あんたの助けがいる」
シャープ大佐「…お前の娘の命と…私の家族の命にかけて誓えるのか…」
ハリー「からなずやってみせる。お前にだって誓ってやる。」
シャープ大佐「…分かった。起爆装置を解除しよう。」
ハリー・シャープ大佐「(熱い握手)」
視聴中ワイ「(感涙)」
リモート起爆は解除され、その後A.J.の活躍もあり
無事に目標の深度である240mまで穴を掘ることができた。
≪解説≫
シャープ大佐とハリーのやり取りは涙不可避。
シャープ大佐は小惑星に来た目的を問われたとき、彼はあくまで軍人として任務の遂行のためと答える。
その証拠に彼は宇宙に出発してから口を開けば「任務」という言葉を口にする。
そして素人集団であるハリー達を宇宙に連れていくことを快く思っていなかった。
あくまで彼がハリー達を宇宙に連れてきた理由は命令、任務だからである。
誇り高き軍人とは、命令を遵守し遂行するもの。
そのプライドの高さと忠実さが、本来彼が小惑星を破壊するための目的を霞めてしまったのである。
その後ハリーに諭され
任務を背負っているのではなく人類、なによりも愛する家族の命を背負って小惑星に来たことを再認識させられる。
そしてハリーの必ず目標まで掘ってみせるという決意に対してシャープ大佐は地球で待っている最も大切な命である自分の家族、そしてハリーにとって最も大切な娘の命に懸けて誓いを立てさせた。
シャープ大佐も軍人ではなく父親として小惑星を破壊するというハリーと共通の決意を抱いた瞬間とる。
このシーンがたまらなく好き。
【⑨父として】
≪要約≫
A.J.の活躍もあり核爆弾を埋める穴を目標深度まで掘ることができた。
しかしここに来てさらに問題が発生する。
小惑星の激しいガス噴射や度重なる強い地震に核弾頭がさらされた結果、遠隔起爆装置が壊れてしまったのである。
つまり誰かが小惑星に残って手動で核爆弾を起爆しないといけないということである。
この役目を平等にくじ引きで決めることになった。
ただしロックハウンドは数々の奇行と暴走から、この重要なミッションを任せることはできないと判断され簀巻きにされる(草)
そして運命のくじ引きが開始される。
くじ引きシャープ大佐(迫真)すこ。
あたりを引いたのはA.J.
男らしくA.J.は地球を救えることを名誉だと言い、ハリーに「グレースにいつまでも愛していると伝えてくれ」と頼む。
ここに来てA.J.を止め、自分が役割を変わってやるなどと野暮なことを言う者は誰もいなかった。
A.J.をこの小惑星に連れてきた張本人であるハリーはその勇姿を見届けるためか、A.J.と2人っきりで宇宙船の外に出て行くためのエレベーターに乗り込んだ。
そしてA.J.が宇宙船の外に出た瞬間
ハリーはA.J.の酸素ボンベのバルブを抜き取り、パニックになっているA.J.をそのまま宇宙船の中につき戻した。
ハリーはA.J.の代わりに宇宙船の外に出ると外部から宇宙船の扉をロックし、A.J.に今まで言えなかった素直な言葉を伝える。
A.J.「ハリー!!辞めろ!!俺の仕事だ!!」
ハリー「5年間…お前を息子だと思って育ててきた。」
「グレースを幸せにしてやれ.…」
「お前は自慢の息子(娘婿)だ。」
「あばよ」
視聴中ワイ「涙が止まらねえよ…」
A.J.が宇宙船の中に戻ると皆がハリーの行動を察し、急ピッチで離陸の準備が始められた。
エンジントラブルが発生したが、レンチで機材をぶっ叩くことで解決した。
この手に限る。
そして離陸後シャープ大佐が窓の外を眺めながらポツリと呟いた。
シャープ大佐「ありがとう。ハリー」
しかしスペースシャトルが離陸した後、ハリーにもトラブルが発生した。
地球に近づくに連れて重力が強くなり小惑星が不安定化。
これにより地震やガス噴射が多発。
ハリーは爆弾の手動操作ができないところまでガス噴射によって飛ばされてしまうのだった。
離陸しても爆発が起きない。
シャープ大佐に不安がよぎり、小惑星に引き返すことを提案する。
シャープ大佐はスペースシャトルのブレーキに手をかける。
しかし、ハリーの相棒であるチックは言った。
チック「頼む大佐、もう少しだけハリーに時間をくれ。」
「ハリーなら必ずやり遂げる。」
A.J.も静かに言った。
A.J.「ハリーはしくじり方を知らない。大丈夫。」
シャープ大佐はそれを聞き、ブレーキから手を引く。
ハリーはガス噴射により飛ばされた地点から、死に物狂いで核弾頭を設置した場所に戻る。
そして起爆スイッチをつかみ、地球に目を向けて言った。
ハリー「WE WIN, GRACIE! (勝ったぞグレース!)」
小惑星(爆発)
大泉洋・視聴中ワイ「(号泣)」
ハリーの走馬灯と共に小惑星は真っ二つに割れる。
2つに割れた小惑星は地球をギリギリそれた。
地球は救われたのである。
≪解説≫
このラストを見るためにこの映画は存在するといっても過言ではない。
娘婿を娘の父親が救うお決まりの展開。
しかしこの展開の想像がついても涙不可避なのである。
私は小4の時にもこのシーンで号泣している。
なぜなのか?
理由は父性本能。
つまりはDNAに刻み込まれた父親としての本能が自分もこんな父親でありたいと訴えかけているのだ。
また、スペースシャトル離陸後にシャープ大佐が「ありがとう、ハリー」とつぶやくシーンが私には印象的だった。
シャープ大佐がハリーをファーストネームで呼ぶのは後にも先にもこの一回のみである。
ハリーの父親としての行動を目の前で見て、彼を心からリスペクトした結果がこの一言だと感じた。
事実、ハリーを心からリスペクトしているスタンパ―オイルの部下たちは彼を「ハリー」とファーストネームで呼ぶ。
その後、ハリーがトラブルに見舞われ引き返すかどうか議論するシーンに続く。
このシーンで重要な演出は会話に登場するがA.J、チック、シャープ大佐、ハリーの4人という点。
この4人はいずれも父親である。(A.J.は未来の父親)
父親として愛するものを救うために行動したハリー。
ハリーなら必ずやり遂げると確信することができるのは、同じ父親である者だけなのだ。
そしてハリーは見事その信頼に応え、ミッションを完遂する。
彼の最後の言葉は「WE WIN, GRACIE! (勝ったぞグレース!)」。
やはり彼にとって地球を救う最大の目的は愛する娘のため。
それを象徴した最後の言葉だと思う。
余談だが、私の好きなテレビ番組『水曜どうでしょう』で大泉洋が飛行機でアルマゲドンを鑑賞して号泣する回ある。
そして『水曜どうでしょう』の製作チームの一人である嬉野Dはアルマゲドンを見た後にこうつぶやく。
嬉野D「やっぱり人類の為に 闘わなきゃダメだっ!」
たぶんこの映画を見た男は皆この考えに至るのだろう。
これもDNAに刻み込まれた本能なのか…
【⑩ミッションワッペン】
≪要約≫
ハリーはA.J.に別れを告げる最中、自分の肩に貼りつけてあったミッションワッペンを剥ぎ取り、トルーマンに渡すように言った。
帰還後A.J.はそのワッペンをトルーマンに渡す。
ハリーからの贈り物だと言って。
≪解説≫
このシーンでさらに泣いてしまった。
ハリー達に全幅の期待と信頼を託していたのは、アメリカ政府やNASAの中でもトルーマンのみ。
そしてトルーマンの宇宙飛行士にかける思いを知るのはクルーの中でもハリーのみ。
互いに通じ合ったハリーとトルーマンは、共に宇宙に繰り出し地球を救ったのである。
彼は最高の形でミッションワッペンを手に入れることができたのではないか。
なぜなら地球を救った名誉あるミッションワッペンを持つクルーは、同期でNASAに入局した中でも彼1人なのだから。
【⑪ドワナ】
解説不要の名曲。
この映画では前述のA.J.がエグイ下ネタをぶち込むシーンとエンディングで流れる。(シーンの寒暖差に草)
特にエンディングであるA.J.とグレイスの結婚式でこの曲が流れた瞬間。
これがこの映画で最後の涙腺崩壊ポイントとなる。
しっかりエンディングまで見るべし。
【おまけ:ロックハウンド】
地球を救うためにハリー達が必死で作業する中、遊んでいる(作業の邪魔をしている)ことが多いので一部の人は見ていて気分が良くないと思う。
しかし私は彼を中心としたコミカルな演出が、この映画におけるラストの壮大さや感動を引き立てる良いアクセントになっていると思う。
特に私が一番好きなのは、ロックハウンドが核弾頭にまたがり遊んでいるシーンである。
ロックハウンド「タカラッタカラッタッタータカラータッター」
「俺様カウボーイだ!イケイケ!突っ走れ!」
シャープ大佐「降りろ」
「核弾頭で、遊ぶな(至言)」
ロックハウンドとシャープ大佐の温度差がシュールで草。
また私の友人のお勧めシーンはロックハウンドが掘削作業中、唐突にマシンガンをぶっ放すシーンである。
ロックハウンド「こいつ(マシンガン)の使い方は教わってないなぁ…」
「かっちょいぃ~~」
ロックハウンド「ヒャハハハハハ!!!」
「くたばれ小惑星!!!」
「(マシンガンをぶっ放す)」
シャープ大佐「なんてことだ…」
「精神をやられてしまったんだ…」
シャープ大佐諦めてて草
スイカの甘みを引き立てる塩みたいな役割がロックハウンドだと思う。
スイカに塩は好みが分かれる。
ロックハウンドというキャラクターも好みが分かれるが、この映画の重要な要素の一つだと私は思う。
ちなみに私はスイカに塩はNGです。
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