エンジニアリングは「プレイング」と「相手目線」を大切に――開発部部長・新納誠一インタビュー|CINCの人
こんにちは、CINC TIMES編集部です。
CINCでは、データ収集やAI・機械学習に関する独自の技術と、データ解析の知見を基にWebマーケティングの調査・分析ツール「Keywordmap(キーワードマップ)」を開発、提供しています。
「Keywordmap」シリーズの開発に携わるソリューション事業本部 開発部では、2022年1月に新納誠一(にいの・せいいち)が新たに部長としてジョインし、組織強化に向けて日々取り組んでいます。(2023年より開発本部 本部長)
そこで今回は、ソリューション事業本部 開発部 部長 新納にインタビューし、これまでのキャリアや仕事において大切にしていること、CINCでの今後の展望などを聞きました。
何事も毛嫌いせずに取り組んだからこそ、エンジニアリングが好きだと気付けた
――CINCに入社するまで、どのようなキャリアを歩んできたのか教えてください。
エンジニアとしてのキャリアを歩み出したのは20代後半で、それまではアミューズメント施設のコンサルティングなどを行っていました。
コンサルタントとして活動していたときは、接客や販売戦略、売り上げの見込みの立て方など、クライアント企業のうまくいっていないポイントを押さえ、フレームワークに沿った課題解決を行うのが主な仕事でした。
26歳くらいのときに「手に職を付けたい」と考えて、当時流行していたITの勉強を始めました。そのときに独学で学んだのが、今もデファクトスタンダードになっているC言語です。
それから、常駐型のSES(システムエンジニアリングサービス)のような形で大手メーカーなどに入ってプログラミングを学び、3~4年くらいである程度自信が付いたので、2011年9月にポータルサイトの開発・運用などを手掛けるWebシステムの会社にエンジニアとして入社しました。
Webシステムの会社では、エンジニアとして自分の仕事をしつつ、周囲の困っているメンバーも積極的にサポートしていたところ、次第に社内で頼られるようになり、2012年4月にプロダクトマネージャー兼エンジニアになりました。
その後1年おきくらいで昇進し、代表取締役兼CTOに就任したのが2016年のことです。新しい開発のフレーム作成から、案件のトラブル対応、オフショア拠点の立ち上げまで幅広い業務に携わりました。SEO支援会社の常務として、成果がわかりづらいところをデータで可視化したり、検索順位の変動データを過去の分まで検索できるようにしたりといった、分析ツールの下地を作成したこともあります。
マネジメントや経営など、さまざまな経験を通して、あらためて「やはりプレイヤーとして働きたい」と感じ、2020年8月にWebシステムの会社を退職しました。同年9月に入社したのが、ソフトウェアの品質保証やテストなどを提供するSHIFTです。サービスの試作モデルの開発に携わるDAAE(ダーエ、Design Agility Assemble Economic quality)推進部の立ち上げメンバー兼技術責任者としてジョインしました。
SHIFTではDAAEチームの立ち上げのほか、プリセールスとして商談時に技術について説明し、成約へとつなげる役割を担ったり、プロジェクト開始後に技術責任者としてクライアント企業の支援を行ったりしました。開発部門に所属する数千名の中から選んでいただき、表彰されたこともあります。
1年3カ月ほどクライアントワーク中心に携わり、今度は自社開発を行っている企業に勤めたいと考えて、2021年12月にSHIFTを退職。2022年1月にCINCへ入社しました。
――今まで作った中で最も楽しかった、または記憶に残っているプロダクトは何ですか。
最も楽しかった記憶があるのは、Webシステムの会社時代にGo言語を使用してスクラッチ開発(ゼロから新たに開発すること)したSNSのようなシステムです。
Go言語は、Googleが2009年に公開したプログラミング言語です。比較的新しいプログラミング言語を使用して開発する楽しさもありましたし、僕が作ったベースを引き継いで開発した担当者も楽しんで作ってくれたのでよく覚えています。
――これまでのキャリアを振り返って、自身の成長につながり、転機になったと思う出来事はありますか。
Webシステムの会社に勤めていた頃、マネジメントを依頼されたときに「とりあえずやってみます」と引き受けたことが1つの転機です。
「僕はエンジニアリングだけをやっていたいので、嫌です」と断っていたら、マネジメントや経営など幅広い知識を得ることはできなかったでしょう。「とりあえずやってみようか」というスタンスを貫き、何事も毛嫌いせずにトライできたのは、自分の殻を1つ破れた瞬間ではないかと思います。
マネジメントに関しては、ピーター・F・ドラッカーの『マネジメント』やデール・カーネギーの『人を動かす』など、書籍をたくさん読んで勉強しつつ、コンサルタント時代にアルバイトの方々をまとめるのに試行錯誤した経験を基に、自身のエッセンスを加えて取り組みました。
最終的には代表取締役兼CTOとして自分の会社の舵取りをできるようになりましたし、いろいろと経験したうえで、自分がやはりエンジニアリングが好きであることに気付けたのも良かったと思います。「プレイング」を大事にするようにもなりました。
「会社と一緒に成長したい」という思いを胸に、CINCへ
――転職時は大手企業の選考も受けていたとのことですが、CINCを選んだ理由を教えてください。
大きく3つあります。
1つめが、これまで自分が携わってきたマーケティングの領域とCINCの事業内容が類似していたことです。CINCはWebマーケティングの課題を解決する手段を「Keywordmap」という形で高いレベルで提供しています。マーケティングについて手法だけではなく大量のデータによる裏付けを基に顧客に価値提供する形が、自身がSEO支援の会社にいた頃に提案した考え方と同一であり、共感できました。
2つめは会社の規模です。次に働く企業では、プロダクトのグロースに軸足を置いて、会社と一緒に成長したいと考えていました。CINCはベンチャー企業ですし、ちょうど良い規模であると感じました。
3つめが、CINCの経営陣と会ったときの印象です。
代表取締役社長の石松は、会って話していて、周囲の意見を聞いて物事を決める人だと思いました。石松の下であれば、ボトムアップでチームの力を合わせて会社を盛り上げることができそうだと感じたのと、副社長 平(たいら)のようなSEOのスペシャリスト、経営管理本部長 雨越(あまごし)のように会社をしっかり守ってくれる人など、役員陣のスキルや人柄のバランスの良さが最後の決め手になりました。
ゆくゆくは自身もプレイヤーとしてエンジニアリングに携わりながらプレイングマネジメントをしたいと伝え、了承してもらったうえでCINCへの入社を決意しました。
――実際にCINCで働いてみてどうでしょうか。入社前に想像していた会社のイメージなどとのギャップはありましたか。
いい意味で裏切られたのは、CINCのメンバーが、皆きちんとビジネススキルを備えているところです。ベンチャー企業の中には、労働環境や規則、教育制度などがあまり整っていないところもありますが、CINCは新卒社員も研修などを通してビジネススキルをしっかりと身に付けていて、驚きました。
また、CINCは入社前に聞いていた話と入社後のイメージにほとんどギャップがないので、そうした会社も珍しいと感じました。
――では、新納さんの現在の主な業務内容を教えてください。
主に組織の課題抽出と解決、未来像の作成とそのための行動、実務のサポートなどを行っています。
組織の課題抽出と解決では、開発部に必要なポジションの人材が足りていなかったので、今年(2022年)2月頃から現在に至るまで、採用活動に重点を置いて動いています。
また、「Keywordmap」や「Keywordmap for SNS」のマーケティングや営業、カスタマーサクセスなどを行うソリューション事業本部 推進部との連携にも課題があったので、定期的にミーティングを実施して意見交換を行う場を設けました。「Keywordmap」シリーズの機能改善・開発に、営業やカスタマーサクセスの担当者の意見を反映できるよう、仕組みを構築しています。
未来像の作成については、開発部のメンバー全員と毎月1on1を行い、話を聞いたうえで組織設計を考えています。
あとはバランスを見ながら、プロダクトのトラブルシュートを担ったり、ソースコードを書いたりするなど、メンバーの手が足りていない部分のサポートに入っています。
直近では、「Keywordmap」のサービスサイトのリニューアルも少し手伝いました。
相手が望むタイミングで、相手と同じ目線でモノづくりを
――仕事をするうえで、新納さんが大切にしていることはありますか。
相手目線を大切にしています。
僕も含めてエンジニアには技術を好む人が多いのですが、技術に固執してしまうと相手目線を失いがちです。
例えば、営業担当者から「○○の機能を早く提供したい」と要望をもらったときに、エンジニアが技術的な観点で「その機能を提供するなら、△△も整備したいので、1人月(1人のエンジニアが1カ月働く作業量のこと)後ろ倒しにさせてほしい」と答えたとします。営業担当者は技術的なことに詳しくないので、「開発部が言うなら仕方がない」と納得するかもしれません。
後々のメンテナンスのことも考えると、開発担当者が考えた機能の整備も大切かもしれませんが、技術的なこだわりだけで意思決定を行うのは本質ではないと思います。
相手が望むタイミングで、相手と同じ目線に立ってモノづくりをすることが大切です。
――では、相手目線を意識するためにどのようなことを心掛けていますか。
エンジニアリングに限ったことではありませんが、相手が本当は何をしたいのか、しっかりとコミュニケーションをとって確認したうえで進めることです。
お客さまからの要望を概要だけ把握し、コミュニケーションをとらないまま進めてしまうと、お客さまの意図と全く異なるものが出来上がることがよくあります。作り手は「いいものができた」と思っていても、お客さまの意図したものとは違うのでおそらく使われません。
お客さまが本当に求めていることは速さなのか、品質なのか、一番大切にしていることを最初の段階で把握し、自身も納得したうえで進めることを大切にしています。
――これまでマネジメントしてきた中で、新納さんが「成長する」と感じるエンジニアの特徴は何でしょうか。
当事者意識を持って自ら声を上げて改善に向かうことができ、コミュニケーション能力のある人です。
例えば、話すのが苦手だけれど非常に腕の立つエンジニアと、技術はそこそこでコミュニケーション能力が非常に高いエンジニアがいるとしたら、後者のほうがお客さまはやりとりしやすいと思います。クライアント企業の課題を積極的にキャッチアップし、前向きな提案をしてくれるエンジニアのほうが、お客さまにも喜ばれやすいでしょう。
また、コミュニケーション能力の高いエンジニアは、自身の技術力に課題があっても周りの人に積極的に話しかけて知識やスキルを吸収し、結果的に腕を上げていることがよくあります。
エンジニアリングだけを極めているより、当事者意識や主体性、コミュニケーション能力のある人のほうが、僕はエンジニアとして成長しやすいと考えています。
――最後に、CINCでの今後の展望を教えてください。
現在CINCはクライアントのマーケティング課題を支援する会社として打ち出していますし、周囲からもそのように認識されていると思いますが、代表取締役社長の石松からは「技術力も一流の会社であってほしい」とリクエストをもらっています。
僕自身も当然そうありたいと考えているので、エンジニアリングのブランディングも強化し、「CINCはマーケティングもエンジニアリングもすごい会社ですね」と言われる状態を目指したいです。
そのためにも、開発環境と品質の改善を引き続き行い、今後新たに加わるメンバーとともにチーム一丸となってプロダクト開発を加速させていきます。また、積極的に提案を行えるような開発組織にもしたいです。
そしてゆくゆくは、自分もよりエンジニアリングに携われるようになりたいですね(笑)
――新納さん、ありがとうございました!
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