キネ坊主の映画人生を紐解く23

関西の映画シーンを伝えるサイト「キネ坊主」を運営しているぐっちょんです。

昨日あたりから、ようやく所謂”リモート映画”をいくらか見るようになりました。結局、会話劇映画がベースになってきますが、その中で狭い空間の外側にある世界を如何に想像させ、飛び道具を登場させてストーリーをハネさせるかが重要でしょうか。

さて、CM出身監督による美しい作品『tokyo.sora』(2002)を取り上げてみます。

※たしか音楽に合わせて2種類の予告があったかなぁ

[東京の空の下、夢を追う6人の女性の姿を捉えた青春群像ドラマ。美大で絵のモデルをしている台湾からの留学生。彼女は、コインランドリーで顏を合わせる日本人男性に秘かな想いを抱いているが、まだ日本語でそれを伝えることが出来ない。彼女の住むアパートの隣室には、売れないモデルが暮らしている。ティッシュ配りのバイトをしながら、オーディションを受け続ける彼女の楽しみは、部屋でヴィデオを観ることだけだ。ある日、台湾の留学生が日本語学校の授業料を払う為、初めてヌードモデルを経験した。そんな彼女のふくよかな胸の曲線をじっと見つめるひとりの美大生。彼女は、交際を始めた彼氏によく見られたくて胸にパットを入れるようになるが、体を許すことが出来なくなってしまう。はやらない喫茶店のウェイトレス。彼女は毎日、マスターとのとりとめのない話を重ねている。小説家を目指しながら、ランジェリーパブで働くヨーコ。美容師見習いの同僚・ユキをモデルに書いた小説が編集者・道原の目に留まり、小さなチャンスを掴んだ彼女は、以来、創作に精を出す。そんなある日、彼女の小説に道原が加筆したものが出版されることになった。だがそれは、彼女のものではなくなっていた。複雑な想いを胸に、ヨーコは初めてユキに声をかける。ふたりは意気投合し、何かを振り切るように東京の街を走るが、数日後、ヨーコにユキの訃報が届く。相変わらず売れないモデル。隣室から留学生の咳き込む声を聞いた彼女は、ティッシュを持って彼女の部屋のドアを叩いた……。]

本作を監督した石川寛さんは、資生堂 マシェリのCM等を手掛けており、その映像の世界観が色濃く表れていますよね。東京にやってきたけど、どうやって日々を過ごしていくのがいいのか結局分からずモヤモヤしながらも、どこかに光を見い出したい…といった大人の青春期を描いているでしょうか。

登場する女性達を演じたのは、 板谷由夏さん、井川遥さん、仲村綾乃さん、高木郁乃さん、孫正華さん、本上まなみさん。”個性がないことが個性”という意味も含めて、個性的な女性達を描いた群像劇となっています。

公開された頃は、井川遥さんがドラマ等によく出演するようになったあたり、なんだか人一倍綺麗に描いているなぁ、と感じました。ホントに見とれてしまう美しさがありましたね。

また、映画出演が意外だったのが高木郁乃さん。現在は活動休止中ですが、Jungle SmileのVo.さんですね。長塚圭史さん演じるマスターと話す姿がどことなく儚げで、じっと観ていたくなります。

そうそう、台湾からの留学生が秘かな想いを抱く日本人男性を坂本サトルさんが演じているんですよね。JIGGER'S SONのボーカル&ギターだった方で、印象的な声をしており、わりと好きなんですよね。この作品、ミュージシャンの方もけっこう出演しているので、様々な音楽が好きな方も喜ぶ作品ですよね。

なんといっても、菅野よう子さんが本作の音楽を手掛けています。石川寛監督作品は全て手掛けていますが、アニメ映画以外では、美しい映像が映える作品の音楽をよく手掛けており、本作にぴったりの楽曲群です。私もサントラを買いましたね。

オイラが東京に住んだのは、2011年の夏から2013年末まで。決して志望して東京に行くことになったわけではないんだけど…現在のような映画ライターになろうとしていたわけでもない。ただ目の前にあることに必死に食らいついて程度かな。学生時代に本作を観た当時には、東京に対してなにか思い描いていたのかな。また久しぶりにウチにあるDVDで観返してみよう。

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