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旅に出る理由
「どうして旅しようと思ったの?」
バックパッカーという言葉すら知らなかった10代の頃、中学からの親友と初めてフランスを旅した。
それから35歳の現在に至るまで「旅」はわたしの人生の一部である。
身体の一部と言っていいくらい、旅が好きだ。
それでも、いつも必ず聞かれて、いつも必ず答えに詰まる質問。
「どうして旅しようと思ったの?」
2年間かけて地球をぐるっとまわって、50カ国以上訪れても、答えらしきものは見つからなかった。
「ただ、旅が好きだから」
そうとしか言えなかった。
それでも最近ようやく、その答えらしきものが見つかった気がする。
「旅しているわたしが好きだから。」
今のわたしはそう答える。
見たことない景色を見て、言葉もうまく通じない人たちと出逢って、
笑って、泣いて、怒って。
たくさんの景色や人と出逢う事で、同時に今まで出会ったことのない自分自身の一面を知る。
それがいつもどうしようもなく楽しくて、長期旅から帰国した後も、年1回程のペースで地球のどこかしらに飛んでいる。
きっとわたしはいくつになっても旅が好きだし、旅をしている人が好きなんだと思う。
旅をしていると、「表向きのわたし」と「内側のわたし」の境界線が曖昧になる。
「表向きのわたし」は、真面目で誰にでも気を遣って良い人を演じている。
そうしないと嫌われると思っていて、100人いたら100人の人に好かれたくて、反射的に「良い人」を演じてしまう。
「内側のわたし」は、もっと大胆で、冒険好きで、周りの目が存在することすら忘れて、自由奔放に生きている。
喜怒哀楽の感情が豊かで、現地の人と本気で喧嘩もするし、大好きなおばちゃんには自分から抱きつく。
そんな、あっけらかんとした「わたし」を解放したくて、わたしは旅に出る。
「 世界は、わたしが思うよりもっと広くて、もっと自由で、もっとカラフルだ。」
(『 トイストーリー4』のウッディーも、移動遊園地からキラキラ輝く世界を見渡している時、きっとそう思ったはず!)
その扉を開けたくて、もっと自由なわたしに出逢いたくて、わたしは旅をする。
そして、今思うこと。
もうそろそろ、「表向きのわたし」を卒業しても良いかもしれない。
「良い人」を演じることよりも、100人の人に好かれることよりも、世界を旅していなくても、
わたしは、この日本で、このユニークな人生を生きているわたしが楽しくてしょうがない。
「旅するように暮らす」という言葉が好きで、人生を「旅するように」暮らせたら良いなと思っていた。
それは、海外を転々と旅しながら暮らす、という意味でもあるけれど、
今のわたしにとって「旅するように暮らす」とは、
日本にいながらにしても、「 旅している時の、自由奔放なわたしのままで生きる 」ということなのかもしれない。
思い切って松本に引っ越した時、
あんまりやりたくないバイトを断れた時、
なんとなく気が乗らないお誘いを断れた時、
好きなことで生きていくと決めた時。
わたしの中から「内側のわたし」が少しずつ顔を出してきた。
同時に、「表向きのわたし」が少しずつ影を薄めていく。
わたしは、どちらの「わたし」にも優しい眼差しを向ける。
だいじょうぶ。ありがとう。
わたしは、もうだいじょうぶだよ。
28歳で世界を旅すると決心し、大阪からフェリーで上海を目指したあの時から、
私はずっと、「旅するように暮らす」方法を探し続けてきたのかもしれない。
今ようやく、その目的地が見えてきた。
わたしは、安心して「わたし」を生きる
世界は、もっと広くて、もっと自由で、もっとカラフルだ。
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Photo @イスラエル 2012年秋、友人撮影。中東は宗教や人種や人の感情など色々なものがむき出しで、思い出すとなんとなくざわざわする。それでもどんな国にも、懐の広い温かな人たちが必ずいた。